ノコギリヤシは育毛に効果的?ノコギリヤシの成分から効果効能を解説

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育毛に効果のある薬草として注目されている「ノコギリヤシ」。 ノコギリヤシは古くからアメリカの南東部で男性の健康サポート成分として活用されてきました。
最近になりジヒドロテストステロン(DHT)を抑制する成分としてさまざまな研究結果が明らかになりました。 ジヒドロテストステロン(DHT)を抑制するので、AGA治療に有効な作用を示すのではないかと注目を浴びています。(2023年10月現在)
この記事では「ノコギリヤシ」の成分から考えられる効果効能について解説します。

ノコギリヤシとは

育毛や脱毛情報の一環としてたびたび取り上げられる「ノコギリヤシ」。
ノコギリヤシ(学名:Serenoa repens)は、ヤシ科の常緑低木で、主に北アメリカの南東部などで自生しています。 この植物は別名、セロア・レペンスやソープ・パームとも呼ばれています。
ノコギリヤシは小さな実をつけます。 ノコギリヤシの果実は、古くから薬用され健康のサポートとして利用されてきました。
近年になりノコギリヤシには、前立腺肥大症の症状を軽減する作用があり、尿の頻度を減少させたり、尿路の圧力を調整したりする効果も報告されています。(2023年10月現在)
日本ではまだ認可されていませんが、ヨーロッパ諸国ではノコギリヤシエキスは、前立腺肥大症の症状を軽減させる効果があるとして医薬品での販売を認めています。 日本の 厚生労働省のホームページ を参照すると、前立腺肥大に関する排尿症状や脱毛などに対するサプリメントとしては効果が期待できるとしているようです。

ノコギリヤシが育毛につながる理由

ノコギリヤシエキスはホルモンに作用し、何らかの影響を与えることがあると考えられています。 男性型脱毛症(AGA)に対して育毛につながるさまざまな可能性が期待できるようになり、ノコギリヤシエキスが含まれる育毛製品も見かけるようになりました。

5α-リダクターゼ阻害作用がある

ノコギリヤシには「5α-リダクターゼ」と呼ばれる酵素を阻害する作用があるとされています。 5α-リダクターゼは、男性型脱毛症(AGA)の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)を生成します。
通常の毛髪サイクルは休止期→成長期→退行期となって毛根から抜け落ちます。
5α-リダクターゼは、ジヒドロテストステロン(DHT)を生成し、成長途中の毛根に作用します。 予定より早い段階で抜け毛が起こり、結果として毛髪が十分に成長することができず、髪の毛の量も減り男性型脱毛症(AGA)となるのです。
ノコギリヤシエキスは、5α-リダクターゼの働きを阻害することによってジヒドロテストステロン(DHT)の産生が減少し、男性型脱毛症(AGA)の要因にアプローチできるとされています。

抗炎症効果がある

ノコギリヤシには、炎症物質であるLTB(4)を抑制することが研究により発見され、抗炎症効果があるとも考えられています。
脱毛症状には毛穴や頭皮などの炎症により脱毛が促進することもあります。 ノコギリヤシの抗炎症作用により、頭皮の健やかな環境が維持され、健康的な育毛をサポートする一助になると考えられるでしょう。

ノコギリヤシの安全性

ノコギリヤシの育毛効果についてはまだ研究が進行中であり、個人によって効果が異なる可能性は十分にあります。 有効性や副作用についても研究段階であり、はっきりとしたことはわかっていません。
有害作用として頭痛や下痢などが報告されています。 しかし今のところ重篤な症状に関する報告は確認できていません。(2023年10月現在)

5αリダクターゼ阻害薬を飲んでいる人は使用を検討する

デュタステリドやフィナステリドはノコギリヤシエキスと同様に5αリダクターゼ抑制効果のある薬です。 ノコギリヤシの成分を含んだ製品は、これらの作用を強めるなど思わぬ有害事象につながる恐れがあります。
育毛に対する作用ばかりが増強されるわけではないので、使用の際は慎重に判断し、医師への相談も検討しましょう。

女性や子ども、妊娠中の方は慎重に使用を検討する

ノコギリヤシに伴う研究には、女性や子どもに対しての情報が乏しいです。 ノコギリヤシには何らかのホルモンに作用する働きが考えられるため、安易に自己判断することは危険です。
女性であれば女性ホルモン、子どもであれば成長ホルモン、妊娠中の方であれば胎児への影響なども考えられます。
ノコギリヤシを育毛製品として使用したい場合、専門家や医師への相談を検討しましょう。 また、育毛製品を使用する際には信頼性のあるブランドから製品を選び、使用法に従うことが大切です。

ノコギリヤシの有効成分

ノコギリヤシ(学名: Serenoa repens)は、前立腺や育毛に関連する多くの有効成分を含んでいます。
以下は、ノコギリヤシの主要な有効成分とその育毛に対する潜在的な効果についての情報です。
・フィトステロール
ノコギリヤシにはフィトステロールが含まれています。 これは、前立腺肥大症の症状を軽減する助けになるばかりではなく、悪玉コレステロールの低下にも働きかけることがわかっています。
・脂肪酸
ノコギリヤシには脂肪酸が含まれており、これは頭皮や髪の健康につながります。 脂肪酸は毛髪内部にも含まれていて髪の毛の健康維持に役立ちます。 適切な脂肪酸バランスは、髪の成長と健康に影響を及ぼします。

ノコギリヤシと男性ホルモンの関係

ノコギリヤシと男性ホルモン(テストステロン)の関係。
前立腺肥大症や男性型脱毛症などの効果を理解するには重要な要素です。
以下に、ノコギリヤシと男性ホルモンの関係について詳しく説明します。
・前立腺肥大症とテストステロン
ノコギリヤシは、ジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制するとされていて、前立腺肥大症の症状を緩和するとの研究があります。
前立腺肥大症は、前立腺が拡大し尿路症状を引き起こす男性の疾患。
前立腺肥大症はテストステロンとジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれるホルモンによって症状が出現します。 テストステロンは5α-リダクターゼと呼ばれる酵素によってDHTになり、DHTが前立腺の細胞増殖を刺激します。
ノコギリヤシはDHTの産生を抑制するため、前立腺肥大症の症状が緩和すると考えられています。
・男性型脱毛症とテストステロン
男性型脱毛症(AGA)は、遺伝的な要因やホルモンバランスの変化によって生じる男性の髪の薄毛や抜け毛の状態です。
AGAは、ジヒドロテストステロン(DHT)が成長期の毛包に対して作用し、成長期の毛が早く抜け落ちます。 また、毛の成長を抑制するので細く短い毛が増えて進行します。
ノコギリヤシはテストステロンのDHTへの変換を抑制することで、AGAの症状の進行を遅らせる可能性があるとされています。
・テストステロン自体には影響なし
ノコギリヤシはテストステロン自体には影響を与えないとされています。 そのため、男性ホルモン全体のバランスを乱すことなく、前立腺肥大症や男性脱毛症(AGA)の症状にアプローチすることができます。
ノコギリヤシは男性ホルモンに影響を与えることなく「DHTの産生を抑制」することによって起こる症状を抑制すると考えられているのです。
今後さらなる研究により、男性の健康に寄与する可能性が明らかになるかもしれません。

ノコギリヤシの使い方

ノコギリヤシを使用する場合、日本国内ではサプリメントや外用塗布剤として利用されています。
厚生労働省で推奨されているように、日本ではノコギリヤシエキスはサプリメントとして入手できます。 サプリメントは錠剤やカプセル・パウダーの形態で市販されているようです。
1日の摂取量目安は治療薬などで認可されているヨーロッパの指標を参考にすると、320mgとされています。
サプリメント形態ではありますが、過剰摂取により効果が高まるなどの研究結果もないため、推奨されている使用量をきちんと確認して使用することが重要です。

まとめ

ノコギリヤシは、その成分により前立腺肥大症の症状緩和や男性型脱毛症(AGA)など、男性の健康に対するさまざまな効果が注目されています。
ノコギリヤシエキスはジヒドロテストステロン(DHT)の産生を抑制する効果を持つため、前立腺肥大症や男性型脱毛症(AGA)の原因にアプローチできると考えられているのです。
しかし、ノコギリヤシの効果や安全性についてはまだ研究段階であり、個人差があることも十分に考えられるでしょう。 また、軽度の有害作用も報告されていますが、重篤な副作用については詳細な情報はまだありません。(2023年10月現在)
ノコギリヤシを使用する際には、信頼性のある製品を選び使用法に従うことが大切です。 さらなる研究が進行中であるノコギリヤシ。育毛効果や安全性に関する情報が更新され、よりよい使い方が提示されるのも楽しみです。