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毛・抜け毛研究所

2025.05.19

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「男性用の育毛剤、女性も使えるの?」薄毛に悩む女性が知っておきたい大切なポイント

「男性用の育毛剤の方が効きそうだから、ちょっと試してみようかな?」

薄毛に悩む女性の中には男性向けの育毛剤や治療薬を手に取ろうと考える方も少なくないかもしれません。

また、市販の商品やクリニックの処方薬は男性向けのラインナップが圧倒的に多く「女性用の選択肢が少ない」と感じることもあるはずです。

しかし、男性と女性の薄毛は進行の仕方も原因も異なり、使用するべき成分や治療方法にも違いがあります。 特に男性用育毛剤にはホルモンに働きかける成分が含まれていることもあり、女性が使うには注意が必要です。

この記事では、女性が男性用の育毛剤を使うことのリスクや違いについて詳しく解説するとともに、女性に適した育毛剤の選び方や効果的な成分、セルフケアのヒントまで分かりやすくご紹介します。

女性でも男性用育毛剤は使えるの?

女性が薄毛を改善したいと考えたとき、「女性が男性用の育毛剤を使っても大丈夫?」「男性用の方が効果が強そうだから使ってみたい」といった疑問や関心を持つ方は少なくありません。

市販の育毛剤やクリニックで処方される内服薬は「男性用」が多いのも事実。 薄毛に悩む女性にとって「女性用」は男性用の製品よりも選択肢が少なく選びにくいのかもしれません。

結論からいうと、男性用の育毛剤は原則として女性にはおすすめできません。 その理由は、男性と女性とでは薄毛の原因が異なり、使用されている成分や薬理作用にも大きな違いがあるからです。

女性に男性用育毛剤をおすすめできない理由

男性用育毛剤は、主に「男性型脱毛症(AGA)」の進行を抑えることを目的として開発されています。

AGAは、男性ホルモン(特にDHT:ジヒドロテストステロン)の働きによって毛根が萎縮し、徐々に髪が細く抜けやすくなっていく脱毛症です。

そのため男性用育毛剤や内服薬には男性ホルモンに直接作用する成分が含まれており、これを女性が使うと体内のホルモンバランスに影響を及ぼすリスクがあるのです。

特に妊娠中もしくは妊娠の可能性がある女性には胎児への悪影響が報告されている成分も含まれており、安易な使用は非常に危険です。 たとえ「効きそう」と思っても男性用は男性専用と考え、使用は避けましょう。

男性用育毛剤に含まれる成分の注意点(例:フィナステリド・ミノキシジル)

男性用の薄毛治療の内服薬には、「フィナステリド(プロペシア)」や「ミノキシジル」といった成分が含まれています。

「フィナステリド(プロペシア)」は、薄毛を加速させるDHT:ジヒドロテストステロンの産生を抑えることでAGAの進行を抑える作用があります。 女性に対しての安全性は確認できていないのが現状です。(2025年5月現在)

男性ホルモンに作用する薬のため、特に男児の胎児の生殖器に影響を及ぼす可能性があります。 妊婦や妊娠の可能性がある女性には禁忌とされています。 医療機関でも女性に対してはこれらの薬の処方は原則行われません。

また、「ミノキシジル」に関しても、濃度が高い男性用は女性には強すぎる場合があります。 外用薬・内服薬ともに、女性の方が濃度は低めに設計されています。

実際にミノキシジルの内服薬の副作用を調査したところ、女性の約20%に副作用の症状が見られたようです。

男女で異なる薄毛の特徴と原因

薄毛は男女問わず多くの人が悩む問題です。
実はその「症状」や「原因」には、性別による大きな違いがあります。

男性は生え際や頭頂部など一部に集中的に脱毛が見られるのに対し、女性は髪全体が徐々に薄くなるケースが多いのも特徴です。

この違いにはホルモンの働きやライフスタイル、頭皮環境の違いなどが影響しています。

ここでは男女で異なる薄毛の特徴と、女性に多く見られる脱毛症の種類について詳しく解説します。

女性に多い「びまん性脱毛」

女性の薄毛の多くは「びまん性脱毛」と呼ばれるタイプで、頭皮の一部ではなく髪全体のボリュームが減っていくのが特徴です。

前髪の生え際や頭頂部だけが薄くなるわけではなく、分け目が広がって地肌が透けて見えるようになることで気付く人も少なくありません。

びまん性脱毛の原因は多岐にわたり、加齢によるホルモンバランスの変化、栄養不足、ストレス、間違ったヘアケア、過度なダイエットなども影響すると考えられています。

また、FAGA(女性男性型脱毛症)という名称でも知られ、女性ホルモンの低下により男性ホルモンの影響を受けやすくなることが脱毛の引き金になります。

(参照:FAGAとは?女性に増える薄毛の正体と正しい向き合い方を解説!|薄毛・抜け毛研究所)

成人男性に多い「AGA(男性型脱毛症)」

男性の薄毛で最もよく知られているのが「AGA(男性型脱毛症)」です。

AGAは頭頂部からくるO字タイプと、額の生え際からくるM字タイプ、前頭部からくるU(A)字タイプなど、いくつかの進行パターンがあり、症状は人それぞれ異なります。

女性にみられる主な脱毛症の種類

女性の薄毛にはさまざまなタイプが存在し、それぞれ原因や治療法も異なります。 自分の症状がどのタイプにあたるかを理解することで適切な対策が見えてきます。

びまん性脱毛症

髪全体が薄くなるタイプの脱毛症で、FAGAとも関連があります。 中年以降の女性に多く見られますが、20代や30代の女性でもホルモンバランスや生活習慣の乱れにより発症することがあります。

進行はゆるやかですが、放置すると地肌が徐々に目立つようになるのが特徴です。

脂漏性脱毛症

(参照:脂漏性脱毛症とは|ベタつくフケや湿疹を伴う抜け毛について|メディカルブロー)

過剰な皮脂分泌によって頭皮が炎症を起こし、毛根がダメージを受けることで起こる脱毛症です。 頭皮がベタつきやすい人や、シャンプーの洗い残しが多い人に起こりやすく、フケやかゆみが伴うこともあります。

粃糠性(ひこう性)脱毛症

乾燥したフケが大量に発生し、毛穴をふさいで炎症を引き起こすことで発症する脱毛症です。 シャンプーのしすぎや頭皮の乾燥、肌のバリア機能の低下が主な原因の一つとされます。乾燥肌の人に多く見られます。

牽引性脱毛症

ポニーテールやお団子ヘア、エクステなどで髪を長時間引っ張ることによって毛根に負担がかかり、髪が抜けやすくなるタイプの脱毛症です。 特に生え際やこめかみなど、引っ張る力の影響を受けやすい部位に症状が現れます。

円形脱毛症

突然、丸い形や楕円状の脱毛斑が現れる自己免疫疾患の一種です。 ストレスや体調不良をきっかけに発症することもあり、部分的に数か所現れる場合もあれば、全身に脱毛が広がるケースもあります。

分娩後脱毛症

出産後に一時的に抜け毛が増える症状で、ホルモンバランスの急激な変化が原因です。 実際には分娩後脱毛症は「髪が薄くなる」というよりは「妊娠中のホルモンの影響により増えていた髪の毛が元に戻る」とも言えます。

そのため、一時的に脱毛量は増えているように見えますが、自然と治ることが多いです。 長く続くようであれば産後の疲れやストレスにより別の要因で回復が遅れていることも考えられます。

女性の薄毛ケアに効果が期待できる成分とは?

薄毛の進行を食い止めたり、発毛を促したりするには日常のケアに取り入れる育毛剤やスカルプエッセンスの「成分」も非常に重要です。

特に女性の薄毛の場合、頭皮の状態やホルモンバランスの影響が複雑に絡み合っているため、刺激が強すぎない成分かつ「女性向け」に設計されたものを選ぶことがポイント。

ここでは女性の薄毛ケアにおいて効果が期待されている主な成分と、その特徴について解説します。

血行促進成分(ミノキシジルなど)

(参照:育毛剤全成分128種類を完全解説|自分の悩みに合う有効成分と悩み別の選び方一覧|IFEメディカル)

ミノキシジルは日本国内で唯一、発毛効果が認められている成分であり、注目されている血行促進成分です。 頭皮の毛細血管を拡張し毛根に栄養や酸素が届きやすくなることで、休止期の毛を成長期へと導く作用が期待されます。

女性向けのミノキシジル製品は一般的に「1〜2%濃度」で市販されており、副作用のリスクを抑えつつも効果を発揮するバランスが取られています。 医師の指導のもとでは5%の濃度を使用することもありますが、高濃度の使用は自己判断せず必ず医師に相談するようにしましょう。

ミノキシジルのような「血行促進型」の成分は、髪の成長に欠かせない土台づくりをサポートし、びまん性脱毛症において効果が期待されます。

保湿・抗炎症成分で頭皮環境を整える

(参照:育毛剤全成分128種類を完全解説|自分の悩みに合う有効成分と悩み別の選び方一覧|IFEメディカル)

女性の薄毛の背景には、頭皮の乾燥や炎症など、「頭皮環境の乱れ」が隠れていることも少なくありません。 こうした場合には髪そのものを生やすよりもまず、「健康な頭皮づくり」が何よりも大切になります。

たとえば以下のような保湿・抗炎症成分が配合されている育毛剤は、頭皮環境を整えるのに役立ちます。

●グリチルリチン酸ジカリウム:甘草由来の成分で炎症を抑える作用がある
●ヒアルロン酸:頭皮の保湿力を高め乾燥によるフケやかゆみを防ぐ
●アロエエキス:皮膚の修復を促進し敏感肌にも使いやすい

特に脂漏性脱毛症や、粃糠性脱毛症のように皮脂バランスの乱れにより頭皮環境が悪化しいる場合には、こうした成分が役立ちます。

(参照:【2025年最新】アロエベラが髪に良い?考えられる効果効能|薄毛・抜け毛研究所)

女性向け育毛成分として注目の「Tフラバノン」

(参照:育毛成分t-フラバノン|花王ヘアケアサイト)

近年、女性向け育毛剤の新たな有効成分として注目されているのが「Tフラバノン(トコフェリルリン酸ナトリウムフラバノン)」です。

Tフラバノンは毛根の奥にある「毛乳頭細胞」に働きかけ、成長期を維持する作用が確認されています。 さらに、毛母細胞の分裂をサポートし、抜け毛の原因である成長期の短縮を防ぐ働きも期待されている成分です。

Tフラバノンは男女ともに育毛につながる効果が確認され、女性の使用例では「髪の太さ・ハリ・コシ」「本数の増加」が確認されました。

(参照:【AGAに効果あり】t-フラバノンの気になる育毛効果は?副作用はあるの?|薄毛・抜け毛研究所)

女性専用育毛剤を使うべき理由

「市販の育毛剤は男性用ばかりだから…」と、つい男性向けの製品を使いたくなる気持ちも分かります。 しかし、男性用育毛剤は基本的に女性の使用を想定して作られていません。

特に注意が必要なのが、「男性ホルモンの働きを調整する成分」が含まれている製品です。

男性ホルモンに働きかける成分は男性型脱毛症(AGA)には有効ですが、女性が使用するとホルモンバランスを崩すリスクがあります。 妊娠中や妊娠の可能性がある女性は使用禁忌とされているものもあるのです。

また、男性は女性とは違い皮脂分泌量や頭皮の厚み、pH値なども異なるため、使用感や浸透力に差が出ることも。 女性には、女性の頭皮に合わせた処方の製品を使うことが効果的かつ安全なケアにつながります。

女性が育毛剤を選ぶときのポイント

薄毛に悩む女性が増えている中、育毛剤はセルフケアの心強い味方になります。

しかし、やみくもに使っても期待通りの効果が得られないことも。 自分に合ったアイテムを選ぶには、いくつかの重要なポイントをしっかり抑えておくことが大切です。

ここでは、育毛剤を選ぶ際に女性がチェックしておきたいポイントについて詳しく解説します。

自分の薄毛タイプに合った成分が含まれているか

育毛剤は「どの成分が入っているか」が最も重要です。 しかし、薄毛の原因は人それぞれ異なるため、自分の症状に合った成分が含まれているかを見極める必要があります。

たとえば…

●びまん性脱毛症や牽引性脱毛症であれば、血行を促進して毛母細胞を活性化させる「ミノキシジル」や「センブリエキス」などの成分が理想。

●脂漏性脱毛症・粃糠性脱毛症であれば、頭皮の炎症を抑える「グリチルリチン酸ジカリウム」や保湿成分の「アロエエキス」「ヒアルロン酸」などが適しています。

薄毛の種類に合わない成分を使ってしまうと、逆に頭皮トラブルや抜け毛を助長するリスクにつながりかねません。 成分の特性と、自分の症状を照らし合わせて選ぶことが大切です。

長期的に使いやすい使用感・価格帯か

育毛剤は、1回使っただけで劇的に髪が増えるようなものではありません。 多くの場合、最低でも3〜6ヶ月の継続使用が望ましく、コツコツとケアを続けることが改善への近道です。

そのため、「長く続けられるかどうか」が選ぶうえで非常に重要なポイントになります。

●香りやテクスチャーが自分の好みであるか
●スプレータイプ・ローションタイプなど自分にとって使いやすいか
●継続しやすい価格帯であるか

一時的な使用では十分な効果が得られることはほとんどないので「これは続けられそう!」と思える製品を選び、継続的に使用することで最終的な育毛を期待できるでしょう。

医薬品?医薬部外品?その違いとは

育毛剤には「医薬品」と「医薬部外品」があります。 この2つの違いを理解しておくと、製品選びの精度がぐっと高まります。

医薬品
●厚生労働省が「効果・効能」を認めた成分を含んでいる
●ミノキシジルのように発毛作用が科学的に証明された成分が主
●薬局・クリニック・オンライン診療などで購入できるが副作用のリスクもある

医薬部外品
●発毛よりも「抜け毛予防」や「頭皮の健やかさを保つ」ことを目的としている
●比較的穏やかな効果
●ドラッグストアや通販など手軽に購入できる

「本格的な発毛効果を求めるなら医薬品」「頭皮ケアや抜け毛予防から始めたいなら医薬部外品」というように、自分の目的に合わせて選びましょう。

不安がある場合はクリニックへ相談しよう

育毛剤はセルフケアの第一歩として心強いアイテムですが、「自分に合っているか分からない」「症状が進んでいるかも」と感じたら、迷わず専門医に相談することを検討しましょう。

FAGAなどホルモンの影響が関わる脱毛症の場合は、医師の判断に基づいた治療が必要になるケースもあります。

最近では、女性向けに特化した薄毛治療クリニックも増えており、オンライン診療を行っているクリニックも多いです。 オンライン診療であれば忙しくて足を運べないときでもタイミングを見つけて相談することができそうですね。

自己判断に頼りすぎず、必要に応じて医療の力も借りながら正しいケアを続けることが、未来の髪を守る第一歩になるでしょう。

まとめ

育毛剤は、薄毛に悩む女性にとっても頼れる存在です。 けれど、「男性用の方が効きそう」「価格が手頃だから」といった理由で安易に選んでしまうと逆にホルモンバランスを崩したり、副作用のリスクを高めてしまい、かえって症状を悪化させてしまう恐れもあります。

だからこそ女性の体と髪の構造に合った専用の育毛剤を選び、自分の症状や生活スタイルに合った正しいケアを続けることが大切です。

迷ったときはクリニックや専門家への相談も検討しながら、焦らず、コツコツと自分に合った方法で向き合っていきましょう。

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