AGA治療中の初期脱毛がひどい!どのくらいなら問題ないのか解説

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「AGAの治療を始めたのに抜け毛が増えている⁉」と不安に感じたことはありませんか?
これは実は「初期脱毛」と言われ、治療を始めた人なら誰にでも起こり得る症状です。 いうなれば「薬の効果が出始めているからこそ生じる症状」で、焦らずに治療を継続することが重要です。
この記事では、AGA治療開始後に起こり得る「初期脱毛」について解説しています。

AGAの治療を始めたのに毛が抜ける?初期脱毛のメカニズム

AGA(男性型脱毛症)の治療中に初期脱毛が起こる理由。結論から言うと「薬の作用が出てきているからこそ生じる症状」 です。
初期脱毛が起こるメカニズムを理解することは、治療の効果や脱毛の進行を知り、対処するうえで重要です。 焦らずにじっくりと治療に向き合い、気持ちを整える一助にしましょう。

薬の作用により新しい毛髪が成長する影響

AGA治療薬であるミノキシジルやフィナステリドは、毛母細胞の活性化を促し、新しい毛髪の成長を促進する作用があります。 新しい髪の毛が生えようとすることで、古い毛髪の置き換わりが発生するために、初期脱毛につながると考えられています。

毛周期の変化

AGA治療薬はヘアサイクルを正常化する働きがあります。 例えば、ミノキシジルは毛包の血流を増加させ、毛髪の成長期を延長する作用があります。
フィナステリド・デュタステリドは5αリダクターゼの働きにアプローチして抜け毛につながる要因をブロックします。 結果として、成長期にある毛髪が増加し、休止期にある毛髪が抜けることにつながり抜け毛が増えたように感じます。
AGA治療中の初期脱毛は、治療の効果が現れる前に一時的な副作用として現れることがあります。 しかし、これは治療が効果的に進行している証拠。治療を継続することで、通常は毛髪の成長が改善し、脱毛が減少することが期待できます。

AGA治療中の初期脱毛はどのくらいなら問題ない?

AGA治療開始後の初期脱毛。わかってはいても「今の毛が抜けるとますます薄くなるのでは?」と気になりますよね。
日本皮膚科学会ガイドラインでも、AGA治療開始後の初期脱毛について言及されています。 初期脱毛以外にも、頭皮のかゆみや皮膚炎、皮膚のフケの増加などの症状が見られることもありますが、担当医と相談しながら治療を続けることが大切です。

初期脱毛は治療開始からどのくらいで起こるのか

AGA治療を開始した後、数週間から1か月程度で初期脱毛が起こることが一般的です。 早い方であれば10日ぐらいで生じることも。
前述した毛周期の変化や毛包のリセットなどにより、治療薬の効果が現れる前に初期脱毛が発生します。

どのくらいの抜け毛なら問題ない?

通常、AGA治療中の初期脱毛は一時的な現象です。 ある程度治療の効果を得られている毛髪サイクルに置き換われば、初期脱毛の症状は落ち着きます。
一時的な初期脱毛は治療薬の効果がある証拠であり、新しい毛髪の成長を促進する過程のひとつ。 一般的には1-2か月程度で初期脱毛は落ち着くと言われていますが、治療の反応によっては3か月ほど続くことも。
個人差があるので一時的な初期脱毛に焦らず、治療を継続することが大切です。 とはいえ、人により抜け毛の量は異なります。「せっかく治療を始めたのに…」と不安になる方もいるでしょう。
AGAでなくとも人は一般的に1日に約100本、髪の毛が抜けると言われています。 季節によっては倍の200本程度抜けることも。
なので治療開始後に一時的に抜け毛が増加したとしても、この範囲内であれば心配する必要はないでしょう。

治療薬により変わる初期脱毛の仕組み

AGA(男性型脱毛症)治療中に初期脱毛が起こる理由は、治療薬の作用メカニズムに関連しています。
一般的にAGA治療にはミノキシジルやフィナステリド・デュタステリドなどの薬物が用いられます。 これらの薬物が頭皮や毛包に影響を与えることで初期脱毛が引き起こされます。

ミノキシジルの作用

ミノキシジルは、高血圧の薬を開発していた時に作られた薄毛治療薬です。 毛包の血流を増加させることで毛髪の成長を促進します。
しかし、治療開始後しばらくの間、毛包の新陳代謝が活発になるため、今まで生えていた毛髪が抜けやすくなります。 これが初期脱毛の主な原因のひとつです。
ミノキシジルは血管拡張作用を持ち、局所的な血流を増加させることによって毛母細胞の酸素と栄養の供給を促進します。 結果として毛母細胞が活性化し、毛乳頭の成長が促進され、髪の成長をサポートします。
効果:髪の成長を促進し、毛髪の太さと密度を改善。薄毛の進行を遅らせる。

フィナステリド・デュタステリドの作用

フィナステリド・デュタステリドは5αリダクターゼという酵素の働きを抑制することで、テストステロンをジヒドロテストステロン(以下:DHT)に変換するのをブロックします。
DHTはAGAの主な原因と考えられており、毛乳頭の受容体に結合して毛周期の短縮や毛包の萎縮を引き起こします。 フィナステリド・デュタステリドによるDHTの抑制は脱毛を遅らせる効果があります。
しかし、治療開始直後にはDHTのレベルが急激に変化するため、毛包の活性化が生じます。 その結果、今生えている毛髪が抜けやすくなるのです。
デュタステリドはフィナステリドと同様に5αリダクターゼ酵素を阻害しますが、フィナステリドよりも、より強力な効果を持ちます。 特にタイプIおよびタイプⅡの5αリダクターゼを抑制することにより、より強力なDHTの抑制が可能です。
効果:DHTによる髪の脱落を防ぎ、既存の髪を保護し、新しい髪の成長を促進。
初期脱毛はいずれも治療の効果が現れ始めて、毛髪サイクルが正常化する過程で生じます。 ゆえに、初期脱毛は治療の副作用ではなく、治療効果の一部として捉えておきましょう。
毛髪の新陳代謝が活発になることで、健康な毛髪が生えるための土台が整い、治療後により太くて健康な毛髪が生えることが期待できる反応のひとつです。

AGA治療中に初期脱毛が起きたときの対処法は?

毛髪治療ガイドラインでも言及されている通り、AGAの治療を始めた後には誰にでも起こりうる初期脱毛ですが、どのように対処するのがよいのでしょうか?
初期脱毛が生じた際の一般的な対処法について解説します。

治療を継続する

あくまでも初期脱毛は一時的な現象です。多くの場合、数か月で落ち着くことがほとんど。 治療を続けることで、新しい毛髪の成長を促進し、脱毛を減少させることが期待できます。
過度な抜け毛や、想定以上の長期化、皮膚炎や掻痒感などが我慢できないほどであれば担当医と相談して、治療の継続方法について調整するとよいでしょう。 必要に応じて症状を落ち着かせるための治療を検討してくれるはずです。

追加の治療を検討する場合がある

初期脱毛が長期間続く場合や著しく増加する場合、医師は追加の治療法を検討するか、既存の治療法を調整する可能性があります。
ミノキシジルやフィナステリドの投与量の変更、または他の治療法の追加などを試みるかもしれません。 症状により内服薬のみで対処する、外用薬のみで治療を継続するなどの対策を立ててくれるはずです。

副作用をモニタリングする

AGA治療薬も医療である限り、少なからず副作用のリスクがあります。 初期脱毛と同時に、他の副作用が現れる可能性も十分にあり得ます。
治療中に異常な症状が現れた場合は、できるだけ詳細の状況を記録して早い段階で担当医に相談しましょう。

生活習慣を見直す

抜け毛の要因そのものには、初期脱毛以外の要因が絡んでいることもあります。 食習慣や生活習慣の乱れが思い当たるようなら、初期脱毛以外の要素も絡み合って抜け毛が起こってしまっているのかもしれません。
まずは食生活。
タンパク質・ビタミン・ミネラルを含んだバランスの良い食事を意識し、髪の生育につながるよう意識しましょう。
また、質の良い睡眠も髪の生育には重要です。 AGAの治療効果を期待するためにも、健やかな髪の生育をサポートするためにも生活習慣を整えることを意識しましょう。

ヘアケアを意識する

初期脱毛が起きている間は、できるだけ髪にストレスのかかる行為は控えましょう。 髪を過度に引っ張ったり、パーマやヘアカラーなどの化学的なダメージは避けたいところです。
過度なストレスやダメージは、脱毛症状を悪化させる可能性があります。 適切なヘアケアを行い、髪や頭皮を健康な状態に保ちましょう。
セルフでできるヘアケアとして、洗浄力がマイルドで刺激の少ないシャンプーを使用するのがおすすめ。 次に生えてくる髪のための土台を整え、頭皮の健康をサポートしましょう。
市販されているシャンプーで、比較的洗浄成分がマイルドなのは「アミノ酸系シャンプー」。 シャンプーの裏表示を確認して「ココイル〇〇」「ラウロイル〇〇」等の表示が書かれているものを選択するとよいでしょう。

AGA治療中、2回目以降に起こる脱毛も初期脱毛なの?

「AGA治療開始後の初期脱毛症状は落ち着いたはずなのに、治療を継続していくうちにまた大量の抜け毛が…こんなの聞いていない!」と不安がる方も。 実はアンケートで、初期脱毛後にまた脱毛症状が出現する「2回目以降に抜け毛症状が生じる」という結果がでています。
アンケート結果から薄毛治療の経験者の24.5%が、2回目の初期脱毛を経験したと回答しています。
初期脱毛は髪の毛の成長サイクルが整い、濃く長く生える過程で生じる反応です。 2回目以降の抜け毛の反応は、治療初期に生えてきた未成熟の毛が抜けていると考えられます。
成長期が正常化する前に伸びて、止まってしまった細く短い毛を改めて押し出すことにより生じる反応だと考えられています。
同アンケート結果によると、2回目以降の初期脱毛が完全に落ち着いたのは最長3か月から半年だったという回答も見られました。 30%以下の確率ではありますが、初期脱毛は1回で終わらないこともあるというのを覚えておきましょう。
また、1つの目安として初期脱毛が継続して3か月以上生じている場合には、時としてびまん性脱毛症などの別の症状を併発している可能性もあります。 症状が気になる場合には、直接頭髪の状態を診察してもらえる専門医の受診を検討しましょう。

まとめ

AGA治療においての初期脱毛は、治療効果の一部として捉えることで悲観的になる必要はありません。
通常は一時的な現象であり、初期脱毛は治療薬の作用メカニズムにより引き起こされます。 新しい毛髪の成長を促進する過程で生じるもので、ほとんどの場合、治療開始後約数週間~数か月とされ、個人差もありますが一般的に長くても3ヵ月程で落ち着くと言われています。
治療を継続することで、新しい毛髪の成長が促進され、脱毛が減少することが期待されます。 そのため、初期脱毛が起こったとしても、焦ることなく治療を続けることが重要です。
また、治療中に不安や疑問がある場合は、医師と相談しながら治療内容を検討することもできます。 不安になったり、気にしすぎることでストレスがかかると抜け毛症状が悪化してしまうことも…。
「誰にでも起こり得ること」「いずれ落ち着く」とゆったりと構え、気にしすぎないようにしましょう。 気持ちにゆとりを持ち、上手に付き合いながら初期治療期間を乗り越えましょう。