なぜ髪が白くなる?若くても油断禁物な白髪のメカニズムとは

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髪の毛に関する大きな悩みの1つとして挙げられるのが、白髪です。白髪は老化現象として発生することが多いですが、中には年齢に関係なく発生する方もいます。なぜ黒いはずの髪の毛が白くなってしまうのでしょうか。

今回は、白髪のメカニズムなどについてご紹介します。

メラニン色素の役割

頭皮のメラニン色素の役割 髪の毛の色は、メラニンという色素の量によって異なります。メラニンは遺伝子情報によって発する色が異なるため、人種によって一定の傾向が見られます。日本人のような黄色人種、そして黒人種の髪の毛は比較的黒色が多いことが特徴です。

このメラニン色素は、細胞を紫外線から守るという大きな役割もあります。細胞のひとつひとつにある細胞の核にはDNAが含まれており、このDNAの情報をもとに細胞分裂が行われて私たちの体は作られます。DNAは紫外線に弱く、傷つくと細胞に異常が発生し、ガンなどを引き起こす可能性があると考えられています。

このように、細胞の中に含まれるDNAを守る役割を果たすのがメラニン色素なのです。

メラニン色素は、もともとメラノサイト細胞と呼ばれる色素細胞の働きによって色を持ち、肌を守っています。メラノサイト細胞は髪の毛を構成する18種のアミノ酸の1つ、チロシンをチロシナーゼという酵素を使ってメラニン色素に変えていきます。

つまりこのメラノサイト細胞の働きが弱まることで、メラニン色素は正常に作られなくなり、メラニン色素のない髪の毛=白髪が作り出されてしまうのです。

白髪になるさまざまな原因

黒髪から白髪への変化 メラノサイト細胞の機能を失う原因は現在完全に究明されていませんが、以下の原因が考えられています。

老化現象

黒い髪の毛を作るメラノサイト細胞は、老化と共に減少します。そのため、メラニンの生成量も加齢によって少なくなり、白髪が生えやすくなるのです。

加齢による白髪は2パターンあります。1つ目は、髪の毛が生え変わる際に毛を作る毛母細胞からメラノサイト細胞がなくなること。2つ目は、髪の毛の成長期の途中で色素が減少することです。白髪をよく見ると、髪の毛の途中から白くなっているものがありますが、それは2つ目のメカニズムが原因になっています。

毛髪は毛周期によって生え変わります。若いうちはメラノサイト細胞が再生しますが、加齢が進むと再生しなくなるため、生え変わるごとに白髪の割合も増えていくのです。

栄養不足

もう1つの原因は栄養不足です。髪にとって必要な栄養素にたんぱく質やアミノ酸などが挙げられますが、それらに加えてビタミンやミネラルなどが、メラニン色素を生成するために必要な栄養素であるといわれています。

またメラニン色素が作られるために必要不可欠な酵素であるチロシナーゼは、銅がなければ正常に働きません。ミネラルの1つである銅が不足すると、白髪を引き起こす恐れがあります。

過度なストレス

過度なストレスもまた、白髪の原因となる可能性があるとされています。メラニン色素を作るメラノサイト細胞はストレスがかかると正常な働きをしなくなります。

また、ストレスがたまると自律神経が乱れることがあります。そうなると血行が悪くなり、色素を作る栄養が髪に送られなくなります。色素を作る栄養が足りないとメラニン色素を合成する酵素が働かなくなるため、白髪を引き起こすと考えられるのです。

おわりに

髪の色は、メラノサイト細胞によって作り出されるメラニン色素の含有量によって決まります。このメラニン色素が、老化によるメラノサイト細胞の減少だけでなく、栄養不足や過度なストレスなどの影響で作られなくなることで、髪は白くなります。若い方でも白髪が生える理由は、そのためなのです。