発毛剤や育毛剤でよく見る「医薬品」と「医薬部外品」の違いについて

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薄毛や抜け毛の対策として発毛剤・育毛剤を選ぶ際に目に付く「医薬品」と「医薬部外品」の言葉。一見同じように見える両者の違いについて、今回はご説明しましょう。

医薬品とは

薬局で女性薬剤師に説明を聞く男性 「医薬品」とは、厚生労働省から薬として認められたもので、効能・効果をはっきりと記載できる薬をさします。医薬品は、医師の処方箋が必要な医療用医薬品と、処方箋不要で薬局やドラッグストアで購入できる薬の2つに大きく分類されます。

処方箋不要の薬は、「要指導医薬品」と「一般用医薬品(別名:OTC医薬品)」の2種類があります。今回は処方箋なしで購入できるこの2種類について詳しくお話しします。

要指導医薬品

2013年に薬事法が改正され、定められた「要指導医薬品」。処方箋不要ながらも医療用医薬品と同じ成分を使用している「スイッチOTC薬」がこれに該当します。これは安全性に関する評価が完了していないため、指導が必要なのです。

薬局で販売される際には、薬剤師が購入者から症状や服用している薬についての情報を聞き、書面によって説明を行います。また、ドラッグストアなどの場合は商品棚ではなく、レジ後ろの棚などに置かれています。

一般用医薬品(第一類医薬品・第二類医薬品・第三類医薬品)

一般用医薬品とは、薬局やドラッグストアで購入できる薬のことです。一般用医薬品は取り扱いに注意を要する度合いにより、「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」の3つに分類されています。

「第一類医薬品」は、服用時に副作用や相互作用などのリスクが高いため、薬剤師の説明が義務づけられているものです。第一類医薬品は通常の商品棚には置かれず、薬を求める購入者の症状や服用している薬を薬剤師が確認した上で購入できます。

「第二類医薬品」は、同じく副作用や相互作用などのリスクがある、「第一類医薬品」以外の薬です。薬剤師や登録販売者は、購入客から求められれば説明を行う義務が生じます。

「第三類医薬品」は、第一類・第二類以外の特に規定のない一般用医薬品です。

医薬部外品とは

医薬部外品の蓋を開ける手 「医薬部外品」は、薬事法により医薬品と化粧品の中間的な位置に定められたもので、穏やかな作用により予防をメインとした効能を持っています。効果や効能が認められた成分は配合されていますが、誰にでもその効果や効能が必ず現れるわけではありません。

一方で、副作用や相互作用のリスクが医薬品に比べて低く、長期的に使えるというメリットがあります。

医薬部外品の3種類の表示

医薬部外品は、その用途によって異なる表示をされます。口臭・あせも・育毛などの用途のものは「医薬部外品」と表示されます。消化薬・整腸薬・かさつき改善などの用途のものは「指定医薬部外品」です。そして、殺虫剤やねずみ駆除剤を始めとした人体に使用しないものは「防除用医薬部外品」と表示されます。

医薬品と医薬部外品の違い

医薬品と医薬部外品の違いをひと言で表すと、それは「治療を目的とした薬」か「防止・衛生を目的につくられたもの」か、になります。 医薬品は配合されている有効成分の効果が厚生労働省に認められている薬、医薬部外品は厚生労働省が許可した効果や効能に有効な成分が一定の量で配合されているものです。

医薬品が病気への効能・効果をはっきりと記載できるのに対し、医薬部外品は効能を記載できるもののその効果を保証できません。

発毛剤と育毛剤 医薬品はどちら?

発毛剤と育毛剤、言葉は似ていますが、実は効果面と薬事法での分類に大きな違いがあります。

発毛剤は新しい髪の毛が生える(発毛)効果があるもので、基本的に「医薬品」です。一方、育毛剤は髪の毛を伸ばす(育毛)効果があるもので、商品のほとんどは「医薬部外品」に属し、医薬品として認められているのはごく少数です。

医薬品は薄毛や抜け毛への効果を期待できる分、副作用や相互作用など使用にあたっては注意が必要で、購入の際も制限があります。一方、医薬部外品は購入しやすいという利点があります。

おわりに

今回は、発毛剤・育毛剤の購入に関わる「医薬品」と「医薬部外品」の違いについてお伝えしました。厚生労働省から認められた「医薬品」と、医薬品と化粧品の中間にある「医薬部外品」には種類や用途によっていくつかに分類されます。

発毛剤や育毛剤を購入する際はそれぞれの特徴を踏まえ、自身がどのような効果を求めているのかを考えて製品を選びましょう。