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薄毛・抜け毛研究所
2026.10.23
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フィナステリドに新たな警告?服用をやめるべき?【2026年最新情報】
「フィナステリドに新しい警告が出たと聞いたけど、どういうこと?」
「今すぐやめた方がいいの?」
2026年5月、英国の医薬品規制機関MHRAがフィナステリドとデュタステリドに対する安全性警告を強化したというニュースが報じられ、AGA治療中の方々の間で不安が広がっています。
しかし、この警告の内容を正確に理解しないまま不安だけが広がってしまうのは、治療の適切な継続を妨げる可能性があるでしょう。
この記事では、今回の警告で何が変わったのか・変わっていないのかを一次情報をもとに整理し、フィナステリドを服用中の方が今どのようについて考えればよいのかを解説します。
2026年5月、英国MHRAがフィナステリドへの安全性警告を強化

参照:https://products.mhra.gov.uk/
MHRA(Medicines and Healthcare products Regulatory Agency)とは、英国の医薬品・医療機器規制庁です。日本でいえば厚生労働省の薬事部門にあたる機関で、英国内で販売されるすべての医薬品の承認・安全性管理を担っています。
欧州の規制機関であるEMAや米国のFDAと並んで、世界的に信頼性の高い規制機関の一つです。今回の情報はMHRAが公式に発表した「Drug Safety Update」およびプレスリリースに基づくものです。
したがって、今回の警告内容を確認するうえで重要な一次情報といえるでしょう。
今回の警告で明記されたこと
2026年5月11日にMHRAが発表した安全性情報によると、AGA治療薬として活用されているフィナステリド、デュタステリドに関する今回の主な変更内容は以下の通りです。
| 対象薬 | 今回変更された内容 |
| フィナステリド1mg | 「性機能障害が気分障害(うつなど)に影響する可能性がある」という因果関係の記述をより明確化。また「気分の変化の有無にかかわらず性機能障害が報告されている」という注意書きを明記。 |
| デュタステリド0.5mg | フィナステリドと同系統の薬であることから、フィナステリドで報告されている抑うつ気分・うつ病・自殺念慮についての注意喚起を追加。 |
整理すると、既に知られている性機能障害と気分障害との関連について、警告の表現をより明確にした「強化」です。一方、デュタステリドについては、同じ薬効クラスのフィナステリドで報告されている精神症状について、「予防的な注意喚起が追加」されました。
結論|新しい副作用が見つかったわけではない
今回の発表で重要なのは、フィナステリドやデュタステリドについて、今回初めて「新しい副作用が発見されたわけではない」ということです。
今回の変更は、既知のリスクの情報をより患者さんや医師に伝わりやすい形に整理・強化したものです。フィナステリドの作用については以下の記事もご参照ください。
そのため、「警告が強化された=今すぐ服用を中止しなければならない」という意味ではありません。服用中に気になる症状がある場合は、自己判断で中止するのではなく、処方した医師に相談することが大切です。
フィナステリドの作用については、以下の記事もご参照ください。
フィナステリドに副作用はあるの?抜け毛・薄毛に与える効果とその理由
フィナステリドの副作用と仕組み

フィナステリドはAGA(男性型脱毛症)の治療薬として日本でも承認されている内服薬です。国内では0.2mg錠と1mg錠が使用されています。
フィナステリドは5αリダクターゼII型という酵素の働きを阻害し、AGAに関与するDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑えることで、毛周期の乱れや毛包のミニチュア化を抑えます。
即効性はなく、効果が出始めるまで3〜6か月かかるとされており、継続的な服用が必要です。服用をやめると時間の経過とともに効果が失われ、再び抜け毛が進行する可能性があります。
これまでに報告されている主な副作用と頻度
国内でAGA治療薬として承認されているフィナステリド製剤の一つ、「プロペシア」の電子添付文書を参照すると、主な副作用として以下の症状が記載されています。
| 副作用の種類 | 報告されている症状 | 電子添文上の頻度 |
| 性機能 | リビドー減退 | 1~5%未満 |
| 性機能 | 勃起機能不全 | 1%未満 |
| 性機能 | 射精障害 | 1%未満 |
| 性機能 | 精液量減少 | 1%未満 |
| 精神・神経 | 抑うつ症状 | 頻度不明 |
| 肝機能 | 肝機能障害 | 頻度不明 |
| 乳房 | 乳房圧痛・乳房肥大 | 頻度不明 |
| 生殖機能 | 男性不妊症・精液の質低下(精子濃度減少、無精子症、精子運動性低下、精子形態異常など) | 頻度不明 |
一方、2025年に発表された欧州集団で実施された研究では、フィナステリドの使用とうつ病・自殺との間に、統計学的に有意な関連は認められませんでした。
ただし、この研究結果だけでフィナステリドとこれらのリスクを完全に否定できるわけではありません。患者さんの年齢や健康状態、治療状況など、さまざまな要因が影響する可能性があるためです。また、AGAそのものが精神的な負担となる場合もあり、薬の影響だけでうつなどとの関連性を判断することが難しいケースもあるでしょう。
性機能障害・精神症状が起きる理由
フィナステリドが阻害する5α還元酵素は、男性ホルモンだけでなく、気分や不安、ストレス反応など脳の働きを調節する「神経活性ステロイド」の代謝にも関与しています。
そのため、フィナステリドによって神経活性ステロイドのバランスが変化することが、抑うつなどの精神症状に関係する可能性について研究されています。とはいえこの仕組みはまだ十分に解明されていないのが現状です。
フィナステリドが直接うつ症状を引き起こすと証明されているわけではありません。
「フィナステリド後遺症症候群(PFS)」とは

PFS(Post-Finasteride Syndrome:フィナステリド後遺症症候群)とは、フィナステリドの服用を中止した後も性機能障害・精神症状・神経症状などが持続される状態を指してます。
報告される症状としては、勃起不全・性欲の低下・抑うつ・認知機能の変化・疲労感などが挙げられ、「薬をやめたのに症状が続いている」という訴えが複数報告されています。
フィナステリドでは、さまざまな副作用や服用中止後も続く症状が報告されていますが、PFSは現時点で医学的に確立された疾患概念ではありません。2026年現在、フィナステリドの服用と、服用中止後も続く症状との因果関係も明確には証明されていません。
国際毛髪外科学会(ISHRS)をはじめとする学術機関も、フィナステリド中止後に性機能障害などが持続すると訴える患者さんについて取り上げられていますが、その頻度や因果関係については、現在も議論が続いています。
性機能障害を実感する背景
PFSが「本当に存在するのか」「薬と症状の間に因果関係があるのか」は、現在も研究が進められています。一方で、服用中止後も症状が続いていると訴える患者さんが実際にいることも事実です。
フィナステリドを治療として活用している男性患者さんには、中高年にさしかかる年齢の方が少なくありません。また糖尿病や高血圧などの生活習慣病をはじめとした個人の健康状態や生活背景によって性機能の低下につながる要因を抱えている方もいます。
そのため、性機能の変化がフィナステリドだけによるものなのか、ほかの要因によるものなのかを判断することは容易ではありません。
デュタステリドにも警告が追加された理由

デュタステリドもフィナステリドと同様に5αリダクターゼを阻害してDHTの生成を抑える薬です。一方で、作用する5αリダクターゼの種類などに違いがあります。
今回、デュタステリドにも注意喚起が追加された背景を理解するために、フィナステリドとの違いを見ていきましょう。
| フィナステリド | デュタステリド | |
| 阻害する酵素 | 5αリダクターゼII型 | 5αリダクターゼI型・II型 |
| DHT低下率 | 約70% | 約90%以上(より強力) |
| 発毛効果 | 基準とする | 比較試験では、フィナステリドより毛髪数の増加が大きい結果が示されています。 |
| 毛の太さ | 基準とする | 比較試験では、フィナステリドより毛髪径の増加が大きい結果が示されています。 |
デュタステリドはフィナステリドよりも強くDHTの生成を抑える作用があります。一方、比較試験では、両剤で有害事象の発生数や重症度に大きな差はみられませんでした。
ただし、副作用の現れ方には個人差があるため、医師と相談しながら使用することが重要です。
今回の「予防的警告」とはどういう意味か
MHRAは、デュタステリドについても、フィナステリドで報告されている精神症状に関する注意喚起を追加しました。フィナステリドとデュタステリドは同じ5αリダクターゼ阻害薬という薬効クラスに属するため、フィナステリドで確認されているリスクを踏まえ、デュタステリドについても注意喚起が必要と判断されたものです。
つまり、今回の変更は「デュタステリドで新たな副作用が発見された」ということではなく、同じ薬効クラスの薬で確認されているリスクを踏まえて、注意すべき症状を製品情報に追加したものと理解するとよいでしょう。
日本ではどうなの?

今回の警告を発したのは英国のMHRAです。日本の医薬品規制機関であるPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)は、2026年8月現在、フィナステリドやデュタステリドに対して今回と同様の警告強化は発表していません。
そのため、現時点での日本の処方・使用に直接的な変更はありませんが、今回の国際的な動向を知識として持っておくことは有益です。
使用について医師との相談を検討したいケース例

副作用の可能性を理解したうえで服用を始めた方でも、実際に症状が現れると不安を感じることがあるでしょう。フィナステリドの副作用には、症状や経過に個人差があります。
服用中に、以下のような症状が現れたり、症状が続いたりする場合は、自己判断で放置せず、医師に相談することが大切です。
| 状況 | 一般的な対応の方向性 |
| 服用後に性欲減退・勃起不全などの症状が続いている | 医師に報告・相談する 症状に応じて減量・中止・他剤への変更などが検討される場合がある |
| 抑うつ気分・不安・気分の落ち込みが続いている | フィナステリド1mg(AGA治療) →うつ・自殺念慮が生じた場合は服用中止+速やかに医療従事者へ連絡 フィナステリド5mg・デュタステリド →うつ・自殺念慮が生じた場合は速やかに医療従事者へ相談 |
| 服用をやめた後も症状が持続している(PFS疑い) | 皮膚科・泌尿器科・精神科など、症状に応じた専門医に相談 |
| 妊娠を希望するパートナーがいる | 精液への影響が懸念される場合がある 医師と相談したうえで判断 |
まとめ

2026年5月の英国MHRAによるフィナステリド・デュタステリドへの警告強化は、「新しい副作用が発見された」ものではなく、既知のリスク(性機能障害・精神症状)に関する情報をより明確に伝えるための強化です。
フィナステリドはAGAの治療に用いられている薬ですが、副作用が生じる可能性もあります。服用中に性機能の変化・抑うつ気分・不安などの症状が出た場合は、自己判断で放置せず速やかに医師に相談することが重要です。
「今すぐやめるべきか」という問いへの答えは副作用の有無や現在の体調、治療の状況などによって異なります。今回の警告を過度に不安視するのではなく、気になる症状がある場合は担当医に相談し、自分の状態に合った対応を検討しましょう。
参照:MHRA公式発表プレスリリース
「MHRA strengthens safety warnings for finasteride and dutasteride」
【毛髪診断士コメント】
フィナステリドはAGA治療に用いられている一方、副作用が起こる可能性もあります。今回の警告強化によって不安になった方もいるかもしれませんが、薬の服用を中止する必要があるとは限りません。現在の体調や効果などを踏まえ、担当の医師と相談しながら今後の治療方針を検討しましょう。
公益財団法人日本毛髪科学協会 毛髪診断士 和田亮臣