モミアゲは何のためにあるのか?モミアゲについて徹底解剖!

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モミアゲって何のために生えていると思いますか?
たいていの体毛には役割があって、その主な役割はからだの各部位を保護することだと考えられています。たとえば髪の毛であれば、脳が収容されている大切な頭部を守るためにある、とされていますし、まゆ毛やまつ毛であれば、目の中へ異物が浸入するのを防ぐためにある、とされています。ごもっともだと思います。
ではあらためて冒頭の質問をもう一度。
モミアゲって何のために生えていると思いますか?
先の説明に則って考えれば、耳や頬を保護するための役割を与えられているかのように思ってしまいます。しかしながら、それなら耳毛をもっと発達させた方が進化としては正しいでしょうし、モミアゲに男女差があるのも不思議な話です。また、そもそも男性の頬をそこまで保護する理由がどこにあったのでしょうか……。
未だ謎の深い体毛といえる「モミアゲ」について今回は徹底的に解剖します!

美容室と理容室では異なる「モミアゲ」

理容室で顔そりをすると、「モミアゲは残しますか?」と聞かれます。そこでノーと答えれば、いわゆるモミアゲ部分をピッと剃ってもらえます。
ということは、理容のプロの手によって引かれるその部分こそが髪の毛とモミアゲを分け隔てる境界線といえるのではないでしょうか。

ところが答えはそう簡単でもないようです。 理容室よりも美容室派というオシャレな男性の中には、伸ばした髪の毛を耳の前に残すことでモミアゲを作り上げている人がいます。彼らが美容室に行くと、先述の理容室と同じように「モミアゲは残しますか?カットしますか?」と聞かれるのです。 つまり美容のプロは、頬から直接伸びていない毛であっても、モミアゲと認定していることになります。
理容室と美容室とで「モミアゲ」の使い方に若干の誤差があることは困りものですが、共通点も発見できました。それは「どこから生えているのか」は問題ではなさそうだ、ということです。頬から生えていようがなかろうが、耳の前にある伸びている毛のまとまりをモミアゲと呼んでいるようなのです。

モミアゲの定義

言葉というのは往々にして、辞書での定義と世間での使われ方が異なるものです。 辞書で「もみあげ」を引いてみましょう。
“もみあげとは、顔の横に生えた髪の毛の一部分のことであり、生え際から耳の下へと広がっている。揉み上げとも表記する。”
ー引用ー 「”もみあげ”」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より。
“2019年8月22日 01:46 (UTC)” https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%82%82%E3%81%BF%E3%81%82%E3%81%92&oldid=73942093
辞書での定義によれば「顔の横に生えた髪の毛の一部分」とあるため、現在のところ理容室で使われている「モミアゲ」のほうが正しいと捉えていいでしょう。

なぜ「揉み上げ」なのか

さて、モミアゲは「揉み上げ」とも表記します。それはなぜなのでしょうか。
一説によれば、江戸時代初期の頃に、武家社会の若者のあいだではモミアゲを「揉み上げ」るヘアスタイルが流行したようです。これが「鬼ひげ」と称されたことからも想像できるように、男として、武士として、一段と強く見せるためのアイディアだったのでしょう。
ちなみに現代のようなヘアワックスなどはないため、当時はロウソクのロウや松脂、鬢付け油を使用していたそうです。

海外のモミアゲ事情

日本だけではなく海外においても、時代とともにモミアゲが流行したり、あるいは今なお神聖視されたりしているようです。たとえば、かつてのメキシコ人やコロンビア人のあいだでは、頭髪を剃り長いモミアゲを生やすことが男らしさの象徴と考えられていた時代があったようです。
そのほか、モミアゲは信仰とも深い関係があります。たとえば一部のイスラム教徒のあいだでは、モミアゲまで含めたあごヒゲを生やすことがムスリムの義務であるとされていて、今なおその慣習が残っているようです。
また、ユダヤ教の超正統派と呼ばれる人たちは、モミアゲやヒゲを剃らずに伸ばし、かつ黒いスーツに黒い帽子を着用することがトレードマークとなっています。

まとめ

「モミアゲは何のためにあるのか?」という問いに対して、生理学的な答えは見出せませんでしたが、私たちがモミアゲをどう捉えていて、どのような社会的効果があるのかについての関心は深まったのではないでしょうか?
男らしさの象徴としてのモミアゲもあれば、神への忠誠心としてのモミアゲもあるのです。
さて、みなさんは今後「モミアゲ残しますか?」。