髪の毛を「すく」とどんな効果があるの?

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A.毛量を調整して髪の毛を軽くするという効果や、髪の毛の動きや質感を調整するといった効果があります。

今や定番の「すく」

美容師さんに「今日はどんな感じにしましょう?」と聞かれる鏡越し、「重くなってきたのですいてください」と答えるやり取りは美容室での日常風景といっていいでしょう。
髪の毛を「すく」というテクニックはもはや素人にも浸透しているほど定番のカット用語なのです。
しかし、私たちが当然のように要求している「すく」。
本当に正しく使えているのでしょうか?
もしかしたら美容師さんの中には、ヘアスタイルや髪質を見て「本当はすかないほうが良いのに……」と判断していても、お客様の要望により、新たな提案を飲み込んでしまっているのかもしれません。
そう考えると、利用する側としては「すく」とは何か。
「すく」ことで得られるメリットやデメリットを今一度理解しておきたいところですよね。

「すく」の語源

漢字だと髪の毛を「梳く(すく)」と書くこの「梳く(すく)」には、もう一つ「櫛などで髪の毛をとかす」という意味を合わせ持っています。
つまり元来、髪の毛を「とかす」行為と、今言われている「すく」行為は同じ起源を持っている可能性が高い。
実際に美容師さんが使うスキバサミ(セニングシザー)のギザギザとした粗い目は、和櫛にある「梳き櫛(すきぐし)」と形状がよく似ています。
さらに昔スキバサミなんか存在しない時代、「理髪」といえば髪の毛をとかすことでした。
目の粗い櫛で髪の毛をきれいに整えることが理髪だったのです。
当然ながら理髪後の髪の毛はそれ以前よりも、ボリュームが押さえられた美しい髪型へと変わります。
要は「髪の毛をとかす」ことから派生して、髪の毛をきれいに整えたりボリュームを押さえたりすることが「すく」として定着したという説は有力でしょう。
だから私たちは、とりあえず美容室にいったら「すく」べきで、ボリュームを押さえたいならなお「すく」必要があると考えているのかもしれません。

髪の毛をすくメリット

ではここから、一般的にいわれている「すく」メリットをご紹介します。

毛量が減るため扱いやすくなる

全体の毛量が減れば、その分スタイリングしなければならない毛量も減るはずなので、髪の毛をすいたほうが以前よりも扱いやすくなるでしょう。
特に毛先に向かうにつれ毛量が少なくなるため、ハネさせたい部分はハネさせたりボリュームを押さえたい部分は押さえたりと、メリハリをつけたスタイリングがしやすくなります。

スッキリとさわやかな印象に

全体の毛量が減ることで、重たい印象からスッキリとさわやかな印象に仕上がります。
また顔が小さく見える、清潔感が増すという印象を得られることも多いようです。

髪の毛が乾きやすくなる

さらに生活面での時短にもつながります。
全体の毛量が減るとともに、髪の毛と髪の毛のあいだにも隙間が生まれるため、ドライヤーの風が行き届きやすくなります。

髪の毛をすくデメリット

次に、一般的にいわれているデメリットをご紹介します。

まとまりがなくなり扱いにくくなる

先ほど「すく」と髪の毛が扱いやすくなるというメリットを挙げましたが、反対にまとまりがなくなることで扱いにくくなるというデメリットもあります。
髪の毛を「すく」と毛先が動きやすくなるのでメリハリをつけやすくなる反面、動きすぎて収拾がつかなくなってしまうこともあるようです。
特にクセ毛が強い人は注意が必要です。本当はクセを押さえたいのにボリュームを押さえることと混同して「すいてください」と頼んだら、よりいっそうクセが目立ってしまう結果になってしまうかもしれません。

アホ毛が出てしまう

アホ毛というのは、まとまった髪の表面(主に頭頂部)から、すいて短くなった髪の毛がピンピンと跳ね出てしまうことです。 要はかっこ悪い状態として捉えられています。
また同様に髪の毛をすき過ぎると、薄毛に見えてしまうこともあるようです。

パサパサの髪質に見えてしまう

毛先に動きが出やすくなる代償として、光を面で反射することができずに分散させてしまう可能性があります。
まとまりのあるきれいな質感の髪を目指していたなら、パサついて見えてしまうのは本末転倒です。
スタイリングでカバーもできますが、そもそも本当に「すく」必要があるのかは慎重になったほうがいいでしょう。

おわりに

私たちが知った気になって「すいてください」と使っているカット用語は、このまま使い続けるよりも一度慎重になったほうがいいかもしれません。
そこでおすすめは、「すく」というテクニックでお願いするのではなく、自分がどんな髪型になりたいのかの完成系を最初に伝えることです。
画像や雑誌などの視覚的なイメージが一番わかりやすいでしょう。
そのあとにも美容師さんと細かくコミュニケーションを取ることで、私たちのこだわりや完成イメージがより正確に伝わるかと思います。
「すく」か「すかない」の判断は、私たちのすべての要望を考慮したうえで美容師さん側が判断してくれるのではないでしょうか。