薄毛

ジヒドロテストステロンの役割と作用は?増える原因と抑制する方法

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AGAは、ジヒドロテストステロンと呼ばれる男性ホルモンの変異物質が原因で起こる脱毛症です。AGAの予防および治療のために、ジヒドロテストステロン増加のメカニズムと、有効な対策を知っておきましょう。
今回は、ヘアサイクルの概要とジヒドロテストステロンの役割・作用などについてご紹介します。脱毛症に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

薄毛が起きるメカニズム

髪の毛は、ヘアサイクル(毛周期)が正常に繰り返されることで、健康的に成長します。反対に、このヘアサイクルが乱れれば、髪の毛は抜けやすくなり、結果的に薄毛を引き起こしてしまうのです。

ヘアサイクルとは

ヘアサイクルを毛穴で表している図面
ヘアサイクルには、「成長期」(約2年~約6年)「退行期」(約2週間)「休止期」(約3カ月~約4カ月)の3つの周期があります。正常な頭皮でも髪の毛は毎日50本~100本ほど抜け落ちるものですが、何らかの原因で成長期が極端に短くなると、抜け毛の本数も増え、新たに生える髪の毛も減ってしまう事態を招いてしまうでしょう。
生涯に生えてくる髪の毛のうち、約9割は成長期に育つといわれます。髪の毛は成長期に生まれ、活発に伸びていくのもこの時期です。成長期は、短くても2年は必要とされています。 成長期の後に訪れるものが、退行期です。髪の毛の成長が落ち着き、やがて止まる時期を迎えます。
その後、休止期と呼ばれる周期に入るわけですが、この時期は完全に成長が止まった状態。新たに生えてくる毛髪のために、古い髪の毛は押し出されていきます。つまり、休止期は次の成長期を迎えるための準備段階ともいえるのです。

ヘアサイクルが乱れると、抜けやすくなる

ヘアサイクルは、規則正しく繰り返されることが理想です。反対に、髪の毛の成長に悪影響を及ぼすものが、ヘアサイクルの異常化。つまり、成長期が短くなった分休止期が長くなってしまい、サイクルにゆがみが生じている状態です。
成長期が短い状態で生えてくる髪の毛は、生気を欠き、細い状態で抜け落ちてしまいます。徐々に抜け毛の本数が増えてくため、髪全体がボリュームダウンし、それが常態化した状態が脱毛症なのです。
ヘアサイクルが乱れる原因には、頭皮環境の悪化や、ストレス、偏った食生活による栄養不足などさまざまなものが考えられます。いつもより抜け毛の本数が多いと感じたら、これらの要因に思い当たる節がないか振り返ってみてください。

ジヒドロテストステロンとは?役割と作用について

アロペシア(脱毛症)と書いてある紙の上にカプセルや注射器が置いてある写真 薄毛は、男性ホルモンの異常発生によっても引き起こされます。男性ホルモンはそのままだと何の問題もありませんが、男性の頭皮に存在する「5αリダクターゼ」と呼ばれる酵素と結合すると、ジヒドロテストステロン(DHT)に変異します。このジヒドロテストステロンが増加すると、身体上の異変・トラブルが起きやすくなるのです。

前立腺肥大症の原因

プロステート(前立腺)と書いてあるパネルを胸の前で持っている姿 前立腺組織の肥大化が招く前立腺肥大症は、ジヒドロテストステロンが一因でもあります。前立腺細胞に取り込まれたテストステロンが、5αリダクターゼの作用によってジヒドロテストステロンに変換されると、前立腺細胞の増殖を招きます。
男性ホルモンの異常変異にはこのような性質があることから、前立腺肥大症治療の目的でフィナステリドが開発されたという経緯があるのです。

ニキビの発生

ニキビは、皮脂の過剰分泌によって起こる肌のトラブルです。特に思春期の頃、多くの男性はニキビに悩まされたことでしょう。男性ホルモンには皮脂を過剰分泌させる働きがあります。思春期にニキビが増えるのは、この時期大量の男性ホルモンが分泌されることで、その影響が肌上に表面化するためです。
男性ホルモンが皮脂の中で5αリダクターゼと結合し、ジヒドロテストステロンに変わると、さらにニキビの発生を促してしまいます。
ジヒドロテストステロンには、テストステロンより10倍以上の活性を持つことから、肌に与える影響も大きくなってしまうのです。

AGAの原因

AGAは、男性ホルモンがジヒドロテストステロンに変化することで発症する脱毛症です。男性の側頭部と後頭部の皮脂腺には、「1型5αリダクターゼ」が多く存在します。また男性の頭頂部および前頭部の毛乳頭に多く存在するものが、「2型5αリダクターゼ」です。
5αリダクターゼの量には個人差がありますが、体質的にジヒドロテストステロンが生成されやすい方は、AGAリスクも高いといえます。

ジヒドロテストステロンが増える原因とは

先述の通り、ジヒドロテストステロンが増えると前立腺肥大症やニキビ、AGAの原因になり、予防するには分泌を抑える対策が重要です。では、なぜジヒドロテストステロンが増えるのでしょうか?その主な理由は以下の3つです。

1)ストレス

男性がパソコンの前で頭を悩ませ疲れている様子の写真
ストレスによって男性ホルモンは増加し、そのメカニズムは自律神経の働きと関係があるといわれています。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があります。交感神経は緊張しているときに働き、副交感神経はリラックスしている状態で活発となる神経で、ストレスを感じている緊張状態のときに優位になるのは交感神経です。この交感神経には、男性ホルモンの分泌を促す作用があります。
つまり、ストレスが増えるほど、男性ホルモンも増加するという構造があるのです。 男性ホルモンが増えると、ジヒドロテストステロンも生成されやすくなります。そのため、ストレスのない生活がAGA予防につながるといえるでしょう。

2)運動不足

運動不足も、ジヒドロテストステロンを増やしてしまう一因です。体内で生成されたジヒドロテストステロンは、発汗や排尿などによって排出できます。ところが、運動しない生活を送ると、汗をかきにくく、発汗によってジヒドロテストステロンを排出する効果が得られないのです。
排尿によるジヒドロテストステロンの排出効果も高いのですが、排出を促すには、運動して汗とともに排出する対策も重要です。
ただし、過度なハードトレーニングはあまり良くありません。なぜなら筋トレなどによって男性ホルモンの分泌が促進されるため、ジヒドロテストステロンの分泌も同時に促進してしまうためです。運動不足を解消するのであれば、軽く汗を流す程度の有酸素運動が最適といえます。

3)栄養不足

ジヒドロテストステロンが増えるのは、それを生成する5αリダクターゼが毛乳頭内で活性化しているためです。5αリダクターゼは体内に栄養素が不足していると活性化します。つまり、偏った食生活を送り、大切な栄養素である亜鉛、ミネラル、タンパク質などが不足すると、5αリダクターゼの活性化を助長してしまうのです。

ジヒドロテストステロンを抑制する方法とは

最後に、ジヒドロテストステロンを抑制する方法をご紹介します。基本である「生活習慣」「亜鉛の摂取」「薬の処方」という観点から、AGA予防・症状の改善に努めましょう。

生活習慣

生活習慣での対策では、
「ストレスを可能な限り解消する」
「タバコの本数を減らす、または喫煙をやめる」
「軽度の運動を心掛ける」
この3点を重視してください。

ストレス解消

人によってストレスを解消する方法は異なりますが、多くの方に共通していえることは、睡眠時間を十分確保することです。疲れやイライラ、ネガティブな感情などは、睡眠不足が原因かもしれません。睡眠不足の状態が続くと疲労やネガティブ思考を強くし、さらなる心身の負担となってしまうでしょう。良質な睡眠をとることが、ストレス解消の第一歩です。

喫煙

喫煙をすると大量の活性酸素が生み出されます。活性酸素を分解してくれるのは酵素で、このとき大量の亜鉛が消費されます。亜鉛にはジヒドロテストステロン生成を阻害する性質があることから、亜鉛の消費によって活性酸素の分解が遅れてしまうのです。このサイクルを断ち切るには、活性酵素の原因である喫煙を控えることが望ましいでしょう。

運動

男女二人が並んでジョギングしている姿 前段でご紹介しました通り、軽度の運動も大切です。ジヒドロテストステロンの排出効果がある有酸素運動には、ウオーキングやジョギング、水泳などがあります。毎日少しずつでも、適度な運動を心掛けてください。

亜鉛の摂取

ジヒドロテストステロンを抑制する亜鉛の摂取も、有効な対策です。亜鉛を豊富に含む食べ物には、生ガキやレバー、大豆、牛肉、卵、タラバガニ、しじみなどがあります。これらの食べ物を献立メニューに加えることで、亜鉛の定期的な摂取が可能となるでしょう。他の栄養素も考慮して、バランスのとれた食生活を目指してください。

ビタミンB6も亜鉛と一緒に摂取する

ビタミンB6が豊富な食材の写真 亜鉛を効率よく吸収する上で適した栄養素が、ビタミンB6です。せっかく亜鉛を摂取しても、きちんと吸収されなければ効果も薄くなります。亜鉛を含む食材と合わせて、以下の食材も積極的に取り入れるようにしてください。
  • 豚肉
  • 鶏レバー
  • 魚の赤身
  • ピーナッツ
  • 生ニンニク
  • バナナ
また、サプリメントや健康補助食品などから摂取する方法もおすすめです。

薬の処方

プロペシアと書かれている一粒の錠剤
AGA治療薬の中には、ジヒドロテストステロン抑制に効果が期待されるものがあります。皮膚科やAGAクリニックで処方される「プロペシア」に含まれるフィナステリドがその代表です。
フィナステリドには、ジヒドロテストステロンを生成する酵素「2型5αリダクターゼ」の働き阻害する作用があります。この酵素の活性化を抑制すれば、ジヒドロテストステロンの生成を防止できるのです。
ちなみに、「1型5αリダクターゼ」「2型5αリダクターゼ」両方の働きを阻害してくれる治療薬には、デュタステリド配合の「ザガーロ」があります。

おわりに

AGAの症状を改善するには、ヘアサイクルを正常に戻すと同時に、主因物質であるジヒドロテストステロンの抑制が必要です。脱毛症の原因がAGAであれば、ジヒドロテストステロン生成を防止することで、乱れたヘアサイクルを改善できるでしょう。
そのジヒドロテストステロンを抑制するには、ストレスの解消や適度な運動、禁煙など生活習慣に関する対策や、亜鉛の摂取などが有効とされています。
生活習慣の改善からジヒドロテストステロン対策を行うとともに、フィナステリドなど5αリダクターゼの活性を阻害する治療薬も利用すると良いでしょう。