薄毛の進行度を知る、ハミルトン・ノーウッド分類とは

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薄毛・抜け毛とひと言で言っても、その進行具合は人それぞれ。そんな中で脱毛症の治療現場を中心に、進行度をはかる基準として使われている分類方法が「ハミルトン・ノーウッド分類」です。

今回は、AGA(男性型脱毛症)でお悩みの方に向けて、AGAとその進行度についての基本的な情報をお伝えします。

AGA(男性型脱毛症)とは

AGAとは「Androgenetic Alopecia」を略したもので、男性型脱毛症を指します。主に30~50代の成人男性にみられる症状で、一般的には髪の生え際または頭頂部から部分的に脱毛が進行するのが特徴です。

また、AGAは20代の男性や女性にも起こりえます。放っておくとさらに症状が進行してしまうため、日常的に毛髪の状態をチェックし、薄毛や抜け毛が気になるようになってきたら早めに対策することが大切です。

AGAの原因は男性ホルモンの変化

AGAを引き起こす要因の1つが、「5αリダクターゼ」という酵素です。5αリダクターゼが男性ホルモンの「テストステロン」と結びつくと、「ジヒドロテストステロン」という別の男性ホルモンへと変換されます。このジヒドロテストステロンが、髪の毛の成長に異常をきたす原因になるのです。

こうして髪の毛が十分に成長できずに細くて短い毛が増えることによって、徐々に薄毛へと発展します。

AGAの進行度を表す「ハミルトン・ノーウッド分類」

男性の頭部・額 「ハミルトン・ノーウッド分類(N-H分類)」とは前述のとおり、AGAの進行度を分類したものです。最初にアメリカの医師ハミルトンが提唱し、同じく医師のノーウッドが改訂して完成されました。

この分類では、AGAを進行度によって「Ⅰ型」から「Ⅶ型」までの7つと「Ⅲ Vertex型」「Ⅴa型」の2つが追加された計9つのステージに分けて考えます。また、AGAのパターンは、生え際から進行する「M型」と頭頂部から進行する「O型」の2つに大きく分けられます。

ハミルトンが「額の生え際の先端が、頭頂線の前方3㎝を越えて後退」した状態をAGAと定義付け、後にノーウッドが3㎝から2㎝に修正しました。

ハミルトン・ノーウッド分類における9つのステージ

では、ハミルトン・ノーウッド分類による9つのステージは具体的にどのような症状が見られるのでしょうか?以下は、それぞれの進行具合です。

【Ⅰ型】

I型
ごく初期の症状で、髪の毛の生え際が少しM字状に後退し始めている状態。通常は気付かない人の方が多い軽度なレベル。この時点で対策をとると、進行を止められる確率が高い。



【Ⅱ型】

Ⅱ型
Ⅰ型が進行して剃り込み部分がより後退している状態で、多くの人が気付くレベル。治療をすればやはり改善しやすい。



【Ⅱ Vertex型】

ⅡVertex型
Ⅰ型が進行して剃り込み部分がより後退している状態で、頭頂部がO型に薄くなっている状態。治療をすればやはり改善しやすい。



【Ⅲ型】

Ⅲ型
Ⅱ型がさらに進行し、前頭部がしっかりとM字状態に。髪全体のボリュームが少なくなっている。



【Ⅲ Vertex型】

Ⅲ Vertex型
Ⅲ型と同時に頭頂部がO型に薄くなっている状態。



【Ⅳ型】

Ⅳ型
Ⅲ型からさらに前頭部の後退が進行、同時に頭頂部がO型に薄くなってきた状態。



【Ⅴ型】

Ⅴ型
Ⅳ型がさらに進んだ状態。前頭部の後退がいちだんと増し、すでにM字ではないほど薄毛になっている。前頭部と頭頂部の脱毛部分がつながりそうな段階。



【Ⅵ型】

Ⅵ型
Ⅴ型からより薄毛が広がり、頭頂部の後退が後頭部にまで達している状態。



【Ⅶ型】

Ⅶ型
Ⅵ型が進行して側頭部の毛も減った、薄毛として一番進行した状態。


日本人向けにアレンジした「高島分類」とは

頭頂部 ハミルトン・ノーウッド分類は欧米で広く使われている分類方法ですが、実は日本ではこのハミルトン・ノーウッド分類をアレンジした「高島分類」が現在一般的に脱毛症治療の現場で使われています。なぜなら、欧米人は前頭部から薄毛になる人が多いのに対し、日本人は頭頂部から薄くなる人が多い、という違いがあるからです。

ハミルトン・ノーウッド分類はⅢ型で頭頂部の脱毛に触れていますが、高島分類ではⅡ型から頭頂部の脱毛を入れています。これが「Ⅱ Vertex型」で、Ⅱ型の状態に加えて頭頂部がO型に薄くなり、生え際と頭頂部で同時に薄毛が進む状態を表します。

おわりに

生え際や頭頂部が脱毛するAGA(男性型脱毛症)は、放っておくとどんどん進行してしまいます。今回ご紹介したハミルトン・ノーウッド分類または高島分類は、現状の薄毛の進行具合を判断する材料となるでしょう。薄毛が気になる方は、自身が今何型に分類されるのかをまずは確認してみましょう。