【監修あり】頭皮の赤みやかゆみの原因は?セルフケアの対処法も解説

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頭皮が赤くなってしまったり、かゆみが出てきたり、突然頭皮のトラブルに見舞われてしまうと、どうしたらよいのかわからないですよね。
いつも清潔にしていても、ちょっとしたことが原因でトラブルが生じることもあります。 頭皮環境を健やかにするためにはどのようなケアが正解なのでしょうか。
この記事では、頭皮の赤みやかゆみの原因からセルフでできるケアや対策まで詳しく解説します。

頭皮の赤みやかゆみの原因

頭皮は人体の中で最も皮脂腺が多くあり、皮脂量が多くなりがちです。
皮脂の分泌量が多すぎると毛穴が詰まりやすくなり、炎症やかゆみなどさまざまな頭皮トラブルを多発しやすくなります。
頭皮の赤みやかゆみの症状の原因は大きく2つに分かれます。

頭皮湿疹

頭皮に赤みのある湿疹ができてかゆみや痛みが伴う場合は、頭皮湿疹の可能性があります。
頭皮湿疹の中でも原因はいくつかあり、ブツブツした湿疹や頭皮のベタつき、フケなど症状もさまざまです。

脂漏性湿疹

頭皮には常在菌のマラセチア菌などが存在しています。 健康的な頭皮の場合は常在菌がいることは問題になりません。
しかし、何かのきっかけで頭皮の皮脂の過剰分泌が起き、マラセチア菌の餌となる皮脂が増殖しすぎてしまうことがあります。
マラセチア菌は皮脂の成分のトリグリセリドを遊離脂肪酸に分解するのですが、この成分が皮膚の刺激になり、脂漏性皮膚炎の原因になっているといわれています。

乾燥性皮膚炎

本来頭皮は薄い膜を張るように皮脂が分泌され外的刺激から守ってくれています。
脂漏性湿疹と反対に分泌される皮脂が少なくなってしまうと、外的刺激からの影響を受けやすく、敏感になってしまいます。
ちょっとした摩擦や刺激でトラブルが起きやすくなり、乾燥性皮膚炎の原因になり炎症を起こしてしまうのです。

アトピー、アレルギー

アトピー性皮膚炎はアレルギーによって引き起こされるとされています。
症状は体や顔だけではなく、頭皮にも湿疹が出てきてしまう場合があります。 乾燥や強いかゆみが特徴で、フケも多くなることがあるのです。
アトピーは肌のターンオーバーが正常に機能しない状態にあるので、未熟な状態のままの肌がどんどん剥がれ落ちていってしまいます。 この影響によってフケが目立つようになります。

頭皮の赤みやかゆみに併発して起こる症状

頭皮の赤みとかゆみが症状として現れ、悪化していくに連れて他の症状も目立つことがあります。
頭皮のトラブルが起きているときに起こりがちな症状をみてみましょう。

フケ

頭皮は皮膚と同じで、ターンオーバーの仕組みによって、一定の期間が過ぎると自然と剥がれ落ちるようになっています。 古くなった角質で自然に剥がれ落ちた場合は目立つことはほとんどありません。
しかし皮膚疾患が原因の場合、そうはいきません。
かゆみがひどくなると我慢できずに掻きむしってしまいます。 その結果まだ未熟な状態の皮膚が剥がれ落ちてしまい、頭皮が乾燥し、かゆみや炎症が悪化する悪循環に陥ってしまいます。

乾燥

乾燥がひどくなるとかゆみも増してしまいがち。 乾燥が進むとさらにかゆみも増大し、かきむしってしまいやすくなります。
頭皮の皮脂が少なくなっている状態なので、バリア機能も低下し、かきむしる刺激で炎症も悪化しやすいので注意が必要です。

抜け毛

かゆみや乾燥を放置してしまうと、抜け毛の原因につながってしまうことも。 乾燥やかゆみの影響で頭皮環境が急激に悪化していき、健康的な髪の毛を育むのが難しくなります。
頭皮環境が悪化すると、血流が悪くなってしまい髪の毛に栄養素が届かなくなってしまい、毛がやせ細っていってしまうのです。
その結果、髪の毛も抜けやすくなり薄毛につながるのです。

どうしてこうなる?症状につながる要因を解説

それではなぜこのような状態になってしまうのでしょうか。症状が出てしまう要因を解説していきます。

シャンプーがあっていない

シャンプーの洗浄力が強すぎることが要因となっているケースもあります。 シャンプーの洗浄成分が強いと、髪の毛や頭皮に必要な皮脂まで根こそぎ洗い流してしまいます。
シャンプーの洗浄力により、必要な皮脂を洗い流してしまうということは頭皮を保護してくれている皮脂がなくなるということ。
そうなると「乾燥、かゆみ、赤み」の症状が出やすい環境になってしまうのです。
・石油系界面活性剤(ラウリル硫酸〜、ラウレス硫酸〜)
・石けん系界面活性剤(石けん素地、カリ石けん素地、脂肪酸〜)
・オレフィン系(オレフィン〜)
上記のような成分が配合されている商品は、脱脂力が強すぎる場合もあるので頭皮に何かしらの症状がでている場合、まずは一度お使いのシャンプーの成分表を確認することをおすすめします。
シャンプーは全体の50〜60%が水、洗浄成分が30〜40%、その他の成分が10%の割合で作られています。 洗浄成分は30〜40%もの割合を占めるからこそ気をつけて選びたいポイントです。

季節性の乾燥

頭皮が乾燥してしまうことで赤みやかゆみの症状は現れやすくなります。 肌質が乾燥肌や敏感肌でアトピーの方は特に注意が必要となります。
季節性の問題もあり、秋から冬にかけて乾燥しやすく、暖房などの使用頻度も増えるため予防策が必要です。

生活習慣の乱れ

生活習慣は頭皮環境と密接に関わっています。
食事、睡眠、ストレスなどの乱れによって皮脂の過剰分泌や血流が悪くなってしまったりと悪影響につながります。

アレルギー

アトピー体質の方などに多いのが、アレルギー反応を起こしてしまっているケースです。 特定の物質に触れてしまうと赤みやかゆみが発症してしまう接触性皮膚炎です。
自分の反応してしまうアレルギー物質を把握することで、避けることができるので心当たりのある方は一度調べてみることを検討してみるとよいでしょう。

セルフでできる対処法を解説

赤みやかゆみをできるだけ引き起こしたくないですよね。 そこで事前に予防できる対処法をいくつかご紹介させていただきます。

シャンプーの見直し

先程ご紹介した洗浄力の強いシャンプーの成分を避け、余分な皮脂は除去してくれて、必要な皮脂は残してくれるマイルドな洗浄力のシャンプーを使用します。
・ベタイン系(〜ベタイン、〜グルタミン酸)
・アミノ酸系(ココイルグルタミン酸、ラウロイルサルコシン〜)
上記の洗浄成分はどちらもマイルドで低刺激の洗浄力なので、皮脂を取りすぎてしまうことなく優しく洗い上げてくれます。
頭皮の皮脂バランスが安定すると頭皮環境が改善し、赤みやかゆみも落ち着きやすくなります。

生活習慣の改善

規則正しい生活習慣は、頭皮環境を守るためには必要不可欠です。

食事

毎日3食バランスのよい食事を取摂ることが有効です。
ジャンクフードや脂っこい食べ物ばかり食べていると、皮脂の過剰分泌や頭皮のベタつきの原因となります。
タンパク質、ビタミン、亜鉛(肉類、牡蠣、ナッツ類、緑黄色野菜)など髪に必要な栄養素を中心に摂取することを心がけてみてください。

ストレス

人はストレスを極度に感じ続けると自律神経が乱れてしまい、頭皮への血流が悪くなってしまいます。
自律神経は交感神経と副交感神経があり、バランスよく働くことで体は健やかな状態に保たれています。 どちらかに偏りすぎているとバランスを崩してしまい、頭皮への血流が悪くなりがち。
頭皮への血流が滞ってしまうと栄養も行き渡らなくなり、頭皮の健やかさが損なわれる要因になるのです。
頭皮に栄養が行き渡らないと髪の毛の成長にも悪影響が出てしまい、頭皮環境だけではなく薄毛や細毛の原因にもなってしまいます。
ストレスを抱え込まないよう、自分に合った方法でストレス発散をするように工夫しましょう。

睡眠

質の悪い睡眠や睡眠不足が続くと、成長ホルモンの分泌が低下してしまいます。 成長ホルモンは、髪の毛が健やかに成長していくためにも必要なホルモンで、少なくなると頭皮環境も悪化しやすくなります。
成長ホルモンは入眠後2〜3時間の間に多く分泌されるので、この時間を意識して就寝するように時間を調整しましょう。 1日7〜8時間目安で睡眠時間を確保できるとさらに効果的です。

正しくシャンプーする

毎日何気なくするシャンプーですが、気をつけるポイントを抑えることで、赤みやかゆみを予防することができます。
1.シャンプー前のブラッシングで汚れを浮かせる。

2.ぬるま湯で地肌をすすぐように全体を濡らしていく。(予洗いをする)。

3.地肌からモコモコに泡立つようにシャンプーして軽めに洗い、流していく。

4.もう一度しっかりと泡立て今度は念入りに洗っていき、流す。

5.トリートメントは中間から毛先になじませて流す。

6.すすぎ残しがないように耳後ろや首元もしっかりとすすぐ。
ブラシはかたいものだと頭皮を傷つけてしまう恐れがありますので、クッションタイプで毛先が丸いものを選びましょう。
シャンプー前のすすぎで汚れの70%は落とせるとされています。 最低でも1分以上、地肌からしっかりと予洗いをしましょう。
シャンプーは髪の毛を洗うというイメージの方が強いかもしれませんが、きちんと地肌を洗うことが重要。地肌の健やかさにつながるケアを心がけてください。

まとめ

頭皮はちょっとしたきっかけでトラブルを起こしやすい部位です。
赤みやかゆみが気になったら、普段の生活習慣や使っているシャンプーなどを一度見直してみてください。 日常のケアの見直しで解決できることもあります。
しかし、それでも改善せずに悪化してしまう場合は、皮膚疾患の恐れがありますので自己判断せずに速やかに病院での診察を受けましょう。


監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。 同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。