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薄毛・抜け毛研究所
2025.08.06
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喫煙と薄毛は関係ない?2025年最新研究と医師の見解から徹底解説!
喫煙者に薄毛が多いという声を耳にしますが、タバコを吸っていても髪がフサフサな人もいて、はっきりしない印象を持っている方も多いのではないでしょうか。
これまで喫煙と薄毛の関係についてはさまざまな意見や憶測が飛び交ってきました。
しかし近年では、国内外の研究によって「タバコが毛髪や頭皮に与える影響」が徐々に明らかになりつつあります。(2025年6月現在)
この記事では、喫煙が髪の健康に及ぼす具体的な影響やそのメカニズム、さらに禁煙による回復・改善の可能性について、医学的な根拠に基づいて解説します。
喫煙と薄毛は「関係ない」って本当?

「タバコを吸っていても薄毛じゃない人もいるし、関係ないんじゃない?」
そんなふうに感じたことがある人も多いかもしれません。実際、「喫煙と薄毛は関係ない」という意見はネット上でも見かけます。
しかし、髪の毛の状態は遺伝や年齢、生活習慣など多くの要因が複雑に絡み合っているため、喫煙だけを切り取って判断するのは難しいのが現実です。
だからこそ「本当に関係ないのか?」という問いに対しては、感覚や印象ではなく医学的な根拠や最新の研究結果をもとに検証する必要があります。
この記事では喫煙が髪や頭皮にどのような影響を与えるのか、科学的な視点から丁寧に解説していきます。喫煙者の方はもちろん、身近に喫煙者がいる方や薄毛対策を始めたい方も、ぜひ参考にしてください。
最新研究でわかった喫煙と薄毛の意外な関係

「喫煙と薄毛は関係ない」と思われがちですが、近年の研究ではその見方に再考を促すデータが登場しています。
特に注目されているのが、喫煙習慣と男性型脱毛症(AGA)やびまん性脱毛症との関連についてです。ここでは、2025年最新の医学的な研究結果をもとに、喫煙と薄毛の“意外な関係”を掘り下げていきます。
喫煙でAGAリスクが1.8倍に?
国際皮膚科学会誌(InternationalJournalofDermatology)に掲載された研究によれば、喫煙者は非喫煙者に比べてAGA(男性型脱毛症)のリスクが約1.8倍高まると報告されています。
この研究では男性喫煙者と非喫煙者を対象に、薄毛の有無や進行度について比較調査を行いました。
さらに1日10本以上吸う男性は、10本未満の喫煙者に比べてAGA発症リスクが高い(OR=1.96)、AGAがすでにある男性でも、喫煙者の方が病状の進行が有意に進みやすい(OR=1.27)ということもわかりました。
実際にタバコに含まれるニコチンや有害化学物質が、血流を悪化させることはすでにわかっています。
血流が悪くなれば毛根への栄養供給を妨げるだけでなく、ジヒドロテストステロン(DHT)が増え、AGAの進行を促進するリスクもあるとされています。
女性の薄毛にも喫煙は影響する?
喫煙による薄毛の影響は男性だけではありません。女性に多い「びまん性脱毛症」や「FAGA(女性男性型脱毛症)」においても、喫煙が悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。
女性の場合、喫煙はエストロゲン(女性ホルモン)の分泌を抑える働きがあるため、ホルモンバランスが乱れやすくなります。
女性ホルモンは健やかな髪の成長に貢献しています。女性ホルモンの分泌が悪くなれば髪の成長サイクルが短くなり、毛が細く・抜けやすくなるという悪循環に陥るリスクもあります。
また、喫煙は血管の収縮や活性酸素の発生を引き起こし、頭皮の血行不良や酸化ストレスを招くため、女性の頭皮環境にも深刻なダメージを与えます。
つまり、結論として喫煙は男女を問わず髪や頭皮にとってマイナスの要因となり得るというのが、近年の研究から導き出されています。
薄毛を予防・改善したいなら、まずは「タバコとの付き合い方」から見直してみる必要があるかもしれません。
喫煙が髪に与える4つの悪影響

「喫煙=薄毛とは限らない」と思われるかもしれませんが、タバコに含まれるさまざまな有害物質は、知らず知らずのうちに髪や頭皮に深刻なダメージを与えています。
ここでは喫煙が髪に及ぼす悪影響のうち、代表的な4つを解説します。
1.血流が悪化し、毛根に栄養が届きにくくなる
ニコチンには血管を収縮させる作用があり、頭皮の毛細血管もその影響を受けます。
その結果、毛根に必要な酸素や栄養素が十分に行き届かなくなり、髪の成長が妨げられる原因になります。また、本来排泄される老廃物の運搬も滞ります。
血行不良は総じて、髪のボリューム不足や抜け毛の増加につながりやすくなります。
2.ジヒドロテストステロン(DHT)が増える
喫煙は体内のホルモンバランスにも影響を及ぼします。特に、AGAの主因とされる「DHT(ジヒドロテストステロン)」の増加を促すことが報告されています。
DHTは毛根を萎縮させる働きがあり、毛の成長サイクルを短縮してしまうため、抜け毛が進行しやすくなります。
3.活性酸素の増加で毛母細胞が老化
タバコに含まれる化学物質は、体内で活性酸素(フリーラジカル)を大量に発生させます。この活性酸素は細胞の酸化を進め、老化を加速させる原因に。
毛を生み出す「毛母細胞」も酸化ダメージを受けることで正常に働かなくなり、薄毛や細毛のリスクが高まります。
4.化学物質がDNAを傷つける可能性も
喫煙によって取り込まれる多環芳香族炭化水素などの発がん性物質は、細胞のDNAを傷つける可能性があるとされています。
これは皮膚や頭皮の細胞も例外ではなく、毛包細胞にもダメージが及べば、毛の正常なヘアサイクルにも悪影響を及ぼすリスクがあります。
禁煙は薄毛対策の第一歩

喫煙が薄毛リスクを高めることがわかった今、「禁煙」はもっとも手軽で効果的な薄毛対策のひとつです。
髪の健康を取り戻すには、まず「マイナス要因」を取り除くことが大切。禁煙によって体内環境が整えば、頭皮や毛根にも良い影響があらわれやすくなります。
禁煙による髪への好影響
禁煙を始めると、次のような育毛につながる良い影響が期待できます。
血行の改善
喫煙による交感神経への刺激の機会が減り、血管収縮が緩和されると頭皮の血流が良くなります。
頭皮の血流が改善されると毛根に栄養や酸素が届きやすくなり、髪の成長が促進される環境が整います。
ホルモンバランスの安定につながる
喫煙はホルモン分泌にも影響を与えますが、禁煙するとホルモンの乱れが軽減され、DHT(ジヒドロテストステロン)の過剰生成が抑制されやすくなります。
細胞へのダメージが減る
喫煙はホルモン分泌にも影響を与えますが、禁煙するとホルモンの乱れが軽減され、DHT(ジヒドロテストステロン)の過剰生成が抑制されやすくなります。
禁煙方法3選
「タバコをやめたいけどなかなかやめられない…」という方のために、実践しやすい禁煙方法を3つ紹介します。
ガム・飴を活用する
口寂しさを紛らわせるにはガムや飴も有効な対処法の一つ。
とくに禁煙専用のガム(ニコチンガム)を活用すれば、禁断症状を和らげながら禁煙を進めることができます。
趣味に置き換える
喫煙の習慣が手持ち無沙汰からくる場合は軽い運動やゲーム、読書など「吸いたくなる時間帯に別の行動をする」ことで、無意識の習慣を断ち切ることにつなげられます。
禁煙外来の活用
自分ひとりで禁煙するのが難しい場合は、禁煙外来を検討しましょう。
最近ではオンラインでの受診も可能になっており、忙しい人でも始めやすくなっています。
医師によるカウンセリングや処方薬(チャンピックスなど)を使うことで、無理のない禁煙にチャレンジすることができます。
禁煙によるストレスに注意!
禁煙を始めたばかりの頃、「かえって抜け毛が増えた気がする…」という人もいます。
ニコチンの離脱症状や生活リズムの変化によるストレス増加が、自律神経やホルモンバランスを一時的に乱し、末梢血管への血流を抑制してしまうことも...。結果的にヘアサイクルに影響を与えることがあり、休止期脱毛(びまん性の抜け毛)が一時的に目立つことも。
ですが、心配は不要です。禁煙を継続することで体内環境は少しずつ改善され、髪の毛も回復傾向に向かうのが一般的です。焦らずに心身のケアを並行して行うことが、薄毛の改善には重要です。
薄毛を防ぐには「喫煙以外」も見直そう

喫煙は薄毛リスクのひとつにすぎません。
髪の健康を守るには、日々の生活習慣をトータルで見直すことが大切です。
以下のような要素も、髪の成長に大きく関わっています。
・睡眠の質を高める
髪の再生には睡眠時に分泌される成長ホルモンが重要です。成長ホルモンは入眠後2時間ほど経過した深い睡眠時に分泌されます。
睡眠時間をしっかり確保することも理想的ですが、時間よりも質の良い睡眠をとることを意識しましょう。
・バランスの良い食事
タンパク質、鉄分、ビタミンB群、亜鉛など、毛髪の原料となる栄養素を意識的に摂取しましょう。
また、過剰な糖質や脂質はいわゆるドロドロ血の要因になるので控えた方が良いでしょう。
・ストレスを溜め込まない
運動や趣味、入浴、カウンセリングなどでメンタルを安定させることも抜け毛の抑制の一助になります。自分なりのストレス解消法を見つけ、適度にリフレッシュして過ごしましょう。
・適切な頭皮ケア
強い洗浄剤や過度なブラッシングを避け、頭皮に優しいシャンプーや育毛剤でのケアも意識しましょう。毎日の小さな積み重ねが、ダメージ軽減にもつながります。
喫煙をやめることは大きな第一歩ですが、それだけではなく“髪が育ちやすい環境”を整えることが薄毛予防・改善への近道です。日々の生活を見直して、健やかな髪と頭皮を育てていきましょう。
まとめ

喫煙は血流悪化・ホルモンバランスの乱れ・活性酸素の増加といった多方面から、髪と頭皮に悪影響を与える要因です。
男性型脱毛症(AGA)はもちろん、女性のびまん性脱毛症やFAGAにも、喫煙の影響が関与していることが最新の研究で示されています。
「喫煙=薄毛」ではないにせよ、髪の健康を守りたいと考えるなら、タバコは明らかなリスク要因になります。禁煙は、髪の将来のためにできる最も確実で効果的なセルフケアの一つです。
もちろん、禁煙だけで髪の状態すべてが回復するわけではありません。睡眠・食事・ストレス管理・適切な頭皮ケアなど、日常生活の積み重ねも非常に重要です。
まずは「タバコを減らす」ことからでも構いません。
今日からできることを一歩ずつ積み重ねて、健やかな頭皮と髪の環境を整えていきましょう。
監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。 同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。