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薄毛・抜け毛研究所
2026.08.21
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ヘアアイロンが薄毛・抜け毛を招く?正しい使い方とNG習慣
「ヘアアイロンの熱が薄毛につながるのでは」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。なかには、それをきっかけにアイロンの使用そのものをやめることを考えている方もいるかもしれません。
しかし結論から言えば、ヘアアイロンそのものが薄毛の直接的な原因になるわけではありません。問題になるのは「正しくない使い方」です。
この記事では、ヘアアイロンが髪や頭皮に与えるダメージのメカニズムを解説したうえで、薄毛・抜け毛が気になる方が注意すべきNG習慣と、正しい使い方のコツを詳しくご紹介します。
ヘアアイロンは薄毛の原因になるのか?

結論からいうと、ヘアアイロンを使用することで直接的に薄毛が進行するわけではありません。ただ、髪の毛に対するダメージの蓄積になる可能性は十分にあります。
「アイロンで薄毛になる」わけではない
ヘアアイロンを正しく使用していれば、長期使用によって薄毛が進行するという根拠は2026年7月現時点では確立されていません。
とはいえ、日々のスタイリングの中でヘアアイロンを使い続けているうちに髪の毛へのダメージになる可能性はあります。また、「正しくない使い方」を続けていると、髪や頭皮へのダメージとなり、切れ毛・抜け毛を悪化させる要因にもなるでしょう。
スタイリングにより切れ毛や脱毛が助長されれば、相対的に「薄毛になった」と感じる場合もあります。薄毛が気になる方は、ヘアアイロンの使い方を見直したり、できるだけダメージを蓄積しないよう工夫した使い方をする必要があるかもしれません。
問題になるのは「正しくない使い方」
ヘアアイロンによるダメージの原因として主にあげられるのは、①高温による熱ダメージ②髪を引っ張ることによる物理的ダメージ③乾燥を悪化させることによる二次的なダメージの3点です。
これらはいずれも「使い方」の問題であり、適切な温度・正しい手順・適切なケアを守ることで、髪へのダメージを最小限に抑えることができます。
ヘアアイロンが髪・頭皮に与えるダメージのメカニズム
まず、ヘアアイロンによるダメージを理解するために、髪の形が変わる仕組みを知っておきましょう。髪に癖がつくのは、髪内部のタンパク質の形が変わるためです。このタンパク質の結合には、大きく分けて①水素結合②イオン結合③シスチン結合④ペプチド結合の4種類があります。
【髪のタンパク質結合の種類】
| 結合の種類 | 仕組み | 特徴・スタイリングへの関係 |
| ①水素結合 | 濡れると結合が外れ、乾くと再結合する | ブローやヘアアイロンによるスタイリングはこの結合を利用。湿気や汗でスタイリングが崩れるのも水素結合が原因 |
| ②イオン結合 (塩結合) | 髪内部のタンパク質を電気的につなぎ合わせる | 弱酸性(pH4.5〜5.5:髪の等電点)では結合しているが、pHが変化すると外れる |
| ③シスチン結合 | パーマの1剤で外し、2剤で再結合させる | 比較的強い結合で、アルカリ製剤などを使用しない限り外れない |
| ④ペプチド結合 | 髪の土台を支える最も重要な結合 | 一度外れると元には戻らず切れ毛になる。過度のアルカリや過酸化水素水(ブリーチや強いパーマ)でペプチド結合が外れてしまうことがある |
熱による髪の毛のタンパク質の変性(ケラチンへのダメージ)
髪の毛はケラチンというタンパク質で構成されており、ケラチンは高温にさらされると変性し、弾力を失って脆くなります。(※タンパク質の熱変性)
乾いた髪では90℃前後、濡れた髪では58℃前後からタンパク質の熱変性が始まり、高温の熱を繰り返し当てることでダメージが蓄積していきます。
ヘアアイロンで熱ダメージが生じる温度の目安は120℃といわれています。 熱変性を起こした髪は、キューティクルが剥がれやすく硬くなります。
内部の水分が蒸発しやすくなり、乾燥・切れ毛・枝毛が増える原因となります。薄毛が気になる方はもともと毛が細くなっているケースも多く、健康な髪よりもダメージを受けやすい傾向にあるでしょう。
牽引性脱毛症—引っ張ることで起きる抜け毛
牽引性脱毛とは、継続的な物理的牽引(引っ張り)によって毛根に負担がかかり、抜け毛が増えてしまう症状です。
ヘアアイロンの滑りが悪い状態で使用すると、毛が引っ張られながらプレートの間を通ることになります。この繰り返しが「牽引性脱毛(けんいんせいだつもう)」の原因になる可能性があるのです。
コーティングが剥がれて滑りが悪くなったアイロンや、温度が低すぎて滑りが悪い状態でのアイロン使用は、牽引性脱毛症のリスクを高めます。
薄毛が気になる部位、例えば頭頂部や前髪付近に繰り返し強い牽引を加えることで症状が進行する可能性もあるでしょう。
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乾燥・静電気による悪循環を助長
アイロンの熱は髪の水分を奪います。乾燥した髪は静電気が起きやすく、静電気によってキューティクルが逆立つことで内部の水分が抜けやすくなります。
水分が抜けるとさらに静電気が起きやすくなり、摩擦ダメージもますます受けやすい状態に陥ります。
乾燥→静電気の繰り返しで悪循環に陥る可能性があるでしょう。
薄毛・抜け毛が気になる人がやってはいけないNG習慣

ここからは、ヘアアイロンの使用にともなうNG習慣を具体的に見ていきましょう。以下の習慣に心当たりがある方は、ぜひ見直してみてください。
| NGな習慣 | 起きるダメージ | 改善のポイント |
| 濡れた髪にアイロンを使う | 水蒸気爆発が起き、キューティクルが激しく損傷し、 熱ダメージが乾いた髪の数倍になる | 髪を完全に乾かしてから使用する |
| 高温設定(180〜230℃)のまま使い続ける | タンパク質変性・水分蒸発が進み、切れ毛・パサつきが悪化する | 薄毛が気になる人は120~140℃を目安に温度設定 |
| 同じ箇所に何度も繰り返し当てる | 熱ダメージが集中し、その部位の髪が特に脆くなる | 1か所に当てる時間は約3秒以内を目安に |
| コーティングが剥がれたアイロンを使い続ける | 滑りが悪くなり牽引性脱毛のリスクが高まる | アイロンの状態を定期的に確認し、滑りが悪くなったら買い替えを検討 |
| ヒートプロテクトなしで使用する | 熱から髪を守る膜がない状態で熱を当てることになり、ダメージが増大する | アイロン前にヒートプロテクトスプレーまたはヘアミルクを使用する |
| 毎日使用する | 毎日の熱ダメージが蓄積し、髪の質が慢性的に低下する | 使用頻度を減らすか、低温設定と丁寧なケアを組み合わせる |
このNG習慣の中でも特に注意が必要なのが「濡れた髪へのアイロンの使用」と「コーティングが剥がれたアイロンの継続使用」です。
どちらも切れ毛・抜け毛を急増させるリスクがあります。
薄毛・抜け毛が気になる人のための正しいアイロンの使い方

ヘアアイロンの使用そのものが、薄毛を進行させる要因にはなりえません。それでは、間接的に影響を及ぼす切れ毛やヘアダメージをできるだけ抑えるヘアアイロンの使用方法について掘り下げていきましょう。
適切な温度設定→薄毛が気になる人は「120~140℃」
薄毛が気になる方・髪が細くなっている方は、ヘアアイロンの設定温度は120〜140℃での使用が望ましいでしょう。一般的に健康な髪でも150〜160℃程度が適温なので、それ以上の温度は熱ダメージのリスクが高まります。
濡れた髪には絶対に使わない
濡れた状態の髪にヘアアイロンを当てると、「ジュっ!」と音がし、水分が一気に蒸発した経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。
濡れた髪に高温になったヘアアイロンをあてると、髪内部の水分が一瞬で蒸発し「水蒸気爆発」が起きます。水蒸気爆発によってキューティクルが内側から激しく損傷し、乾いた髪に当てる場合と比べ、ダメージが格段に大きくなるのです。
ヘアアイロンを使用したい場合にはタオルドライ後、ドライヤーで完全に乾かしてから使うことが基本です。「だいたい乾いた」状態ではなく、完全に乾いていることを確認してから使用しましょう。
また、ドライヤーである程度スタイリングしてからヘアアイロンを使うことで、髪の毛に直接ヘアアイロンを当てる時間を短くすることができます。
同じ箇所に繰り返し当てない・素早く動かす
1か所に長時間アイロンを当て続けることは、その部位への熱ダメージを集中させます。アイロンは髪に当てたら素早く(1か所約3秒以内を目安に)スライドさせることが基本です。
同じ部位に何度もかけ直す場合は、その都度少し時間をおいてから再度当てるようにしましょう。
「1回で決めようとして何度もかけ直す」よりも、「低温で丁寧に1回通す」ほうが髪へのダメージが少なくなります。
使用前のヒートプロテクトは必須
アイロンを使用する前には、必ずヒートプロテクト効果のあるスプレーやミルクを使いましょう。熱から髪を守る成分が配合された製品を毛先から中間部分に塗布してからアイロンを当てることで、熱ダメージを軽減できます。
また、含まれているシリコン系の成分が、乾いた後も皮膜として表面をコーティングしてくれるので、髪の内部の水分の蒸発を防ぐサポートもしてくれます。
アイロン後のケアも忘れずに
アイロン使用後は、アウトバストリートメントやヘアオイルを毛先中心に塗布することで、アイロンで失った水分を補い、キューティクルを整えるサポートができます。
ヘアアイロンを使う以上、少なくともダメージを「0」にすることはできません。日々ヘアアイロンを使用する習慣があるなら、使用前後のヘアケアを意識して取り入れましょう。
また就寝前のケアも重要です。就寝前に洗い流さないトリートメントなどで保湿しておくことで、枕との摩擦によるダメージを軽減できます。
薄毛が気になる人に向いているアイロンの選び方

毎日のスタイリングでヘアアイロンを使用しているのならば、できるだけ髪の毛へダメージを蓄積させないようなヘアアイロンを選ぶことも重要です。
プレートの素材と滑りを重視
アイロンのプレートの滑りが悪いと、髪を引っ張りながら通すことになり、牽引性脱毛のリスクが高まります。購入時には、チタン・セラミック・テフロンコーティングなど、滑りの良い素材を選ぶと安心です。
なお、コーティングは使用とともに劣化していくため、定期的な状態確認と買い替えの検討も忘れずに行いましょう。
温度調節機能は必須
薄毛が気になる方にとって、温度を細かく設定できる温度調節機能があると便利です。1℃単位で設定できるものや、段階的に選べるものなどさまざまですが、少なくとも120〜160℃の範囲で設定できるものを選ぶのが望ましいでしょう。
ヘアアイロンの使い方・選び方では対応できない薄毛

ヘアアイロンの摩擦や熱によるダメージが原因の切れ毛・パサつきであれば、スタイリングやヘアケアの工夫、アイロンの使い方・選び方の見直しにより改善が期待できます。
しかし、本質的な薄毛症状や脱毛症が背景にある場合には、こうした工夫だけでは効果を感じられないことがほとんどです。
AGA・FAGAは日常ケアでは改善しない
AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性型脱毛症)が背景にある場合、アイロンの使い方を変えるだけでは根本的な改善は見込めません。
AGAはDHT(ジヒドロテストステロン)というホルモンの影響で毛包が縮小し、毛が細くなりやがて抜けていく進行性の脱毛症です。FAGA(女性型脱毛症)も女性ホルモンの影響により生じる脱毛症状なので、ヘアケアやアイテム・ツール類の工夫による改善は見込めません。
この場合、必要なのは、ミノキシジルやフィナステリドといった医薬品による治療や、医療機関での専門的なケアです。薄毛や抜け毛が気になる場合は、自己判断で対処しようとせず、早めに専門医へ相談することをおすすめします。
「アイロンをやめたら髪が増えた」は根拠なし
SNSや口コミで「アイロンをやめたら抜け毛が減った・髪が増えた」という体験談を見ることがあります。この場合、アイロンをやめることで熱・牽引によるダメージが減り、切れ毛や物理的な抜け毛が減少した可能性は考えられるでしょう。
しかし「アイロンをやめることでAGAや薄毛そのものが改善した」という根拠は、現時点では確立されていません。(2026年7月現在)
「抜け毛が減った」という体験が、物理的なダメージの軽減によるものか、薄毛の進行が一時的に落ち着いたことによるものかは、自己判断はできないでしょう。
まとめ

ヘアアイロンそのものが薄毛の直接的な原因になるわけではありません。大切なのは、髪や頭皮に負担をかけない「正しい使い方」を意識することです。
薄毛・抜け毛が気になる方は、少しでも髪へのダメージを減らすためにヘアアイロンの使い方やヘアケアを見直しましょう。
ヘアアイロンの温度設定は120〜140℃の低温設定・ヒートプロテクトを使用・髪を完全に乾かしてからの使用・同じ箇所に長く当てすぎないよう素早いスライド動作を意識するだけで、アイロンによる髪へのダメージを大幅に軽減できます。
とはいえ、アイロンの使い方を改善しても「特定の部位だけ薄くなってきた」「以前より明らかに毛が細くなった」と感じる場合は、AGA・FAGAなど医療的なアプローチが必要な薄毛である可能性があります。
早めに皮膚科や専門クリニックへ相談することを検討してみましょう。
【毛髪診断士 コメント】
ヘアアイロンは薄毛の直接的な原因ではありませんのでご安心ください。120〜140℃の低温での使用や、乾いた髪に使用し、熱対策で髪への負担を抑えることが大切です。なにか気になる変化があれば、頭皮や毛根の状態も含めて専門家に相談してみると安心です。
公益財団法人日本毛髪科学協会 毛髪診断士 和田亮臣