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毛・抜け毛研究所

2025.11.21

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育毛の新素材?麦飯の木が髪に効く?

最近話題の植物「麦飯の木(Quisqualis indica)」。

麦飯の木は韓国メディアでも紹介されるなど、髪にも良い自然派ヘアケアにつながる成分として注目されつつあります。(2025年9月現在)

育毛というワードとともに耳にしたことのある方もいるかもしれません。

では、実際に「髪の成長促進」や「抜け毛予防」「育毛」などの効果は期待できるのでしょうか?

この記事では、麦飯の木の育毛効果や脱毛予防へのつながりを探っていきます。

麦飯の木(Quisqualis indica)とは?

「麦飯の木」は学名でQuisqualis indica。熱帯から亜熱帯地域原産のつる性植物で、観賞用として庭先にも植えられる樹木の一つです。

民間伝承として使われていた歴史もあり、伝統的には消化促進や抗菌などの民間薬として広く利用されてきました。

麦飯の木から抽出される成分には、抗酸化・抗炎症・抗下痢などの作用があるとされています。

抗酸化作用や抗炎症作用は、育毛や脱毛作用のサポートにつながる効果として、すでにさまざまな育毛、発毛治療に活用されています。

漢方では「冬棗(ドンザオ)」

麦飯の木は漢方の世界でも古くから活用され、「冬枣(Ziziphus jujuba cv. Dongzao)」と呼ばれています。中国原産の「棗(ナツメ)」の一種で、別名「リンゴ枣」「苹果枣」などとも呼ばれます。

果実はリンゴのようにシャキッとした食感で、見た目も味わいもリンゴに似ていて、そのまま皮ごと洗って食用できる植物です。

栄養価と健康への効果

冬棗はビタミンCが非常に豊富で、100gあたりリンゴの60~70倍・みかんの16倍もの含有量とされています。他にも、ビタミンA・E、カリウム・カルシウム・鉄分・亜鉛・葉酸など、肌や髪の健康、免疫機能を健やかに保つのに役立つ栄養素が幅広く含まれています。

胃腸にもやさしいとされていて、食欲不振や消化不良のときもおすすめ。

糖尿病の方は、食用することによる血糖値の乱高下に注意が必要ですが、少量なら食べても問題ないという見解もあるので、気になる方はかかりつけの医師に相談しましょう。

食べ方と注意点

冬棗は基本的に「丸ごと」洗ってそのまま食べるのが一般的です。また、ドライフルーツに加工して食べるのも中国では人気のようです。

育毛や脱毛予防へのエビデンスはあるの?

麦飯の木を研究した韓国・国立山林科学院による研究によると、麦飯の木に含まれる成分が、毛髪の成長や脱毛予防につながる可能性があるという見解を発表しました。

2022年より韓国・国立山林科学院は170種類を超える山林資源を対象に、毛髪の健康に役立つ可能性のある植物素材の研究を実施。その結果、麦飯の木の抽出物が毛乳頭細胞の活性化に有意な効果を示すことを明らかにしました。

研究チームによると、麦飯の木抽出物を濃度10μg/mlで処理した際、毛乳頭細胞の活性が約150%、濃度30μg/mlでは175%まで増加。また、毛髪成長に関与する関連バイオマーカー(体内の変化を示す指標)も濃度に比例して増加する傾向が観察されたのです。

この研究成果は、韓国国内で特許登録され、国際化粧品原料集(ICID)にも登載済み。現在は人体への臨床試験も進行中で、今後の実用化にも期待が寄せられています。

加えて、肌への刺激性に関する安全性評価も実施されており、無刺激等級を獲得。これにより、麦飯の木を含む育毛用アンプル製品の試作と安定性検証も完了したと報告されています。(2025年9月現在)

山林バイオ素材研究所のチェ・シクウォン博士は、「麦飯の木は毛乳頭細胞を直接活性化できる優秀な山林資源であり、今後、林業・農業の新たな収益源としても期待できる」とコメントしています。

日本国内における頭髪領域での研究について

一方で、現在までの日本国内および英語圏の研究を探ってみましたが、今のところ麦飯の木と頭髪領域に関する直接的な臨床研究や論文発表は見受けられませんでした。なかでも「発毛促進」や「脱毛抑制」といった明確な効果を証明する臨床報告は、現段階(2025年9月)では確認できませんでした。

とはいえ、冬棗の効果を発毛や育毛の視点でみてみると抗酸化作用や抗炎症作用は発毛環境を整えたり、脱毛抑制の一助になることはわかっています。

麦飯の木にもこれらの効果を発揮する成分が含まれていることから、今後の育毛・脱毛予防につながるさらなる研究が望まれる領域といえるでしょう。

現時点で麦飯の木に期待できる効果

韓国の国立山林科学院による研究で、麦飯の木の抽出物に毛乳頭細胞を活性化させる効果があることが報告され、脱毛予防や毛髪成長への応用が注目されつつあります。しかしながら、まだ臨床段階には至っておらず、実用化には検証が必要とされる状況です。

とはいえ、麦飯の木には植物としての強靭さや、安全性の高い自然由来成分であることなど、育毛・スカルプケア領域において期待できる要素が複数存在しています。

ここでは、現時点で考えられる麦飯の木の活用や可能性、魅力について整理していきます。

肥料が少なくても育つ丈夫な植物

麦飯の木(Quisqualis indica/冬棗)は、海岸地帯に自生するつる性の常緑広葉植物であり、過酷な環境でも強く育つ生命力の高い植物として知られています。

乾燥や塩分の多い土壌にも耐える適応力があり、特別な肥料や手入れを必要とせず低コストで栽培できるのも特徴です。

林業・農業分野においては、こうした自生力の高さから環境負荷の少ない持続可能な栽培が可能な山林資源として注目されています。商業的利用の可能性という観点からも、農薬に頼らずに安定供給できることは大きな利点といえるでしょう。

また、韓国の研究では170種以上の山林植物を対象にした調査の中で、毛乳頭細胞の活性化作用が特に顕著だった素材のひとつとして麦飯の木が挙げられており、韓国産の有用植物としてのポテンシャルが再評価されつつあるようです。

自然派由来なので安全性に期待できる

麦飯の木は「冬棗」という名で漢方薬としても古くから使用されており、咳や痰、喘息などの改善を目的とした民間薬としての歴史を持ちます。このことから、人の体に取り入れられてきた伝統的な植物で、有害事象の発生リスクを考えたところ、実績のある植物だと考えられます。

実際に韓国の研究機関による安全性評価では、麦飯の木抽出物は「肌刺激性がない(無刺激等級)」との判定を受けており、スキンケアやスカルプケアへの応用においても安全性の高い原料としての活用が期待されています。

このように、自然由来でありながら、機能性・商品供給の安定性・安全性の三拍子がそろった素材としての評価が高まりつつある麦飯の木は、今後の育毛製品や頭皮ケア化粧品の成分として注目すべき存在といえるでしょう。

まとめ

麦飯の木(Quisqualis indica)は、韓国の研究により毛乳頭細胞の活性化作用が確認され、脱毛予防や毛髪成長への効果が期待される植物として脚光を浴び始めています。加えて、漢方薬「冬棗」として伝統的に使用されてきた歴史や、肌への安全性が科学的に裏づけられている点でも安心して活用できるといえそうです。

一方で、日本国内における頭髪領域での直接的な臨床データは乏しく、製品としての信頼性や効果実証には今後の研究が不可欠です。
とはいえ、麦飯の木が持つ自然派素材としての魅力、安全性、育成のしやすさなどを総合的にみると、持続可能で実用性の高い育毛・スカルプケア素材としての将来性は十分に感じられます。

現段階(2025年9月)では「期待の新星である成分」として注目しつつ、続報と臨床データの蓄積を待ちたいところです。
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