髪に関する知識や技術を公開中

毛・抜け毛研究所

2026.02.26

  • 豆知識
  • スカルプケア
  • 頭皮
  • 頭皮ケア

【応急処置】頭皮の臭いが気になるとき、即効性があるものは?

汗をかいていないのに頭皮の臭いにお悩みの方、いるのではないでしょうか?

「ちゃんと洗えていないのかな」「まわりに気づかれていないかな」と不安になった経験もあるでしょう。臭いのお悩みは非常にデリケート。誰にも相談できず一人で抱え込んでしまう人もいるのでは?

実は、頭皮が臭うかどうかは「清潔・不潔」だけで決まるものではありません。皮脂の分泌量、常在菌のバランス、汗、ストレス、生活習慣など、さまざまな要因が重なって臭いは発生します。

毎日きちんと洗っている人でも、時間が経つと経って臭うことは決して珍しいことではありません。

この記事では頭皮の臭いの正体と、身近にあるものでケアした場合の効果について実際の実験結果を元に解説します。

なぜ頭皮は臭う?臭いの正体と原因は?

ふとした瞬間に自分の頭皮の臭いが気になると、まわりへの影響などを含め、いろいろ考えてしまって悩みますよね。頭皮の臭いの強さは人によりさまざまです。

臭いの正体は皮脂と頭皮の常在菌

頭皮の臭いを生み出す主な原因は、皮脂の分解と酸化です。頭皮の皮脂腺から皮脂が分泌され、その後、頭皮の常在菌により分解・酸化することで臭いが発生します。

なかでも「ノネナール」という臭気成分が発生すると、いわゆる加齢臭と呼ばれる独特の臭いを醸し出します。一般的に30代後半以降になってくると皮脂の脂肪酸の中に「パルミトレイン酸」が含まれるようになります。

パルミトレイン酸が酸化することで「脂っぽい」「古い脂」のような不快な臭いを生み出します。

皮脂の酸化と常在菌の繁殖

頭皮から分泌される皮脂はべたつきの要因とされ、あまり歓迎されないかもしれませんが髪の毛や頭皮を保護する役割があります。頭皮から髪の毛まで広範囲を保護する目的があるので、頭皮は顔よりも大量の皮脂を分泌しているのです。

人により皮脂腺の働きが活発で過剰に皮脂が分泌される人もいます。たくさん分泌された皮脂は空気に触れて酸化したり、頭皮の常在菌のエサとなって分解されることで不快な臭いが多く作り出されてしまうのです。

頭皮の臭いを引き起こす主な要因

頭皮の臭いの根本は「皮脂の酸化」。
日常生活のさまざまな要因が絡み合い、臭いを悪化させています。

原因①:皮脂の分泌が活発

頭皮は体の中で皮脂腺が多く、顔のTゾーンと比較して約2倍もの皮脂を分泌します。皮脂腺の活発さ自体が頭皮の臭いの原因となる成分(ノネナールなど)を増やしています。皮脂分泌量が多いことこそが、頭皮が臭いやすくなる根本的な要因といえるでしょう。

原因②:汗や雑菌の繁殖

皮脂だけでなく、頭皮から出る汗も臭いの大きな原因です。汗自体はほぼ無臭ですが、皮脂と混ざり合うことで頭皮の表面が湿潤状態になります。湿潤環境は常在菌が増殖し、皮脂や汗の成分の分解が活発に。皮脂が常在菌により分解されると低級脂肪酸などを発生させ、いわゆる「すっぱい」臭いを発生させます。

原因③:スタイリング剤の洗い残し

ジェル、ワックス、スプレーなどのスタイリング剤が頭皮に残っていると雑菌にとって格好のエサになります。スタイリング剤に含まれる油分や化学成分が分解・酸化されることで通常の皮脂臭とは異なり、べたつきを伴う強い臭いが発生することもあります。

原因④:ストレスによるマラセチア菌の増加

ストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、皮脂の過剰分泌につながる要因の一つです。ストレスは頭皮の常在菌であるマラセチア菌(真菌の一種でフケやかゆみの要因の一つ)を増加させます。マラセチア菌が皮脂を分解することで「ノネナール」が発生することも分かってきています。

洗髪後4時間〜半日程度で毛穴に皮脂が溜まり始める

頭皮の臭いを気にしている方であれば「スカルプケア」用シャンプーなどを使用し、セルフケアをしている方もいるでしょう。いろいろと試しているものの、残念ながら時間が経てば「頭が臭う気がする」と悩んでいる方も少なくありません。

実際に臭いの元となる皮脂は、洗髪で皮脂をきれいに取り除いた後わずか4時間〜半日程度で再び毛穴には皮脂がまり溜まり始めてしまいます。

頭皮の臭い対策を考えるなら、気になった時にどのように「応急処置」をするのかを知っておくことで、こまめに頭皮の臭い対策をすることができるはずです。

緊急事態!今すぐ臭いを消す「応急処置」5選

洗髪後、わずか4時間〜半日程度で皮脂がたまり始めるなら、頭皮の臭い対策として細やかなセルフケアは欠かせません。とはいえ、いつでもどこでも頭皮ケアができるわけではありませんよね。

今回は「日常的にある身の回りのもの」でとりあえずの「応急処置」ができるものを実際に活用し、どのくらい「頭皮の臭い対策」になるかどうか、看護師・予防医学士でもある筆者が実際に実験しました。

外出先や仕事中に臭いが気になった時に、即効性があり、手軽に実行できる対策を実際のレビューとあわせてご紹介します。

被験者は40代女性(筆者)と思春期の男子(息子)

今回は頭の臭いに悩んでいる2名の被験者で実験します。写真左が40代女性、写真右が思春期男子の頭頂部の写真です。一見、べたつき感は感じられません。入浴後22時間経過した写真です。夜に洗髪をして翌日の正午を過ぎた頃には両名とも頭の臭いが気になるというお悩みを持っています。


【日頃のケア】
頭皮の臭い対策としてスカルプタイプのシャンプーを夜に2回使用し洗髪。入浴後はすぐに髪を乾かしています。

検証方法

今回は「応急処置」に特化した方法で検証したいので、「日常の中で身近にあるもの」を活用して実験を進めます。基本的にはティッシュに沁み込ませて使うor吹きかけたものをティッシュで拭き取る方法で進めます。

緑茶【★★★☆☆】

巷では消臭効果があるといわれている緑茶。緑茶はペットボトルの緑茶ではなく、お茶っ葉を急須に入れてお湯を注ぎ入れたお茶を使用しました。注ぎ入れたお茶でティッシュを濡らし、気になる頭皮の分け目部分から拭き取っていきます。

【効果に対する考察】
緑茶に含まれるカテキンには、強力な抗菌作用と消臭作用(脱臭作用)があります。カテキン成分が臭いの原因となる雑菌の繁殖を抑制し、臭気成分そのものに吸着して不快な臭いを中和・除去する作用が期待できるでしょう。(例:カテキン配合の化粧水、冷却スプレーなど)

(結果は?)
臭い取りの効果としてはほとんど変化を感じられませんでした。応急処置としては力不足でといえるでしょう。ちなみにペットボトルのお茶でも試してみましたが、消臭効果は感じられませんでした。

水・ぬるま湯【★★★★☆】

水は比較的どこにでもあるので、気になった時の「応急処置」としては活用しやすいと思います。

【効果に対する考察】
水で拭き取ることで、臭いの原因となる汗や表面の皮脂水溶性の臭い成分を物理的に除去する効果が期待できます。皮脂そのものは除去しきれないでしょう。

(結果は?)
意外にも、臭い対策としては結構良くなったかな?という印象でした。水やぬるま湯だと蛇口から出たのをすくい取って頭皮を濡らして拭き取るので、緑茶と比較すると結構しっかり「拭き取れた」からかもしれません。ただ結構濡れるので、その後髪の毛を乾かせないし、乾くまでは湿潤環境になってしまうので、場合によっては頭皮環境の悪化につながってしまうかもしれません。

アルコール【★★★★★】

近年では、持ち歩きタイプの手指消毒剤をバッグに入れている人も多いのではないでしょうか?応急処置として、臭いの元となる雑菌の消毒ができるので効果が期待できそうです。こちらもティッシュにとって頭の気になる部分を拭き取ります。

【効果に対する考察】
アルコール(エタノールなど)は揮発性が高いため、頭皮に付着した皮脂を溶かし出す(脱脂)作用があります。殺菌・除菌効果により、臭いの原因となる常在菌を消毒できるため、臭いの元に対してアタックできる効果が期待できるでしょう。

(結果は?)
やはり効果は抜群です!臭いがさっぱりと消えて、頭もスースーして爽快感も感じられます。即効性があるので◎ですが、今回使用したのはジェルタイプだったので広範囲の使用には向いていませんでした。スプレータイプだと直接スプレーできるので、さらにいいかもしれません。今回は単回使用なので皮膚トラブルなく使用できましたが、繰り返すことによる頭皮へのダメージは気になります。応急処置として考えると非常に効果的です。

汗を拭う【★★☆☆☆】

汗をかいた時に、臭い予防としては有効かもしれません。とりあえずティッシュで気になる分け目のあたりを拭ってみます。

【効果に対する考察】
臭いの原因である皮脂と、雑菌の繁殖を促す汗や水分が混ざり合う前に、物理的に頭皮を清潔にする。汗をかいたと自覚した時にできる「原因物質の除去」としては有効かもしれません。

(結果は?)
汗をかいていない時にティッシュで拭っても臭いの低減効果は得られませんでした。ティッシュに臭い移りすら起こらず…。

【ヘアケア製品】持ち歩いていると使用できる応急処置グッズで検証

ヘアケア製品にはなるのですが、持っていれば「頭の臭いの応急処置」になるものの使用感もレビューします。

ドライシャンプー【★★★★★】

水がなくてもシャンプーをした後のような爽快感が得られるドライシャンプー。メーカーにより商品の組成は異なるかもしれませんが、今回筆者が用意したのはエタノールが多く含まれているものでした。これは効果が期待できそうです。

【効果に対する考察】
ドライシャンプーに含まれる成分が、臭いの元である過剰な皮脂を瞬時に吸着します。皮脂を取り除くことで臭いの発生源を除去するため、応急処置として極めて高い効果が期待でき即効性に優れています。

(結果は?)
効果は抜群です!頭皮の臭いがリフレッシュされただけではなく、爽快感も抜群!持ち運び用のサイズが売られていないのが残念です。アルコールで頭皮の皮脂を取り除き、消毒もしてかつ「ベンチレングリコール」による保湿効果も期待できるので、頭皮からの水分の過剰な揮発も防げそうです。

ヘアスプレー・ミスト【★★★☆☆〜★★★★☆】

本来“髪の毛”についたタバコの臭いや焼き肉の臭いなどをリフレッシュするためのヘアスプレー・ミスト。頭皮の臭いに対してはどうなのでしょうか?

【効果に対する考察】
ヘアミストやスプレーは「付着臭」に対する対策です。消臭成分が臭気分子を中和・分解するとともに、ミストの芳香成分で不快な臭いをカバーするマスキング効果が期待できます。

(結果は?)
一時的な臭いとしては、ふわっといい香りが漂いました!ただ、時間が経ってみると…。40代女性の場合はより臭くなってしまった気がします。思春期男子の場合は…、まぁまぁかな?人によっては時間の経過でヘアスプレーの香りと頭皮の臭いが混ざって、よりきつい臭いになってしまうかもしれません。頭皮の臭いに関しては「マスキング効果を期待するなら強い香りが必要」という文献もありました。臭いの種類と強さは人により自分に合ったものを選別する必要がありそうです。

頭皮の臭いのセルフチェック方法

「頭皮、臭っているかも?」という不安を抱えながら過ごすのは嫌なものですね。すぐにできる頭皮の簡単な臭いチェックをご紹介します。

チェック方法①:指でこする

指の腹で頭頂部や後頭部の頭皮を軽くこすり、すぐに指の臭いを嗅いでみましょう。酸化した皮脂の臭いをすぐに確認できます。

チェック方法②:ティッシュで皮脂を吸い取る

ティッシュを重ねて頭皮に軽く押し当て、皮脂をぬぐい取り嗅いでみましょう。ティッシュに臭い移りするほどであれば、実際には結構臭っているかもしれません。ティッシュで拭ってチェックする方法は、ワキガ診断の現場で活用されることもあります。

チェック方法③:帽子や枕カバーの臭いを確認

長時間使用した帽子や、翌朝の枕カバーの臭いを嗅いでください。頭皮の臭いは繊維に移りやすく、時間が経った場合の臭いもチェックできるので「自分の頭皮の臭い」を知りたい場合には非常に有効な方法の一つです。

チェック方法④:空調(エアコン)を利用する

オフィスや店舗の空調の下に頭が来るように立ってみてください。強い臭いが発生している場合、空気の流れに乗って臭いチェックができます。

頭皮の臭いを予防するセルフケア

基本的に応急処置は緊急回避策です。できれば頭の臭いに悩まされないようにしたいですよね。そのためには、そもそもの臭いが「発生しない」頭皮環境につなげたいところです。
日々の習慣を見直し、根本原因を取り除くための生活習慣を意識しましょう。

正しい洗髪とケアの習慣

皮脂の酸化を防ぐため、頭皮を清潔に保ちましょう。頭皮に負担をかけていたり、汚れが残っていると頭皮の臭いにつながります。

皮脂の酸化を防ぐため、まずは正しい洗髪習慣を。シャンプー前の丁寧な予洗いで汚れを浮かせ、指の腹で毛穴の皮脂をかき出し洗い残しがないようしっかりすすぎます。洗髪後は雑菌の繁殖を防ぐため、タオルドライ後に根元から完全にドライヤーで乾かしきりましょう。

食生活とインナーケア

過剰な皮脂分泌を抑え皮脂の分泌をコントロールするため、食事の見直しも意識したいところです。皮脂の代謝をスムーズにするビタミンやミネラルも積極的に摂取し、脂質の多い食事は控えましょう。
栄養素主な役割頭皮の臭いへの効果主な食品例
ビタミンB2脂質の代謝促進皮脂の酸化を防ぎ、過剰な皮脂分泌を抑える納豆、牛乳、卵、レバー
ビタミンB6タンパク質・脂質の代謝促進皮脂の分泌を抑制し、ホルモンバランスを整えるマグロ、バナナ、鶏むね肉、にんにく
ビタミンC抗酸化作用、コラーゲン生成活性酸素を抑え、皮脂の酸化(臭いの発生)を防ぐパプリカ、ブロッコリー、いちご、レモン
ビタミンE強力な抗酸化作用脂溶性の抗酸化作用で、皮脂が酸化するのを防ぐナッツ類、アボカド、かぼちゃ
亜鉛(Zinc)新陳代謝、ホルモン調整皮脂腺の働きを正常化し、過剰な分泌を抑える牡蠣、牛肉、豚レバー、うなぎ

専門機関への相談

適切なセルフケアを続けても臭いや多汗が改善しない場合は、病的な要因(頭皮の多汗症など)が関係している可能性も考えられます。明らかに症状が悪化している場合や、積極的なセルフケアをしても改善しない場合には自己判断せず、皮膚科などの専門機関に相談することも検討しましょう。

まとめ

頭皮の臭いの正体は、「皮脂の酸化」と「常在菌による分解」によって生じる臭気成分です。

皮脂の分泌量が多い頭皮は、洗髪後わずか数時間で再び皮脂がたまり溜まり始め、汗やストレス、スタイリング剤の洗い残しなどが重なることで、臭いが強くなってしまいます。

臭いが出たときの応急処置を知っておくことは安心材料になりますが、それ以上に大切なのは、臭いを発生させにくい頭皮環境を整えることです。

「頭皮の臭い」は決して特別な悩みではなく、多くの人が皮脂や汗、生活習慣の影響を受けています。

原因を正しく理解し、自分に合った予防と対策を組み合わせることで、必要以上に不安を抱えることなく快適な日常を送ることにつなげましょう。
コラム一覧ページに戻る

45