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毛・抜け毛研究所

2025.11.24

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【2025年最新情報】非接触超音波の刺激で髪が生えるって本当?

「頭皮に触れずに髪が生える?」

育毛や脱毛予防の歴史からみると信じがたい話題ですが、近年、非接触型の超音波振動刺激による育毛効果が国内外で注目され始めています。(2025年9月現在)

非接触性超音波による育毛治療は、髪や頭皮に物理的な接触を伴わず、空中に発生させた微細な超音波振動を頭皮表面に照射することで、毛根や毛乳頭細胞へ間接的に刺激を与えるという仕組み。まったく新しいアプローチとして、スカルプケアや薄毛対策を模索する層から関心を集めています。

この記事では、この技術の原理や研究状況、過去の似た育毛治療との違いを整理しながら、「本当に髪が生える可能性があるのか?」掘り下げていきます。

非接触型超音波刺激って何?

これまでの育毛技術は「触れること」が前提でした。しかし今、物理的な接触なしに頭皮へ刺激を届ける「非接触型超音波技術」が注目を集めています。

では「非接触型超音波技術」とはどのようなものでしょうか?

超音波を「空気振動」として頭皮に届ける技術

従来、育毛や脱毛予防としておこなわれていた頭皮経由のアプローチや刺激は「触れる」「揉む」「塗る」といった接触を必要とする手法が主流でした。

しかし、今回開発された非接触型の超音波技術は、空気振動を利用し、対象物に直接触れることなく振動刺激を届けることが可能となっています。実験では40000Hzの超音波を10回/秒のペースで照射。その結果、マウス実験によると顕著な発毛が認められました。

触れないで「刺激を与えられる」メリットの大きさ

非接触であることは衛生面の利点だけでなく、機械的な刺激による摩擦や炎症のリスクを抑えられるというメリットがあります。敏感肌やアトピー体質の人はもちろん、抜け毛が気になるデリケートな頭皮にとって、やさしく頭皮をケアできる手段として考えると魅力的といえるでしょう。

非接触超音波による育毛メカニズム

近年注目を集めている「非接触超音波刺激」による育毛アプローチ。そのメカニズムは、従来の育毛成分であるミノキシジルと一部共通する働きを持ちながら、まったく異なる物理的手法でアプローチしています。ここでは、育毛につながる反応や細胞メカニズムについて紹介します。

「K-ATPチャネル」活性化

超音波刺激によって毛乳頭細胞内のK-ATPチャネル(カリウムイオンチャネル)に関する働きが活性化されることが研究で確認されました。

ミノキシジルもK-ATPチャネルの働きを活性化させるのですが、この作用機序と同様です。K-ATPチャネルはカリウムイオンを通過させる働きを持つため、血流促進、成長因子の分泌促進に関与しています。

非接触超音波刺激が、K-ATPチャネルを薬剤ではなく非接触型の「物理刺激」で活性化させる点は画期的といえるでしょう【出典:PixieDust Technologies、Dクリニック】。

マウス・人間試験における毛周期への効果

既存の報告ではマウスを対象とした実験において、非接触超音波刺激により「成長期の毛が増えて休止期にあった毛包が減少する」様子が観察されています。

類似技術との比較

非接触超音波による育毛技術が注目される一方で、これまでに開発・実用化されてきたさまざまな育毛アプローチ。それらとの違いや共通点を知ることで育毛や脱毛予防への選択肢が増え、より良い育毛アプローチができるようになるでしょう。

ここでは、今までに活用されてきた以下の3つの代表的な類似技術と比較して、非接触超音波との違いを見ていきます。

①低出力レーザー治療(LLLT)との比較

育毛に用いられる技術の中でも、赤色LEDやレーザーを使った低出力レーザー治療(LLLT)は広く知られています。一方で、近年注目されている「非接触型超音波刺激」は、まったく異なる仕組みで毛髪にアプローチします。

ここでは、両者の作用メカニズムや普及状況、使用感などを比較しながら、それぞれの特徴と違いを解説します。

赤色LEDやレーザーを使った光刺激

LLLT(Low-Level Laser Therapy)は、波長が650nm前後の赤色レーザーまたはLEDを照射することで毛母細胞の代謝の活性化、血流促進させ、毛髪の成長を促すとされる治療法です。医療機関での施術のほか、自宅用のレーザーキャップやドライヤー型デバイスも多数登場しており、市販品としての認知度も高い治療方法です。

刺激を与えるためのメカニズム(光 vs 振動)

LLLTや赤色LEDの光子エネルギーは波長が長く、毛母細胞まで届くことで細胞活動を活性化させるという光生物刺激(photobiomodulation)が主な作用機序です。一方、非接触超音波刺激では、空気中の微細振動を介して毛乳頭細胞に機械的な圧刺激を与えます。

つまり光刺激 vs 振動刺激というまったく異なるアプローチではありますが、毛母細胞に働きかけて育毛や脱毛予防につなげるという意味では同様といえるでしょう。

家庭用機器の普及度

LLLTは数十年前から医療・美容分野で使用されており、安全性や有効性のデータも豊富です。また、家庭用デバイスも多数販売されており、継続的に使用しやすい環境が整っています。家庭用のセルフケアマシンとしても、高価格帯の高機能のものから手軽に使えて入手しやすいものなど、ユーザーにとって幅広い選択肢があります。

対して、非接触超音波技術の製品化例は現時点で少数。(2025年9月)
光刺激機器に比べると高価格で、選択肢が少ないのは入手を考えるユーザーにとっては悩みどころともなるでしょう。今後の普及が期待される段階です。

電気刺激(EMS/電流療法)との比較

頭皮ケアにおいては、近年「EMS」や「微弱電流」を活用したデバイスが人気を集めています。これらは電気の力で筋肉や血流に刺激を与える技術で、自宅で手軽に使えるスカルプケアアイテムとして注目されています。一方で、非接触超音波刺激とはまったく異なる作用原理を持つため、それぞれの違いを把握することが大切です。

電気刺激と超音波刺激の違い

EMS(Electrical Muscle Stimulation)やマイクロカレント(微弱電流)を用いた頭皮刺激機器は筋肉や血流を刺激して、育毛を促進したり脱毛を予防するという発想のものです。なかでもスカルプケア用EMSデバイスは、美容家電としても広く普及しています。

非接触超音波が物理的な振動圧を使うのに対し、EMSは電気信号を皮膚に流して反応を引き起こすもので、物理刺激 vs 電気刺激という点でアプローチが異なります。

電流刺激による使用感の違い

電流刺激のメリットは筋肉の引き締めや血流促進など、即時的な刺激を感じやすい点にあります。効果を実感しやすく、「使っている」という感覚が得やすいのが特徴です。

しかし、肌質や体調によっては刺激が強すぎると感じるユーザーがいるのも実情のようです。一方で電気刺激の心地よい刺激が良いというユーザーもいます。また、頭皮に接触させて使用するデバイスであるため、汗や水分の影響を受けやすいというデメリットもあります。

一方で非接触超音波刺激は、物理的に機器を頭皮に押し当てる必要がなく、空気中を伝わる振動で作用するため、肌への接触や刺激による不快感を最小限に抑えられる点がメリットです。衛生面でも接触が不要であることは大きな利点だといえるでしょう。

しかし「使用感」が乏しく、人によっては「これでいいのだろうか?」「本当に効果がある?」というような非接触性だからこその使用感が得にくい点はデメリットといえるでしょう。

マッサージャー・頭皮ブラシなどの物理刺激との比較

頭皮を刺激して血行を促すという点では、マッサージャーやスカルプブラシなどの物理刺激アイテムも古くから用いられてきたセルフケアの定番です。非接触型超音波との違いを理解することで、自分に合ったアプローチを選ぶ参考になります。

「手やブラシでの刺激」は手軽に取り入れやすい

市販の頭皮マッサージャーやスカルプブラシは、頭皮を直接揉みほぐしたりブラッシングすることで血行を促進し、毛根への栄養供給を高めることを目的とした物理刺激系のアイテムです。これはいわば手の延長としての育毛サポートであり、長年親しまれてきた王道のセルフケアの一つです。

比較的簡便で、誰でも実践しやすく、最初の「育毛へのアプローチ」「脱毛予防習慣」として取り入れやすい方法です。一方で非接触型超音波デバイスは、今のところ専門のクリニックや専門の機械を購入することで初めて使用することができます。手軽にケアをするという意味では少々難易度が高いのが現状です。

刺激により血行を促進する点は共通

非接触超音波技術も刺激という意味では手によるマッサージと共通しています。実際に、血流改善や頭皮の柔軟性向上など、基本的な育毛環境の改善には同様の効果が期待できます。
ただし、手やブラシの物理刺激は頭皮の浅い層にとどまりがちで、細胞レベルの活性には限界があります。

まとめ

これまで広く用いられてきた育毛技術には、光刺激(LLLT)、電気刺激(EMS)、物理的マッサージなどがあり、それぞれに科学的根拠と利用実績があります。

非接触超音波による育毛刺激は、これら既存技術とは一線を画す触れずに“振動”という新しいアプローチで細胞に働きかける点が最大の特徴です。

一方で、臨床データや長期使用に関する報告はまだ限られているため、実績のあるLLLTなどに比べると科学的なエビデンスは発展途上といえるでしょう。

育毛ケアや脱毛予防ケアを選ぶ際には、「どんな仕組みで作用するのか」「どこまで効果が証明されているのか」「どんな使い心地か」といった複数の視点で検討することが重要です。

その意味で、非接触超音波刺激は“新たな選択肢”として、将来性に富んだ技術として一考の価値があるといえるでしょう。今後の臨床データと市場展開に注目です。
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