「キューティクル」とは?髪の毛を守るキューティクルの構造やケア方法

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「美しい髪」を維持するためには「キューティクル」を健康に保つのが秘訣です。
髪のつややかさや「天使の輪」を作り上げるのは、美しいキューティクルがきれいに光を反射させるからです。 キューティクルは健康な髪を維持するために知っておきたい髪の構造体の一つ。
この記事ではキューティクルの構造やケア、キューティクルのダメージの原因について解説していきます。

キューティクルとは

「キューティクル」は髪の構造体のひとつです。 髪の毛の一番外側に位置していて、別名「毛表皮」「毛小皮」とも言います。
髪の健康や美しさの維持、外部からの物理的な損傷や紫外線、化学的な影響から毛髪を保護するために重要な役割を担っています。 また、キューティクルは髪内部の水分を保ち、栄養分の損失予防にも一役買っています。
髪の毛を横から裁断し、その構造体を真上から見てみるとキューティクルは髪の内部構造体を取り囲むようにぐるっと一周して、外殻の役割を果たしています。
キューティクルは魚の鱗のように半透明の細かな構造体が何層も重なって、隙間なく内部と外界を隔てています。 一枚の厚さはおよそ0.5㎛(1㎛=1000分の1㎜)と言われていて、きれいに配列されていると髪内部をしっかりと閉じ込められるような構造をしています。
キューティクルの配列が乱れると、キューティクル同士の隙間からタンパク質や水分が流出します。
一般的にこのキューティクルの重なりが少なく、3枚から5枚程度であれば軟毛傾向で、7枚から10枚程度としっかり重なりが見られる場合には硬い毛になると言われています。

コルテックス

毛髪の内部構造は、外側から内側に向かって「キューティクル」「コルテックス」「メデュラ」の3つの主要な層で構成されています。
コルテックスは別名「毛皮質」とも呼ばれ、髪の内部構造の中ではキューティクルに次ぐ中間層を満たしています。 髪の中では一番多く、およそ90%以上がコルテックスです。
コルテックスは、髪の強度や弾力性、メラニン色素の含有量などにより、個々人における髪の印象を左右する要素を含んでいます。 例として髪の色はメラニンの種類と分布によって、個別性が現れます。
コルテックスはケラチンと呼ばれるタンパク質から構成されています。 ケラチンは硬くて丈夫なタンパク質です。
通常の体内の構成をなしている柔らかいタンパク質とは異なり、髪や爪などの角質組織を形成します。 コルテックス細胞同士はCMC(細胞膜複合体)で接着され、コルテックス細胞は縦配列なのも特徴のひとつです。
コルテックスの構造が異なると、直毛やくせ毛などの特性が変わります。 また、コルテックスは外部からのダメージやパーマ、カラー剤などの化学的な処理に敏感で、髪の傷みや枝毛の原因となります。

メデュラ

メデュラは、髪の中央の芯状部分です。 実は、全ての毛髪がメデュラを持っているわけではありません。 細かい毛髪や赤ちゃんの髪には存在しないことがあります。
メデュラの具体的な機能は今だにハッキリとしておらず、生物学的な役割や重要性については十分に解明されていないのです。(2024年1月現在)
一説によるとホッキョクグマの体毛の中心部分は空洞になっているそうです。 この空洞が空気を含み保温機能を果たしていると考えられています。
このことから人間のメデュラもキューティクルやコルテックスのように、毛髪の機構において主要な役割はないのでは?と考えられています。
結果として現在のところ、髪に対する基本的なケアを検討する場合には、キューティクルやコルテックスの状態に焦点を当て、対処することが一般的となっています。

毛根部の秘密:髪が生えるまで

ご自身の髪の毛の根元を見てもらうと分かるように、髪の毛の根元部分は皮膚の内部に埋まっています。 この部分を「毛包」と言います。一般的には「毛根」と呼ばれています。こちらの方が馴染み深いかもしれません。
この毛包の中に毛のもとになる毛母細胞やその周囲の組織である「毛根鞘」があります。 毛根組織を含む結合組織までを含めた毛を生み出す組織全体を表す時に「毛包」と呼びます。
細かく見ると非常に複雑な構造をしていますが、髪の毛の一番真ん中の芯の部分が毛の本体で専門用語では「毛幹」と言います。 角化細胞が集まった、毛母細胞から生み出された死んだ組織です。
この「毛幹」を包み込んでいる皮に相当する部分が「毛根鞘」と呼ばれる組織です。 この毛根鞘は生えてくる髪の毛を頭皮に固定する役割を持ちます。毛根鞘は構造として「内毛根鞘」と「外毛根鞘」にわかれています。
内毛根鞘が髪の毛と直接付着しており、髪の毛と内毛根鞘を包み込み頭皮と付着しているのが外毛根鞘です。
内毛根鞘が付着している秘密がキューティクルにあります。 キューティクルと強くかみ合い支えていることで、髪の毛は抜けることなく健やかな成長が可能になります。
キューティクルは、髪の毛が毛穴から出てきて成長している段階では既に死んだ細胞です。 既に長さの出ている髪の毛に対してダメージが加わり、キューティクルが損傷してしまえば、そのリカバリーは容易ではありません。
きれいで美しい髪の毛を維持し、健やかな状態を維持するには「キューティクルのダメージにつながる要因」を把握し、ダメージを回復する方法を知っておくとよいでしょう。

キューティクルダメージにつながる要因

「ダメージヘア」は、キューティクルがダメージを受け、髪の内部の水分やタンパク質が流出してしまっている状態です。
さまざまな原因により、キューティクルの配列が乱れたりはがれたりして、髪内部の構成成分がスカスカになってしまっている状態です。 ここでは、キューティクルのダメージにつながる要因について解説します。

パーマやカラー剤などによるダメージ

パーマやカラー剤などに含まれる化学物質は、キューティクルを開き、髪の内部に色素を浸透させたり、髪の形状を変化させます。 キューティクルを無理やり開かせるのでキューティクルにダメージを与えてしまいます。

ヘアドライヤー、ストレートアイロン、コテなどによる熱ダメージ

高温の熱にさらされることは、キューティクルの損傷を引き起こす主な原因です。 長時間の使用や高い温度設定は特にダメージとなります。

水分や湿度による影響

髪のキューティクルは湿度に敏感で、濡れたり湿度の変化が生じるとキューティクルが柔らかくなりはがれやすくなります。 この状態で過度な摩擦が生じると、キューティクルがはがれ、ヘアダメージの要因になります。

摩擦

ブラッシングやコーミング、頻繁で雑なシャンプーは摩擦によりキューティクルを損傷します。 髪を濡れたまま強く引っ張ったり、乱暴にブラッシングすることはキューティクルを損傷させてしまいます。

紫外線

太陽光や紫外線は、キューティクルを劣化させ、につながることがあります。

キューティクルケア

キューティクルは、毛髪の外部を覆う鱗片状の保護層です。 髪の健康と見た目の美しさを考えるなら、キューティクルのケアは必須であり、日常の中で加わるダメージからのリカバリーや保護を考える必要があるでしょう。
ここでは、キューティクルのケア方法について日常でできることを解説します。

適切な洗髪

髪に負担のかかりにくい洗髪は、キューティクルを健康に保つために重要です。 過度な洗髪や過剰な洗浄力のあるシャンプーの使用は、キューティクルを開き傷つける可能性があります。
マイルドで保湿力のあるシャンプーを選び、過度な洗髪は避けましょう。
こちらの表を参照するとアミノ酸系以下の成分であれば、比較的低刺激です。シャンプーはアミノ酸系以下の洗浄力を基準に選ぶとよいでしょう。
コンディショナーは、キューティクルに潤いを与え、髪を滑らかにし、毛髪の柔軟性を保つサポートが期待できます。 特に乾燥した髪には、キューティクルを保護するコンディショナーを使用することで、髪内部の水分保持も期待できます。

熱ダメージからの保護

高温のヘアドライヤーやストレートアイロン、コテの使用はキューティクルにダメージを与えることがあります。
加温によるヘアスタイリングツール(ヘアドライヤー、ストレートアイロンなど)の使用時には、熱から髪を保護するためのヒートプロテクト製品を使用しましょう。
熱ダメージのことを考えると、できるだけ低温設定で使用するのが望ましいです。 高くても160度ぐらいの設定にして高すぎる温度での使用は避けましょう。

適切なブラッシング

髪の摩擦によるダメージを軽減するために、適度にブラッシングをしましょう。 ブラッシング自体が摩擦ダメージを与えないためにも、ブラシなどのツールにも気を配りたいところです。
髪をブラッシングする際には、ソフトで過度な圧力を逃してくれる「クッションブラシ」が使いやすくておすすめ。 絡まりを無理やりほぐすのではなく、根元から慎重にブラッシングし、優しくほぐしましょう。

過度なカラーやパーマを避ける

過度なカラーやパーマなどは、キューティクルを傷つける原因です。 パーマやカラーリングに使用する化学薬品はキューティクルを開いて内部に色素を定着させたり、タンパク質の構造を変質させうねりを生じさせたりします。
キューティクルを傷つけるだけではなく内部までダメージを与えてしまうこともあるのです。 キューティクルのダメージを考えると、パーマやカラーのやりすぎには注意しましょう。

まとめ

髪の健康と美しさの維持には、キューティクルのケアが不可欠です。 キューティクルは外部からの損傷や紫外線、化学的な影響から髪を保護し美しい輝きを生み出します。 キューティクルのダメージはパーマやカラー、熱、湿度などにより引き起こされます。
キューティクルのダメージをより少なくし、ダメージケアを施すのも美しい髪の維持のために重要です。
洗髪方法を意識し熱からの保護対策を講じ、適切なブラッシングをするなど、日常でもキューティクルケアを意識することができます。 キューティクルの健康を守り、美しい髪を維持するためにもできることから始めていきましょう。