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薄毛・抜け毛研究所
2025.05.16
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FAGAとは?女性に増える薄毛の正体と正しい向き合い方を解説!

「薄毛は男性の悩み」というイメージは、もはや過去のもの。
近年では、20代や30代といった若い女性の間でも「髪のボリュームが減ってきた」「分け目が目立つ…」といった薄毛の悩みが増えています。
その背景には加齢やホルモンバランスの乱れ、ストレス、生活習慣の乱れといったさまざまな要因が関わっており、その中でも注目されているのが「FAGA(女性男性型脱毛症)」です。
この記事ではFAGAの基本的なメカニズムや原因、セルフチェックの方法、そして今注目されている最新(2025年5月現在)の治療法までを徹底解説します。
女性の薄毛について、正しい知識と対策を身につけていきましょう。
FAGAとは?

(参照:女性の薄毛|原因と今日からできる対策方法とは?|美容師さんのためのお役立ち情報)
FAGA(Female Androgenetic Alopecia)は、女性にみられる進行性の脱毛症の一種です。 かつては薄毛といえば男性の悩みという印象が強かったものの、近年では加齢や生活習慣の影響により、20代・30代の若い女性でもFAGAの症状に悩まされるケースも少なくありません。
FAGAは男性の薄毛症状のように額や頭頂部といった特定の部位が集中的に薄くなるのではなく、頭頂部をはじめとした頭髪全体の髪のボリュームが減っていくのが特徴です。
気づいたときには地肌が透けて見えることが目立つようになっています。 初期は「なんとなく髪が細くなった?」「抜け毛が増えたかな?」といった違和感から始まることが多いです。
FAGAは「女性男性型脱毛症」

(参照:女性の薄毛・抜け毛(FAGA/FPHL)|大正製薬)
FAGAは男性に多く見られるAGA(男性型脱毛症)と混同されがちですが、発症の仕組みや進行の仕方には違いがあります。
FAGAはホルモンの影響により、毛髪の成長サイクルが乱れ、成長期が短縮されることで起こると考えられています。
女性は閉経前後を中心にホルモンバランスが大きく変化します。 女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減ることで、男性ホルモン(アンドロゲン)の影響を受けやすくなるのです。
女性ホルモン(エストロゲン)は、髪の成長期を維持する役割があります。 エストロゲンの分泌が減ることで、男性ホルモンの作用が出やすくなり、毛髪の本数が減り、細くなってしまうのです。
ヘアサイクルの乱れが原因で起こる

髪の毛には「成長期」「退行期」「休止期」というヘアサイクルがあり、1本の髪の寿命はおよそ2~6年で、女性の場合は4~6年といわれています。
FAGAが進行するとこのヘアサイクルのうち「成長期」が短くなり、髪が十分に成長しきる前に抜けてしまうのです。 その結果、髪の密度が減り、細く短い髪が多くなっていきます。
正常な状態でも、1日に約100本程度の髪は自然に抜けるとされています。 しかし、FAGAが進行している場合は抜け毛の量が増えたり、再生される髪の毛も細く弱々しくなる傾向があります。
髪が減ってきたと感じたら、それはすでにヘアサイクルに異常が起きているサインかもしれません。
FAGAとAGAの違い

(参照:【女性の薄毛の原因ランキング】女性の薄毛は分け目が目立つ…2位は「ストレス」1位は?|PRTIMS)
FAGA(女性男性型脱毛症)とAGA(男性型脱毛症)は、どちらも男性ホルモンに関連した脱毛症ですが、進行の仕方や見た目には明確な違いがあります。
AGAの場合、前頭部の生え際が後退する「M字タイプ」や、頭頂部が丸く薄くなる「O字タイプ」が特徴的で、進行に伴って部分的な脱毛が目立ちやすくなります。 これに対し、FAGAでは生え際が大きく後退することは少なく、頭頂部から分け目にかけて全体的に薄くなる「びまん性脱毛」の症状が特徴です。
また、AGAは主に20代後半から発症することが多い一方でFAGAは30代以降、とくに40代後半から更年期を迎える頃に発症率が高くなります。 ホルモンバランスの乱れや年齢的な変化に加え、女性ならではの妊娠・出産、月経不順といった要素も複雑に絡むからだと考えられています。
どちらも男性ホルモンの影響を受けて、髪の成長期が短縮し起こる症状ですがAGAとは違い、FAGAであれば男性ホルモンの影響は受けつつも、女性ホルモンの分泌も少なからずあるためその進行症状には違いが出ると考えられています。
FAGAの主な原因とは?

(参照:【女性の薄毛の原因ランキング】女性の薄毛は分け目が目立つ…2位は「ストレス」1位は?|PRTIMS)
FAGAは、加齢だけでなくさまざまな生活習慣や体内の変化によって引き起こされる複雑な脱毛症です。
単なるホルモンバランスの乱れだけでなく、ストレスや栄養状態、そして近年注目されている「糖化」や「頭皮の菌環境」といった新しい要因も関係していることがわかってきました。
ここではFAGAを引き起こす主な原因について、最新の研究を踏まえながらわかりやすく解説していきます。
加齢とホルモンバランスの関係
FAGAは加齢をはじめとしたホルモンバランスの変化と深く関係しています。 とくに症状が見られやすくなる更年期を迎える40代以降では、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少し、相対的に男性ホルモン(アンドロゲン)の影響を受けやすくなります。
このホルモンの変化が毛包に作用し、成長期を短縮させる要因となり、FAGAを引き起こすとされています。
ストレスや生活習慣の影響
ストレスや生活習慣の乱れもFAGAのリスクを高める要因の一つです。 強い精神的ストレスは自律神経を乱し、血行不良やホルモンバランスの乱れを引き起こします。
また、睡眠不足や栄養の偏り、喫煙や過度な飲酒などの習慣も髪の健康に悪影響を与えるとされています。 毎日のちょっとした積み重ねが、髪への悪影響につながっていることもあります。
遺伝や体質も関係している?
FAGAは遺伝的な体質とも関係があると考えられています。 AGAの場合は、血縁者に薄毛の人がいる場合、同じような傾向が現れる可能性があることがさまざまな研究で解明されつつあります。
FAGAも同じように、症状の出現に関しては男性ホルモンの影響が関与しているため、遺伝的な傾向が考えられますが男性の薄毛研究ほど進んでいないため、はっきりとした因果関係はまだわかっていません。
注目される新たな原因「糖化」とは?

(参照:https://egrant.co.jp/hair/baldness/)
近注目を集めているのが、「糖化」という老化現象による脱毛への影響です。 糖化とは、体内の余分な糖がタンパク質と結びつくことで生じる現象で、最終的にAGEs(糖化最終生成物)という老化物質を生み出します。
このAGEsが蓄積されると毛根にある毛乳頭細胞にも影響が及び、毛母細胞との連携が乱れることでヘアサイクルが滞ります。
ヘアサイクルが滞ると、髪が十分に成長する前に抜けてしまうのです。 さらに頭皮の主要なタンパク質であるコラーゲンが変性してしまうと、頭皮が硬くなり髪の成長に必要な環境が損なわれてしまいます。
糖化は年齢にかかわらず、日々の食事や生活習慣の中で進行する可能性があるため、糖質の摂りすぎや加工食品の過剰摂取を避けるなど日常的な意識づけが重要です。
頭皮に潜む“菌”が薄毛の一因に?
近年の研究では、頭皮に生息する常在菌のバランスが薄毛の進行に関与していることもわかってきました。
たとえば「コリネバクテリウム」は、皮脂を分解して頭皮を弱酸性に保つ働きがありますが、過剰に増えると炎症を引き起こし、毛根の細胞活性を低下させる恐れがあります。
また「エンテロコッカス」はわずか0.1%でも過酸化水素を発生させ、頭皮に酸化ダメージを与えることがわかりました。 加齢とともに増えやすく、薄毛のリスクを高める要因とされています。
FAGAのセルフチェック

FAGAはゆっくりと進行するタイプの脱毛症であるため、自分ではなかなか気づきにくいのが特徴です。 しかし、早期にサインを察知して対策をはじめることで進行を食い止め、改善につなげることが可能です。
ここでは、自宅でできる簡単なセルフチェックの方法をご紹介します。
「もしかして…」と思ったタイミングでチェックしてみましょう。
抜け毛の量は?
健康な状態でも1日に100本程度の抜け毛は自然な現象です。 しかし、朝の枕元やシャワー後の排水溝にごっそりと毛がたまる、など明らかに抜け毛の量が増え、常時100本印上が抜けている場合には注意が必要です。
髪のハリやコシは?
FAGAの初期症状では、髪の成長期が短くなることで髪質にも変化が現れることもあります。 以前よりも髪にハリやコシがなくなった、ボリュームが出づらくなったと感じたら、ヘアサイクルの乱れによって髪の成長期が短くなっているサインかもしれません。
分け目や頭頂部が目立つ?
鏡で自分の頭頂部や分け目をチェックしてみましょう。
FAGAはびまん性脱毛が多いため、特定の部位ではなく全体的に髪が薄くなっていくのが特徴です。 とくに分け目や頭頂部の地肌が透けて見えるようになってきたら、進行性の薄毛を疑うべき段階かもしれません。
普段、鏡で見ているだけだと見えない部位の髪質や量の変化には気がつかないかもしれません。 写真をとって比較すると自分では気づきにくい変化にも気づけることがあります。
FAGAの治療法と対策まとめ
FAGAの進行を食い止め、健やかな髪を取り戻すためには早期発見だけでなく、適切な治療やケアが欠かせません。 症状の度合いや体質によって最適な方法は異なりますが、現在では薬による治療から再生医療、生活習慣の見直しまで複数の選択肢があります。
ここではFAGAに効果的とされる代表的な治療法や、日常的に取り入れたいセルフケアのポイントについて、わかりやすくご紹介します。
薬による治療(ミノキシジル・スピロノラクトンなど)
ミノキシジルは、血流を促進して毛母細胞に栄養を届ける働きがある成分です。 近年では育毛剤の一つとして外用薬など広く使用されています。女性用には2%濃度の製品が一般的です。
一方、スピロノラクトンはもともと利尿薬ですが女性の体内の男性ホルモンの働きを抑える作用があり、ホルモンバランスを整える目的で用いられます。 一般的にこれらの薬は、医師の診断のもとで使用することが望ましいです。
再生医療(成長因子・メソセラピー)
近年注目されている再生医療で成長因子や幹細胞培養上清液(エクソソーム)を用いた治療法が主流です。 これらの毛髪の成長を促す成分を頭皮に注入することで毛根の細胞を活性化させ、発毛環境を整えたり、髪の成長に必要な成分を直接届けることができます。
メソセラピーは、成長因子のほかにもビタミンやミネラルなどをカクテルとして注入する方法で、FAGAの治療において即効性や高い効果が期待できる手法のひとつです。
生活習慣の見直しとケア方法
治療と並行して、生活習慣の見直しもFAGA改善には取り入れたいところです。 バランスのとれた食事(タンパク質・ビタミン・ミネラルを含む)、良質な睡眠、適度な運動など、健康的なライフスタイルを意識しましょう。
また、頭皮ケアとしては低刺激のシャンプーを使い、やさしく洗髪することや頭皮マッサージで血行を促進することも効果的です。
さらに、紫外線対策も重要です。 頭皮が日焼けすることで炎症が起こり、毛根にダメージを与える可能性があるため、帽子や日傘、UVスプレーなどを活用して予防しましょう。
まとめ
FAGAは加齢やホルモンバランスの変化に加えて、日々の生活習慣やストレスといった要因も複雑に絡み合って進行する女性の脱毛症です。
男性の薄毛と異なり、進行がゆるやかで気づきにくいのが特徴ですが、早期発見・対策によって進行を防ぐことは十分に期待できます。
「抜け毛が増えたかも?」「髪のボリュームが減ってきた」と感じたときが、ケアをはじめるベストタイミング。 日々のセルフケアと並行して、医師の診断や適切な治療法を取り入れ、髪と向き合うことを検討しましょう。