薄毛治療の最新版!液体窒素やディグニキャップを使った頭皮冷却療法

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円形脱毛症や、抗がん剤による大量の抜け毛は見た目が変わるだけでなく、精神的なダメージも大きいものです。そのため、患者の心理的苦痛を和らげようと、医療現場ではさまざまな工夫や処置がなされています。

今回は、円形脱毛症の改善に期待ができる液体窒素、乳ガン患者の精神的苦痛を緩和するために開発されたディグニキャップについてご説明します。

液体窒素を使った治療法

超低温の液体窒素を患部に当てて免疫を活性化させる治療法は、いぼや炎症の治療などに用いられています。薄くなった頭皮の部分に刺激を加えて毛母細胞を活性化させることが、液体窒素を用いた薄毛治療の狙いです。

円形脱毛症向けの治療法

ボトルから噴き出す液体窒素 液体窒素を用いた治療は、円形脱毛症向けに行われるものです。 患部に液体窒素のスプレーを振りかけると、皮膚は急激に低温下して炎症を起こします。意図的に炎症を起こすことに、この治療法の特徴があります。

円形脱毛症の原因は、自己免疫の働きによるものとされる向きが強まっています。自己免疫の働きにトラブルが起きると、普段は外的から細胞を守るためにあるリンパ球が、活性化するあまり毛母細胞まで破壊してしまいます。

リンパ球が毛母細胞を攻撃しないようにするためには、別のターゲットを見つけなければなりません。そして、攻撃されても構わない対象を作るためにあえて炎症を起こすことがこの治療方法の狙いなのです。

日本皮膚学会の評価

日本皮膚科学会の円形脱毛症治療のガイドラインでは、液体窒素を用いた治療法を「C1」と判定しています。これは「行っても構わないが、科学的根拠を示すものはない」という意味です。

相対的に高い評価を受けている治療方法は他にもありますが、試す価値はあるかもしれません。

液体窒素を使った治療法の注意点

液体窒素はかなり特殊な治療方法で、利用できる方も限定されています。上述した通り、頭皮に強い刺激を与えるため、皮膚の状態が良くない方は治療を控えた方が無難です。たとえ頭皮が健康な方でも、1年も続ければ皮膚が悪化し、それ以上の治療は困難となります。

また、液体窒素は円形脱毛部分が一部の箇所に限られた方に向いた治療方法です。円形脱毛が複数箇所に及んでいれば、個別に炎症を起こす必要があり、痛みに耐えきれずリタイアする人も少なくありません。症状が進行している方には向かない治療方法だといえます。

ディグニキャップを用いた治療法

女性にとって、抗がん剤治療などで髪の毛が奪われることは大きな苦痛となります。女性に多いガンといえば乳ガンですが、その症状が進行すれば多くの場合、抗がん剤治療の選択を迫られます。

そして、女性患者が心置きなく抗がん剤治療を受けられるよう開発された最新の医療機器が、「ディグニキャップ」です。

乳ガン患者のために開発

血管内 ディグニキャップは、スウェーデンの医療機器メーカーが開発した、コントロールパネル付き冷却装置とシリコン製キャップによって構成されている頭皮冷却用帽子です。一定の温度で頭皮全体を冷却することで血管収縮作用を起こし、抗がん剤による毛包への攻撃を軽減します。

有用性について

ディグニキャップはスウェーデンで開発されたことから、ヨーロッパ諸国の医療現場での導入が盛んで、利用者は5,000人以上に及んでいます。また、有用性を示す研究成果が発表された事例もあり、海外ではすでに高い評価を受けている治療方法です。

ディグニキャップを用いた治療法の注意点

冷却帽子を頭からかぶるため、中には頭部の冷えや頭痛に悩まされる方もいます。ヘッドギアも長時間付けると首や肩の負担も大きくなり、首こりや肩こりにも悩まされるかもしれません。

また、抗がん剤の種類や組み合わせ次第では効果がないため、この冷却帽子を使用する際は必ず医師に相談をしてください。

おわりに

今回は、薄毛治療に効果的な液体窒素を使った治療法と、ディグニキャップを用いた治療法についてご説明しました。

完全とは言えないまでも、ある程度の脱毛抑制効果が期待される液体窒素療法とディグニキャップ。それぞれ注意点、副作用などもあるため、行う際には慎重な判断が重要です。どちらも体に負担を与える治療方法ですので、必ず医師と相談の上、無理のない選択をしましょう。