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薄毛・抜け毛研究所
2025.04.23
- 豆知識
【医療監修あり】女性の薄毛治療の最前線|最新の治療法と選び方を徹底解説!

「最近、髪のボリュームが減った気がする」
「分け目が目立つようになってきた」
このような悩みを持つ女性が増えています。
女性の薄毛は、ホルモンバランスの変化やストレス、生活習慣の乱れなど、さまざまな要因が絡み合って発症します。
近年、女性の薄毛治療は大きく進化しており、従来の内服薬・外用薬だけでなく、再生医療や光治療、植毛といった最先端の治療法も選択できるようになりました。 最新の研究によって薄毛のメカニズムが解明されつつあり、それにともない治療法も多様化しています。(2025年4月現在)
この記事では、最新の女性薄毛治療の選択肢や、自分に合った治療の選び方から効果が出るまでの期間について詳しく解説します。 ぜひ参考にしてください。
最新の女性薄毛治療法

薄毛治療といえば、かつては男性向けの薄毛治療が主流でした。 しかし、近年女性も薄毛や脱毛症状で悩まされる方も増えており、その原因は男性の要因とは大きく異なります。
女性の薄毛や脱毛の原因が徐々に解明されつつあるとともに、その治療法も多岐にわたるようになりました。 ここでは女性向けの薄毛治療の最新情報を解説しています。
内服薬・外用薬による治療
女性の薄毛治療において、最も一般的で取り組みやすい方法の一つが内服薬や外用薬を使用する治療です。
内服薬はホルモンバランスを整えたり、髪の成長を促進する成分を補給する役割を果たします。 一方、外用薬は頭皮に直接作用し、毛根の活性化をサポートします。
2025年4月現在、最新の治療方法として注目されている内服薬・外用薬について解説します。
①ミノキシジル
ミノキシジルは、高血圧治療薬の開発中に発見された成分です。 発毛促進作用を持つ成分で、血流を改善し毛母細胞に栄養を届けることで発毛を促します。
女性の場合、日本では2%以下のものが標準使用される濃度です。 5%の濃度のものは医師の判断のもとの使用が推奨されています。
②パントガール
パントガールは、髪の健康を維持するための栄養補給を目的としたサプリメントで、主流となる成分「パントテン酸カルシウム」のほかに、アミノ酸やビタミンB群が含まれています。
特に、びまん性脱毛症に悩む女性に処方されることが多く、髪のハリやコシを改善する効果が期待されています。
③スピロノラクトン
もともと利尿薬として使用されている成分です。 女性ホルモンのバランスを整える作用があり、薄毛治療にも応用されています。
特に、女性男性型脱毛症(FAGA)の進行を抑える目的で使用されることがあります。
再生医療による治療
近年では、再生医療と呼ばれる「成長因子」と頭皮に直接注入する毛髪再生治療が注目されています。
再生医療はさまざまな細胞に分岐する前の幹細胞を活用して、毛包の再生を促す治療法で、従来の方法よりも高い発毛効果が期待できます。 再生因子として活用される製剤には幹細胞培養上清液(エクソソーム)のほかに、患者さん本人の血液から抽出・生成した成長因子を用いる場合もあります。
毛根にあるさまざまな髪の成長につながる細胞を活性化し、発毛をサポートする最先端の方法です。 また、成長因子のほかにあわせてビタミン、アミノ酸を含む薬剤を頭皮に直接注入することも可能です。
細胞の活性を促すだけではなく、髪の健康と成長を助ける「土台」を整えることで血行促進効果も期待でき、薄毛の進行を抑えながら発毛を促します。
低出力レーザー・光治療
レーザーやLEDライトを活用した治療法も、女性の薄毛治療において注目されています。 低出力レーザーは頭皮の細胞を活性化させ、毛母細胞の働きを促進する効果が期待できます。
レーザーや光治療は痛みが少なく、ダウンタイムもないので手軽に取り入れやすい点が特徴です。 また、自宅で使用できるレーザー機器やLED照射機器も販売されており、クリニックに通わずにケアを続けることも可能になっています。
植毛治療
進行が進んだ場合の治療法として、自毛植毛があります。 自毛植毛は後頭部や側頭部などから健康な毛髪を採取し、薄毛部分に移植します。
移植された毛髪は定着すると自然に成長し続けるため、長期的な改善が期待できます。
女性の薄毛はなぜ起こるのか?
女性の薄毛は男性の薄毛とは異なり、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症します。 特に加齢にともなうホルモンバランスの変化や生活習慣の乱れが影響しやすく、薄毛の進行パターンも個人差が大きいのが特徴です。
ここでは、女性に多い薄毛の種類や主な原因について詳しく解説します。
女性に多い薄毛の症状
女性の薄毛にはいくつかの症状があります。比較的みられやすいのが「びまん性脱毛症」と「FAGA(女性男性型脱毛症)」です。
びまん性脱毛症は、髪全体のボリュームが減少し、均一に薄くなるのが特徴です。 特定の部分だけが薄くなるのではなく、全体的に毛が細くなり、地肌が透けてみえるようになります。
加齢や栄養不足、ストレスなどが原因となることが多く、女性の薄毛の中で最も一般的なタイプの一つです。
FAGA(女性男性型脱毛症)は、男性のAGA(男性型脱毛症)と似たような進行パターンを示しますが、女性特有のホルモンの影響などが複雑に絡むため、症状に個人差があるのも特徴です。 女性ホルモンの影響によって発症するため、ホルモンバランスの乱れやすい40代以降の女性に多くみられます。
女性の薄毛の主な原因

女性の薄毛は、さまざまな要因によって生じます。 その中でも特に影響が大きいとされるのがホルモンバランスの変化、遺伝、不規則な生活習慣、栄養不足、ストレス、頭皮環境の悪化などです。
そして薄毛につながる原因は単一のものではなく、複数の因子が複雑に絡み合って生じると考えられています。
ホルモンバランスの変化
ホルモンバランスの変化は、女性の薄毛の大きな原因の一つです。 特に更年期に入ると、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少し、男性ホルモンの影響を受けやすくなります。
その結果、髪が細くなったり抜け毛が増えたりすることがあるのです。 また、出産後のホルモンの急激な変化によって、一時的に抜け毛が増える「分娩後脱毛症」が起こることもあります。
遺伝
遺伝は薄毛の発症に影響していると考えられています。 男性よりは要因値としては少ないと考えられていますが、母親や祖母が薄毛だった場合、その体質を受け継ぐ可能性があります。
生活習慣
不規則な生活習慣は髪の健康に大きく影響します。 睡眠不足や過度なダイエット、暴飲暴食などが続くと毛根に十分な栄養が行き渡らず、髪が細くなったり抜けやすくなったりします。
また、栄養不足も薄毛の原因の一つです。 髪の成長には、タンパク質やビタミンB群、鉄分、亜鉛などの栄養素が必要ですが、食生活の乱れによってこれらの栄養素が不足すると、髪の成長が妨げられます。
ストレス
ストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、血流を悪化させることで薄毛を引き起こすことがあります。 特に、慢性的なストレスを抱えているとヘアサイクルが乱れ、抜け毛が増える原因になります。
頭皮環境
頭皮環境の悪化は薄毛のリスクを高めます。 過剰な皮脂分泌や乾燥、紫外線ダメージなどによって頭皮の状態が悪化すると毛根の働きが弱まり、髪が抜けやすくなることがあります。
女性の薄毛を改善するためにできること

女性の薄毛は複数の要因が絡み合って発症するため、単一の対策だけでは改善が難しいこともあります。 自分に合ったケアを見つけ、早めに対策を講じることが健康な髪を維持する鍵となります。
ここでは、薄毛を改善するためにできるセルフケアについて解説します。
生活習慣の見直し
①食生活
髪の健康を維持するためには、体の内側からのケアが不可欠です。 バランスのとれた食生活は、髪を構成する栄養素を十分に摂取するために欠かせません。
髪の主成分であるタンパク質(鶏肉、魚、大豆製品)、髪の成長をサポートする鉄分(レバー、ほうれん草)、亜鉛(牡蠣、ナッツ類)は積極的に摂取するよう心がけましょう。
これらの栄養素が不足すると髪が細くなったり、抜けやすくなったりする原因となります。
②良質な睡眠
良質な睡眠も髪の健康に影響を与えます。 睡眠中には成長ホルモンが分泌され、髪の修復や成長をサポートします。
睡眠時間が不足したり、睡眠の質が低下するとヘアサイクルが乱れ、抜け毛が増える要因になり得ます。
可能であれば毎日7〜8時間の睡眠を確保し、就寝前にはスマートフォンやPCの使用を控えることで深い睡眠がとれるよう質の良い睡眠のための生活習慣を意識しましょう。
③ストレス管理
ストレス管理はホルモンバランスを整えるために重要です。 過度なストレスは自律神経の乱れを引き起こし、血行不良やホルモンバランスの乱れにつながることがあります。
適度な運動や深呼吸、趣味の時間を作るなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。
頭皮環境の改善
頭皮の状態が悪化すると毛根の働きが弱まり、髪の成長が妨げられることがあります。 健やかな髪を育てるためには、頭皮の健康を保つことも不可欠です。
①低刺激のシャンプーを使用する
低刺激のシャンプーを使用することで頭皮の負担を減らし、皮脂バランスを整えることにつながります。 硫酸系の強い洗浄成分を含むシャンプーは、頭皮の乾燥や刺激につながるため、アミノ酸系のマイルドなシャンプーを選ぶとよいでしょう。
また、シャンプーの方法も大切です。 しっかりと泡立てて、指の腹で優しく洗うことで毛穴の汚れを取り除きながら頭皮を傷つけずにケアすることができます。
②紫外線対策
紫外線対策も頭皮の健康を守るために重要です。 頭皮が紫外線を浴び続けると、乾燥や炎症が起こりやすくなり頭皮ダメージの原因となります。
外出時には帽子をかぶる、日傘を使う、UVカットスプレーを使用するなど、頭皮を紫外線から守りましょう。
髪型・スタイリングの工夫
日常的に行っている髪型やスタイリングが、薄毛を悪化させる原因になっていることがあります。 髪への負担を減らし、健康な状態を保つために、スタイリング方法を見直すことも大切です。
牽引性脱毛症を防ぐため、髪をきつく結ぶことを避けることが重要です。
ポニーテールやお団子ヘアなど、長時間髪を引っ張るスタイルは毛根に負担をかけ、抜け毛を引き起こす可能性があります。 また、分け目を変えることで毛根への負担を分散させることができます。
参照:【医療監修あり】牽引性脱毛症とは?原因・対策・改善方法を徹底解説
最新の女性薄毛治療の選び方

女性の薄毛治療には多くの選択肢があります。 自分の原因にあう治療法を見つけることが重要です。
ここでは、治療の選び方やクリニック選びのポイント、効果が出るまでの期間について詳しく解説します。
症状による治療の選び方
女性の薄毛治療には内服薬や外用薬、メソセラピー、植毛治療などさまざまな方法があります。 どの治療を選ぶかは薄毛の進行度や体質、予算などによっても異なります。
・軽度の薄毛(予防・初期症状)
→ ミノキシジルやパントガールなどの外用薬・内服薬、生活習慣の改善
・中等度の薄毛(ボリュームダウンが気になる)
→ メソセラピー、レーザー治療、ホルモン治療など
・重度の薄毛(進行が進んでいる)
→ 植毛治療、幹細胞治療など
一般的に症状が進行するほど、改善までにかかる期間は長く、費用は高くなりがちです。 治療による改善を目指すほかに、医師の指導のもと日常生活の改善も必要になるでしょう。
クリニック選びのポイント
薄毛治療を受けるクリニックを選ぶ際には以下のポイントもチェックしておきましょう。
1.治療方法の選択肢が豊富か
女性の薄毛の原因は多岐にわたるため、複数の治療法を提供しているクリニックを選ぶことが望ましいです。 内服薬や外用薬だけでなく、メソセラピーや光治療、植毛など、幅広い治療法を用意しているクリニックでは自分の症状や予算にあわせた治療が受けられる可能性が高くなります。
2.費用が継続しやすいか
薄毛治療は継続することで効果が期待できるものが多いです。長い目で見て、費用の負担も考慮する必要があります。 治療内容によっては長期間の通院が必要となるため、無理なく続けられる価格設定のクリニックを選びましょう。
初診料やカウンセリング費用が無料のクリニックもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
3.医師の専門性が高いか
薄毛治療を専門に行っている医師が在籍しているかどうかも重要なポイントです。
特に、女性の薄毛治療の場合、その要因は多岐にわたり複雑に絡み合っています。 女性の薄毛治療に詳しい医師がいるクリニックを選ぶと、より的確な診断や治療方針を提案してもらえます。
また、カウンセリングの際に症状や悩みに対して親身に対応してくれるかどうかもチェックしましょう。
4.通いやすいか
定期的に通院が必要な治療を受ける場合、自宅や職場からのアクセスがいいクリニックを選ぶと、通院の負担を軽減できます。 近年ではオンライン診療を行っているクリニックも増えているため、通院が難しい場合は遠隔診療の対応有無も確認しておくと便利です。
治療開始から効果が出るまでの期間
女性の薄毛治療では、治療を開始してから3〜6ヶ月で変化を感じることが多いとされています。
これは、髪の毛のヘアサイクルが約3ヶ月〜半年かかるためです。 個人差もありますが、一般的には以下のペースでの改善が期待できます。
・1〜2ヶ月目:抜け毛の量が減少し、現状維持の状態が続く
・3〜6ヶ月目:新しい毛が生え始め、髪のボリュームが増してくる
・6ヶ月以降:さらに発毛が進み、目に見えて改善が感じられる
治療法や薄毛の要因により効果の出方には個人差があります。治療方法や体質によっては1年以上の継続が必要になるケースも。 また、治療を途中でやめると元の状態に戻ってしまうこともあるため、継続的なケアが大切です。
まとめ

女性の薄毛治療はここ数年で大きく進化し、多くの治療法が選択できるようになりました。
内服薬や外用薬による治療はもちろんのこと、再生医療やレーザー治療など最新の技術を取り入れた治療法も登場し、それぞれの症状やライフスタイルに合ったアプローチが可能になっています。(2025年4月現在)
薄毛の原因は個人差が大きく、適切な治療法を見極めることが重要です。 自己流の対策で悩み続けるよりも専門の医師に相談し、自分に合った方法を選択することが最も効果的な改善への近道となるでしょう。
性別問わず薄毛治療の選択肢が広がっている今、早めに対策することで健康的な髪を取り戻すことが期待できます。 自分に合う最適な治療法を見つけ、前向きに薄毛ケアを始めてみてはいかがでしょうか。
監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。 同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。