【監修あり】若くても薄毛が気になる!若年性脱毛症の予防法について

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この記事では、「若いのに薄毛」になる原因とその予防法や対策についてまとめています。
若いのに薄毛になるのは遺伝的要因も絡んでいますが、あなたの生活習慣による影響も否めません。 あなたの生活習慣が薄毛や抜け毛を加速しているのかも…。
薄毛の原因を知り適切な対応で予防につなげましょう。

若年性脱毛症って何?

男性の髪の毛が年々薄くなっていく現象。
そのうちのほとんどは「男性型脱毛症」で「AGA」ともいわれています。
とくに、男性型脱毛症の中でも10代〜20代の若年層に起こる症状を「若年性脱毛症」と呼びます。 早ければ高校生などの10代の男性でも起こり始める症状です。

若年性脱毛症が近年増えつつある。進行の仕方は3タイプ。

少し古い資料ではありますが2010年版の男性型脱毛症診療ガイドラインによると、日本人の男性型脱毛症の発生頻度は20代で約10%、30代で20%、それ以降は年齢とともに高くなっていきます。 若年者でも10人に1人は薄毛で悩んでいる実情があるのです。
その症状の出方はさまざまです。
・額の生え際から後退していく「M字型」
・頭頂部付近から徐々に薄毛になっていく「つむじ型」
・前額部が徐々に後退していく「U字型」
などがあります。
最近では食生活の欧米化にともない、脂っこい食事を好んで食べる若者も増えてきました。 スマホや動画コンテンツをはじめとする、世の中の娯楽が日常生活に手軽に影響を及ぼすことから、生活習慣の乱れが起こりやすくなります。
さらに高度化した社会での精神的・心理的ストレスなどさまざまな要素が原因で頭皮環境の悪化をもたらし、若年性脱毛症が増加している要因になっているといわれているのです。

髪が生えるメカニズムと抜けるメカニズム

抜け毛を知る前に、「毛が生えるメカニズム」にも簡単に触れておきましょう。髪の毛だけに限らず、私たちには体毛も含めて毛が生えて自然に抜け落ちるまでのサイクルがあり、これを「毛周期」といいます。体の部位により期間は変わりますが、頭髪の場合は2年〜6年です。

毛が生えるサイクル「毛周期」

毛周期は「成長期・退行期・休止期」の時期があり、そのサイクルが安定して訪れるからこそ、髪の毛の長さと量、太さを維持しています。
     
成長期 髪の毛を作り出す毛母細胞が細胞分裂し、2年〜6年かけて新しい毛を作る。
軟毛から徐々に太くしっかりした毛になるのは毛母細胞の働きによるもの。
退行期 毛母細胞の分裂が弱くなり髪の毛の成長が徐々にとまる。
この期間は2週間~3週間程度。
休止期 休止期の期間は3〜4か月。毛母細胞の分裂が完全にとまる。
毛根が細く浅くなるので、抜け落ちやすくなる。
脱毛症・AGA の場合は、成長期の毛周期サイクルが乱れ、成長期の期間が短くなります。
通常成長期には髪の毛が太くしっかりした毛に成長しますが、脱毛症では成長しきる前に退行期に入るので、細く柔らかい系の状態のまま休止期に入り髪の毛が抜け落ちます。
結果として髪の毛そのものが細く短い毛が増え、抜け落ちるのも早くなるので、薄毛が目立ちます。

若年性脱毛症(AGA)の原因

薄毛や抜け毛の原因には色々ありますが、大きな要因は、「遺伝」と「ホルモン」の2つ。
それでは実際に、その要因について掘り下げていきましょう。

男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」がAGAを引き起こす

AGAや脱毛症について少しでも調べたことがある人なら、このホルモンの名前を聞いたことがあるのでは?
ジヒドロテストステロン(以下:DHT)は元々テストステロンと呼ばれる男性ホルモンです。
DHTが頭髪を作り出す毛母細胞の中にある毛乳頭の受容体と結びついて、正常な毛髪の生育が促されず、頭髪の成長サイクルを狂わせてしまうのです。
テストステロンは、成長期に入れば誰でも分泌されるホルモン。
高校生などの若年者でもAGAになるのはテストステロンが分泌され始めるからです。
DHTが受容体に結びつくと、成長期のサイクルが2か月から1年ぐらいになり、退行期・休止期になり薄毛や脱毛が進行します。
「ホルモンが薄毛(AGA)を引き起こす要因」
①テストステロンがDHAに変化
②DHAが毛乳頭受容体と結合する
③頭髪が十分に成長できなくなる

遺伝が薄毛(AGA)につながる

「薄毛は遺伝する」というのを聞いたことはありませんか?それはあながちウソではありません。 前項で、DHTがAGAを引き起こす要因になると説明しました。
AGAの要因となるDHT。 DHTはテストステロンが「5αリダクターゼ」の影響を受け変性したものです。
この「5αリダクターゼ」の活性具合と、DHTと結びつく受容体の数は遺伝によって決まっているといわれています。
DHTと結びつく受容体の数は、男性の場合母方からの遺伝が影響するといわれています。 受容体の数が多いということは、すなわちDHTの影響を受けやすい体質といえるでしょう。
一方で5αリダクターゼが活発に働きかける要素は父方母方関係なく、その遺伝子を持っていれば子どもに遺伝する可能性があるといわれています。
「遺伝が薄毛(AGA)につながる要因は2つ」
①「5αリダクターゼ」と呼ばれる酵素の活性具合が遺伝する
②DHTと結合する受容体の多さが遺伝する

生活習慣も要注意!髪に対する悪習慣は薄毛(AGA)を加速させる

AGAなどで内服治療をしても、はっきりとした効果が得られなければあなたの生活習慣が影響している可能性もあります。
食事や睡眠・運動・ストレスなどの生活習慣が悪い人は、5αリダクターゼの働きを強めるため、DHTが増えることがわかっています。
薄毛(AGA)の症状を改善したいと思うならば、あなたの生活習慣もしっかりと見直す必要があるでしょう。

食習慣

食生活が乱れている人は、糖質や脂質の過剰摂取が多く、髪に本来必要な栄養素が不足しています。
糖質や脂質を多く摂っていると、血中のコレステロールが増加し血流が滞りやすくなります。 髪の成長に必要な栄養素が運搬されにくくなるのです。
さらに糖質過多の状態は、体の中で糖化が起こり毛母細胞の活性が弱くなります。 結果として、ヘアサイクルが乱れ、薄毛を助長します。
髪によい食事を考えると大切なのは 「タンパク質・ビタミンC・ビタミンB群・亜鉛」です。
毛母細胞の中で頭髪を生み出すために働いている酵素を活性化させます。
さらに、タンパク質は髪の毛の成分そのものです。
これらの栄養素をバランスよく食べることが、髪の毛にとってよい食習慣といえるでしょう。

睡眠不足

髪の成長を促すには睡眠が大切。とくに髪の成長に欠かせない「成長ホルモン」は、髪を太く長くし、頭皮の改善にも貢献します。
十分な睡眠時間が取れないと成長ホルモンが分泌されず、髪の成長が滞ります。 さらに、疲労が蓄積すると頭皮の血流が悪化し、さらなる薄毛を進行させます。

ストレス

多様な社会影響により、今や日常的に聞く言葉でもある「ストレス」。
ストレスは心理面や精神敵要因として語られていますが、実際には外部から何かしらの刺激により影響があることを表す言葉です。
ストレスには交感神経と副交感神経が大きく影響しています。
・交感神経は体を活動状態にさせます。
・副交感神経は体を休息させる働きをします。
何かしらの外的要因によりストレスがかかっていると、この交感神経と副交感神経の働きがうまくキープできません。
ストレスにより自律神経がうまく働かなくなるとホルモンバランスが乱れます。 そうすると成長ホルモンの恩恵が得られず、髪の正常な成長が促されません。
さらに、テストステロンがDHTに変換する量も増えるので、薄毛を加速する要因になります。
生活習慣による最大の敵はストレスといっても過言ではありません。

自分でできる薄毛対策、改善・予防法

薄毛の要因として生活習慣が大きな影響を及ぼしていることは、前項の説明でわかりました。
自分でできる薄毛対策としては、生活習慣を髪によいものへとシフトしていくことが大切です。

バランスのよい食事を

繰り返しにはなりますが、髪の毛にとってよい栄養素は「タンパク質・ビタミンC・ビタミンB群・亜鉛」です。
お肉大好きな人には朗報かもしれませんが、肉の種類によっては脂肪が多く含まれているものもあります。 脂肪分が多いと血中のコレステロール値が上がり、髪に悪影響を及ぼすことも。
髪の栄養素として摂取するたんぱく源は、できれば魚や卵大豆製品などから摂るのがおすすめです。 とくに魚の中に含まれるDHAやEPAは血流を改善する効果も認められています。
しっかりと熟睡し良質な睡眠を
普段の生活で「寝つきが悪い」「熟睡できない」と感じていませんか?そんなときは体内リズムが乱れているかも。
スムーズに入眠し、しっかりと深い眠りを促すホルモンは「メラトニン」です。
光に反応するホルモンで、朝起きて太陽の光を浴びると体内時計がリセットされメラトニンの分泌がとまります。
光を浴びてから14〜15時間後に再び分泌されて、眠気を催し睡眠を促します。 そのまま夜の間にかけて分泌され続け、夜中にピークを迎えることで熟睡できるのです。
さらに、髪の成長に影響を与える成長ホルモンは、入眠後の3時間が分泌のピークです。
全体の睡眠時間をしっかりと確保すると、深い睡眠に入るサイクルが増え、成長ホルモンが分泌される量も増えてきます。
生活習慣を正し、睡眠を十分に確保して髪の毛の成長を促しましょう。

運動でストレス発散!あらゆるストレスからの解放が薄毛対策のカギ!

ストレスがなくなれば、自律神経が乱れることもなくホルモンもしっかり分泌され、体の栄養もしっかりと供給され、薄毛の進行を防いでくれるでしょう。
ですが普通に考えても、どんな人もストレスがゼロになることはほとんどありません。 ストレスの要因がわかっているならば、うまく発散し上手に付き合っていくことで髪への影響も少なくできるはず。
なかでもオススメなのが運動です。 体を動かすと血流も改善し代謝が促され、自律神経の働きもよくなります。
さらに、運動により傷ついた筋肉を回復させるために成長ホルモンが分泌されるので、結果として髪にもいい影響を与えてくれるのです。

タバコやお酒も体にとってはストレス

ストレス発散で忘れてはいけないのが、「禁酒と禁煙」です。
アルコールを摂取すると、肝臓で分解するのにアミノ酸を大量に消費します。 これらのアミノ酸は髪の毛に必要なタンパク質「ケラチン」を作る重要な栄養素です。
アルコールの分解に優先して使用されるので、過度な飲酒は薄毛を進行させる要因になります。
さらに、喫煙がよくない要因はニコチンと一酸化炭素です。 ニコチンは血管を収縮させるので、髪まで栄養が行き届かなくなります。ニコチンは髪の成長に大切なビタミンCを破壊します。
喫煙は体への弊害も明らかになっているので、薄毛が気になる人は禁煙を試みましょう。

若年性脱毛症(AGA)に対する予防法

これまでは自分で取り組める薄毛対策・予防法を紹介しました。
若年性脱毛症(AGA)に対する予防法としては、自分に遺伝的素因があるかどうかを知り、先手をとって対処するのが大切です。 また、体の栄養状態を知り、髪にとってよい生育環境も整えたいところ。
万が一薄毛を実感し始めたとしても、その要因があるかどうか知っておくことで早いうちに対処できます。
薄毛を自覚してからは、初期治療が今後の症状を左右します。 体内の毛髪に関する環境を知る検査をしてみるのもよいでしょう。

血液検査でアンドロゲンレセプターを調べる

前項でも紹介しましたが、脱毛原因の一つとして遺伝的素因があることがわかっています。
遺伝的素養があったとしても100%若ハゲを発症するわけではありませんが、自分がその素質を保有しているかどうかは、検査で調べられます。 身内の傾向を見て、自分の遺伝的素因を調べておくのもよいでしょう。
素因があることがわかれば、早くから生活習慣などを意識し予防につなげられます。
アンドロゲンレセプターとは、脱毛症の原因となるDHTやテストステロンの受容体でそれを調べる検査です。 DHTの影響を受けやすい体質かどうか調べられます。

毛髪ミネラル検査で体内の環境を知り、頭髪への影響を知る

毛髪ミネラル検査は、自分の髪の毛を少量採取して、体内の栄養素と毒素の量を測定します。
検査結果では、食生活などで不足している栄養素や、髪の毛の中に含まれる有害物質の蓄積などもわかるので、不足している栄養素を効率的に補充したり、有害な物質を排泄するように働きかけられます。

まとめ

薄毛になる原因は、遺伝によるものと、自らの生活習慣です。
遺伝要因は避けることはできませんが、早くから体質を知っておけば予防や対策もできます。 「遺伝だ」「体質だ」と諦める前に、できることはたくさんあるはずです。
自分の生活環境を振り返り、髪にとってよい生活習慣に変化させましょう。
遺伝的要因による影響を少しでも受けないようにして、薄毛(AGA)へ積極的にアプローチしてみましょう。


監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。 同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。