円形脱毛症

どんなことに気をつける?さまざまな円形脱毛症の症状や種類

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髪の毛が円形・楕円形に抜けていく脱毛症を「円形脱毛症」といいます。円形脱毛症は髪が抜けて地肌がくっきりと「コイン状」に見える脱毛症で、症状が進行すると頭部全体や全身にまで脱毛が広がることもあります。進行度合いによっていくつかの種類に分類される円形脱毛症は、それぞれの原因に適した対処が必要です。

円形脱毛症は症状が進むにつれて改善しにくくなるため、初期のうちに治療を開始することが重要です。今回は、円形脱毛症の初期症状や種類別の症状の違い、円形脱毛症を引き起こす原因や、子どもの円形脱毛症で注意すべきことなどをご紹介します。

円形脱毛症の症状

円形脱毛症は、性別関係なく女性でも男性でも起こり得る脱毛症です。10円硬貨ほどの形状に脱毛したのち、自然に髪が生えてくることもありますが、脱毛範囲は頭部のみならず眉毛や全身の体毛にまでおよぶこともあります。

円形脱毛症初期に見られる症状

円形脱毛症は、男性ホルモンの1つであるテストステロンが関係している脱毛症のように段々と薄毛が進行していくのではなく、急に髪の毛が抜けてしまうという特徴があります。その他にも、代表的な初期症状としては以下のようなことが挙げられます。

爪の凹凸

爪甲点状陥 円形脱毛症の症状は頭皮だけに現れるわけではありません。初期症状の代表的なものの1つに「爪の変化」があります。爪の表面が小さくデコボコしてくるようになってきたら、それは円形脱毛症のサインかもしれません。

爪の表面が小さくデコボコする爪甲点状陥凹と呼ばれる症状は、円形脱毛症と深くかかわっていると考えられています。髪の毛と爪は、どちらもタンパク質やミネラルなどが主な成分となっています。髪を作るタンパク質が不足したり、新しく作られた細胞に異常があると、髪が抜けやすくなったり太さが均一でない毛髪が生えてきたりするようになります。

爪と髪は構成する成分が似ているため髪の栄養不足は爪にも影響すると考えられ、爪の表面の変化として現れると言われています。凹凸の形状は多種多様で、爪を横断するような溝が出てくることもあります。また、爪の色が黄色に変化することもあるようです。爪に凹凸や色の変化が見られた場合、医師に相談し頭皮の状態も確認してみましょう。

アトピー性皮膚炎の頭皮への現れ

アトピー性皮膚炎の症状が頭皮に見られる場合は円形脱毛症についても注意が必要かもしれません。後ほど詳しくご紹介しますが、アトピー性皮膚炎は円形脱毛症となんらかの関係があるのではないかと考えられています。アトピー性皮膚炎の兆候が見られる場合、医師のアドバイスを仰ぎながら、抜け毛の様子も観察しましょう。

抜けた毛の根元が細い

健康な毛髪であれば、髪の毛の根元はマッチ棒の頭のようにふくらんだ毛根を見ることができるはずです。しかし、円形脱毛症が原因で抜けた髪の毛は、根元が全くふくらんでおらず先へ行くほど細くなっています。これは、毛根が髪の毛に成長していく過程で何かしらの問題が起こり、きちんと成長しきれなかったことで起こると考えられ、円形脱毛症の初期症状として見られます。

このほかにも、成長不良や免疫細胞に攻撃されることで髪の毛の根元の部分が折れ曲がり、毛根手前で髪の毛がちぎれたりすることもあるようです。

また毛根は通常透明に近い色をしていますが、血行不良などが原因で色がにごり、黒く変色している場合があります。抜け毛が増えたように感じたら、抜け毛の根元をよく観察して変化を見逃さないようにしましょう。

髪を固定している力が弱い

円形脱毛症の場合、軽く引っ張っただけで抵抗や痛みを感じることなく髪の毛が抜けていってしまいます。すでに脱毛が起こっている円形部の周辺に生えている髪の毛は、その特徴が顕著に見られ、痛みを感じにくいまま脱毛が進行してしまうので、脱毛症が進行していることを自覚することがないまま髪が抜けていたというケースもあります。

一部の頭皮に髪を保持する力がなくなると、少しの刺激で髪は抜け落ち、次第に頭皮が現れます。また、頭皮にアトピー性皮膚炎を併発している場合は、痛みやかゆみが起こることもあるといわれています。

脱毛箇所が広がりつつある

円形脱毛症は、初期は小さな脱毛部分であっても、次第に大きな円形に広がっていきます。後頭部などの見えにくい部分は自分ではなかなか気付きにくい場合もありますが、朝起きたときに枕元に抜け毛が多く見られるときは注意が必要です。円形脱毛が進行すると、1つだけだった脱毛箇所が2個以上に広がっていくケースもあります。

円形脱毛症は突然多量の髪の毛が抜けるという特徴があるので、枕の抜け毛をチェックすることで脱毛箇所の広がりに早めに気付くことで、適切な処置を行う必要があります。

円形脱毛症の種類

円形脱毛症には、脱毛の進行の仕方や形状によって、いくつかの種類に分類されるのが一般的です。代表的な5種類の円形脱毛症について、下記にご紹介します。

単発型

単発型

円形脱毛症の中で、もっとも多いと言われている種類の脱毛症です。性別はもちろん、年齢にかかわらず発症するとされていて、治療せず放置していると更に深刻なタイプの脱毛症に進行していくケースも少なくありません。ある日なんの前ぶれもなく、コインのような円形や楕円形の脱毛が起こることが特徴であり、多くの円形脱毛症の症状は1年程度で改善していくと考えられていますが、多発型の円形脱毛症に進行していく場合もあります。早期に治療し、他の円形脱毛症に発展させないようにすることが重要と考えられています。

多発型

多発症

単発型で説明したコイン状の脱毛(脱毛斑)が、複数発症することが特徴である円形脱毛症です。治療を施しても、改善までに2年以上の期間を要するケースもあるとされ、単発型円形脱毛症が進行していくことで発症することが多いと考えられています。症状がどんどん進んでいくと、それぞれの脱毛斑が拡大しながら融合し、1つの巨大な脱毛斑を形成する「多発融合型」に発展するケースも少なくありません。

全頭型

全頭型

脱毛斑が頭皮全体に広がってしまい、結果として髪の毛が全て抜け落ちてしまった円形脱毛症が「全頭型脱毛症」です。単発型から多発型、全頭型と進行していくため、前兆には気付きやすいですが、治療が完了するまでに多大な期間を要するとされています。 治療に長い期間を要することから、抜け毛部分を隠すアイテムを併用しながら心のケアをしていくことも重要になってきます。一見すると老人性脱毛症にも見えますが、子どもや女性にも起こり得る円形脱毛症です。子どもの場合には使用できないステロイド製剤もあるので、円形脱毛症が進行している場合には特に注意が必要です。

汎発型

汎発型

全頭型がさらに進行すると、脱毛の範囲は頭皮だけでなく全身にまでおよんでいきます。眉毛やまつ毛はもちろん、わき毛や陰毛など全身の体毛が脱毛していく円形脱毛症が「汎発型脱毛症」です。症状がかなり進んだ円形脱毛症のため、症状改善には大きな期間を要します。そのため、円形脱毛症のケアとともに、心のケアが非常に重要になってきます。自分の症状と向き合う環境作りもまた必要となるでしょう。家族や職場・学校などの理解や協力を得ながら、じっくり腰を据えて治療していきましょう。

蛇行型

蛇行型

円形脱毛症の中では、非常に珍しいタイプの脱毛症です。蛇行型の円形脱毛症は、後頭部や側頭部の生え際に沿って、蛇行するように脱毛斑が広がっていくことが特徴です。脱毛斑の範囲が大きいため症状が早く進行するので、こちらも改善までに大きな期間が必要になることがあり、場合によっては治るまでに何年もかかるといったケースもあるようです。

円形脱毛症が起こる原因と考えられているもの

円形脱毛症の原因は、いまだはっきりと解明されていません。現在では、円形脱毛症は自己免疫疾患による影響が大きいという説が有力と考えられていますが、その他にもアレルギー体質、インフルエンザやエイズなどの感染症、極度の疲労やストレスなども円形脱毛症の原因となり得ると言われています。以下では、円形脱毛症を引き起こすと考えられている代表的なものを紹介していきます。

自己免疫疾患

円形脱毛症を引き起こす原因として、もっとも重要視されているものです。
自己免疫には、体内の免疫系によってウイルスや細菌などから体を排除する役割があります。なんらかの理由によってこの免疫系が正常に機能せず、正常な細胞まで攻撃しはじめ、髪の毛の根元にある毛包を攻撃してしまうことで毛包は機能を停止し、発毛しなくなると考えられています。

自己免疫疾患は女性に多く、妊娠や出産にともなう女性ホルモンの影響も関係していると言われていますが、明確な根拠は示されていません。

アトピー

円形脱毛症の人のおよそ4割には、アトピー素因が見られるという報告があります。また重度の円形脱毛患者ほどこのアトピー素因の保有率が高い傾向にあり、アトピーと円形脱毛症のかかわりが疑われています。しかしこのアトピー素因と円形脱毛症の関係ははっきりと解明されておらず、いまだ研究段階の分野です。

このようにアトピー性皮膚炎と円形脱毛症のかかわりは懸念されていますが、この2つは異なる病気です。アトピー性皮膚炎だからといって、必ず円形脱毛症になるわけではなく、また、アトピー性皮膚炎が直接の原因となっている脱毛の場合、かゆみやフケが出るといった円形脱毛症とは異なった脱毛が起こります。まずは自分自身の抜け毛の状態を正しく把握することが大切です。

感染症

なんらかのウイルスや細菌に感染することがきっかけとなり、円形脱毛症を発症するケースも少なくありません。インフルエンザなどでの高熱をともなう場合もあれば、熱が出ない場合もあるので自己判断は危険です。感染症が原因で発症した円形脱毛症は、感染症の治療とともに行わなければなりません。まずは医師の指導のもと何の感染症にかかっているのかを検査し、医療機関で適切な治療を行ってください。

極度の疲労

極度の疲労がたまっている場合、円形脱毛症を引き起こしてしまうケースがあります。体に疲労がたまっているにもかかわらずきちんと休息を取らないと、交感神経が優位な状態が慢性化し、血管が収縮します。血管が収縮することで体内の血流が阻害され、頭皮まで栄養を供給することができなくなってしまうことが、疲労による円形脱毛症の原因だと考えられています。

また、血管収縮による栄養不足は、自己免疫の異常を引き起こす可能性も否定できないとされています。適度な休憩や睡眠を十分に取り、バランスの良い食事を心掛けましょう。

ストレス

ストレスがなぜ円形脱毛症を引き起こしてしまうのかについて、はっきりとしたメカニズムは解明されていません。しかしストレスは、興奮状態とリラックス状態を左右する自律神経と大きなかかわりを持ちます。疲労と同じように、ストレスによってこの自律神経が乱れ、交感神経が優位な状態が続くと、免疫細胞である白血球に属する顆粒球が増加し、リンパ球が減少します。

このように、ストレスがかかることによって免疫細胞は正常に機能しなくなり、その結果円形脱毛症を引き起こしてしまうという説があります。

過度なストレスを受け続けた状態で円形脱毛症を発症した場合は、医療機関での治療と並行しながら、きちんと休息を取り、ストレスの軽減を図ることをおすすめします。

タバコ

タバコを吸うと、主成分であるニコチンの作用により毛細血管が収縮します。毛細血管が収縮すると、血液によって頭皮に運ばれる栄養が十分に行き届かなくなるため、髪の毛の健康的な成長が阻害される場合があります。

頭皮の栄養不足が続くと円形脱毛症の原因になることもあるようです。また円形脱毛症に限らず、喫煙は薄毛や抜け毛になりやすい頭皮環境を作ってしまう恐れがあるため、薄毛や抜け毛が気になる場合は喫煙を控えたほうが良いでしょう。

女性に多い円形脱毛症の原因

女性の円形脱毛症 男女の性別にかかわらず発症するとされる円形脱毛症ですが、女性特有の原因と考えられているものもあります。

婦人科疾患(妊娠・出産にともなう脱毛)

妊娠・出産や婦人科疾患、甲状腺障害などが原因でホルモンバランスが乱れると、頭皮への栄養供給が十分行われなくなってしまうことや、自己免疫に異常が現れ円形脱毛症が発症してしまうことがあります。

ピルの服用

女性の避妊薬や月経治療などに用いられるピルもまた、女性ホルモンに作用するため、体内のホルモンバランスが崩れ円形脱毛症へとつながる可能性があります。ピルを使用する際には、必ず医師の指導のもと服用するようにしましょう。

子どもの円形脱毛症について

子供の円形脱毛症 脱毛症は子どもには起こらないのではというイメージを持っている人も多いと思いますが、円形脱毛症は子どもにも十分起こり得る脱毛症です。

子どもの円形脱毛症は大人に比べ改善しにくいとされており、家族や学校など周囲との協力のもとでケアしてくことが非常に重要になってきます。特に自分の感情を明確に伝えることが困難な幼児期においては、円形脱毛症の原因(ストレス・その他の病気など)を解明することは容易ではありません。

子どもの性格によってはストレスを感じていても、親や先生に迷惑をかけないように「優等生」を演じてしまうこともあるでしょう。このようなストレスによる円形脱毛症を防ぐためには、子どもとの密なコミュニケーションが重要になってきます。

まずは子どもの栄養状態等の体調管理に気を配り、ストレスを解消しやすい環境作りを行いましょう。

また、自分で髪の毛を抜いてしまう「抜け毛症」と円形脱毛症を間違ってしまうケースもあります。抜け毛症は、脱毛斑が明確ではないことや、髪の毛が途中で千切れているという特徴がありますが、判別が困難な場合もあるので、頭皮が見えるような抜け毛状態を見つけたら、必ず専門機関・専門医に相談するようにしましょう。

おわりに

今回の記事では、円形脱毛症の種類と原因などについてご紹介してきました。円形脱毛症には、進行度合いによっていくつかのタイプに分けられ、自己免疫疾患やストレス、極度の疲労などが原因として挙げられます。また中には感染症や婦人科疾患のような「病気」が原因と考えられる円形脱毛症もあるため、自己判断はせず、専門家による脱毛状態の見極めを行い、その症状を改善することが重要です。

一般的に、円形脱毛症=ストレスと認識されている方も多くいますが、円形脱毛症はストレスによるものだけではありません。最近髪の毛が薄くなってきたという人は、爪や毛髪の先、頭皮を観察し、不安がある場合は専門医を受診するようにしてください。もちろん、ストレスケアや疲労をケアすることも重要です。

日ごろからきちんと睡眠を取り、食事のバランスを見直しながら、疲労やストレスをためこまないように注意しましょう。そして何より、円形脱毛症の兆候が見られる場合にはいち早く医師に相談し、正しい治療法を見つけてもらいましょう。