【監修あり】抜け毛が増えた?季節にあわせて頭皮環境を改善しよう!

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この記事では春夏秋冬の抜け毛の原因と対策について、各季節でまとめています。
「なんだか毎年この時期になると抜け毛が増える」
「普段は抜けないのに、最近急に抜け毛が気になる」
という方はまず、ご自身の抜け毛が気になる時期を意識してみてください。
季節性の抜け毛のお悩みは、季節ごとに適した対策を取り入れ、髪の毛にやさしいヘアケアを取り入れていくことで良くなるかもしれません。

抜け毛が増える時期がある?

人間には季節性の抜け毛というのはほとんどありません。 イヌやネコは「換毛期」と呼ばれる毛の生え変わる時期がありますが、人間は「季節により抜け毛が増える」という事実はありません。
世界的な毛髪研究の権威として知られる『カート・ステン』氏。 彼は書籍の一部でこのように述べています。
「人の頭髪は他の動物の毛包とは違って周期はあるものの天体の事象とは無関係」
(出典:やさしくわかる!毛髪医療最前線|朝日新聞出版)
彼は2017年 「毛の人類史なぜ人に理由が必要なのか」 という書籍を日本でも出版し、注目を浴びています。
毛髪研究の第一任者である彼がいうには「動物には年間の季節に応じて毛包の成長期に違いがある」と述べているのです。
動物には「換毛期」があるのはこのため。しかし、どうやら人間の場合は別のようです。
人には毛周期はあるものの季節的に抜けやすいという時期は生体的には考え難いとされています。
ただし、生活習慣や体質による影響で抜けやすい時期があるというのはまた別のお話。 人の生活環境やシーズン的な影響で、いつものペースより多くの毛が抜けるということは十分に考えられます。
では、人に対する影響を考えたとき、髪の毛が抜けやすい季節はいつでしょうか?

紫外線ダメージが蓄積する「秋」は抜け毛が一番増える季節

抜け毛が増えやすい時期という意味では、 髪の毛にダメージが蓄積しやすい「秋」に増える傾向があるともいわれます。(あくまで傾向がある程度の事象です)
その実態として興味深い研究データがこちら。
(出典:養毛・育毛剤の評価法「服部道廣」P596参照)
少し古い文献にはなりますが、こちらの研究データによると1年の中で300日目周辺。 つまり「秋頃」に抜け毛が増えているとの報告があります。
夏は日本列島全域で紫外線の量が増加します。
紫外線は髪の毛や毛根に対してダメージを与え、髪の毛を生育させる毛母細胞に影響を及ぼします。 紫外線は活性酸素を生み出し細胞の代謝を阻害します。
髪の毛の細胞も同様で、毛母細胞にダメージが与えられれば髪の毛の健やかな成長が阻害されるのです。 結果として髪の成長が滞り、休止期や退行期が早く訪れるので抜け毛が増える原因になるのでしょう。

「冬」は乾燥が原因で抜け毛が増える

髪が抜けやすいのは秋ばかりではありません。
冬は乾燥が激しくなります。 頭皮も同様で、乾燥が激しくなれば髪のキューティクルがはがれ髪の毛のダメージが深刻になります。
抜け毛よりも切れ毛が増えやすくなる季節。 ブラッシングをしていると髪の毛がよく絡まるというのは、冬の乾燥しやすい時期の特徴です。
また、寒くなれば体温を逃すまいとして毛細血管が自然と収縮します。 頭皮の毛細血管も例外ではありません。
寒い冬は帽子などをかぶっていなければ、頭の毛細血管も収縮し血行不良になります。 そうなると髪の毛に十分な栄養素が行き渡らなくなるので、髪の成長期に影響を及ぼし抜け毛や切れ毛が増える要因に。
冬は冬で抜け毛が増えやすくなる季節なのです。

「春」は環境の変化による抜け毛が増えやすい

春は新生活がスタートする季節。 多くの人が新たな環境に身を置いて社会生活を始めます。
自分自身が新しい環境に身を置かないにしても、その環境に新しい人が入ってくることにより新しいストレスが生じることも少なくありません。 少なくともその環境に慣れるまでは、無意識のうちに緊張状態が生じることも。気がつかないうちにストレスを受け、髪の健やかな成長が阻害されている場合もあります。
また春は花粉が多い季節。 もともと花粉症がある人は、花粉による外的刺激が原因で自己免疫のバランスが乱れ、抜け毛が助長されている可能性も否定できません。

頭皮の汚れで抜け毛が増える「夏」

夏は汗の分泌が盛んになり、頭皮の環境が汚れがちに。 また、紫外線を長時間浴び続ける季節です。
紫外線の直接的なダメージにより髪の毛を傷めてしまい、切れ毛やキューティクルのはがれが深刻化します。
頭皮の環境が悪化すると髪の毛の成長が促されず、薄毛や抜け毛の原因に。 さらに夏は、汗だけではなく髪に対してダメージがかかりやすい海水浴や水辺で遊ぶ機会も増えます。
結果として「紫外線・汚れ・環境」によりダメージが蓄積する機会が多く、夏場の抜け毛を増加させます。

季節ごとの「抜け毛」の特徴を知り、自分の傾向と対策を知る

ここまででお分りいただけたかと思いますが、「結果的にどの季節も何かしらの抜け毛につながる要因がある」ということです。
ただし、どの季節の影響を受けやすいかは人によって千差万別。 秋は「紫外線ダメージの蓄積」という環境要因が大きいので全体的に増えやすい傾向にあります。
それでも、何かの季節で自分が影響を受けやすい要因はあるはずです。
①「どの季節に抜け毛が増えるのか」
②「生活習慣を見てみて、どの影響を受けやすいのか」
③「体質を鑑みて、影響を受けやすい季節はいつなのか」
を自分でしっかりと見定め、その季節にあった対策をとることで、抜け毛を減らすことにつなげることができるでしょう。

「春」の抜け毛対策は「対ストレス」

春の抜け毛の要因として最も多いのは「ストレス」といわれています。
重要なのは対ストレス対策。 自分のストレスになる要因を見定めて、ストレスをためないような生活習慣を心がけましょう。
花粉症がある人は花粉に対する対策も大切です。

対ストレス対策

ストレスは頭皮に栄養補給をする毛細血管を収縮させ、栄養の運搬を少なくし髪の毛の成長を阻害します。
また時に、睡眠時間が短くなったり熟睡できなかったりといった睡眠に影響を及ぼすことも。
そうなると、髪の成長を促すホルモンの分泌に影響が。 結果として抜け毛が増えてしまう事態につながってしまいます。
春は新生活のスタートや、新生活を受け入れたことによる環境の変化など、ストレスの要因がわかっていることが多い季節です。
原因が明確であれば、ストレス源となっているものをできるだけ早く解決するか、解決が難しいようであれば適度に距離を置いたり、リフレッシュする意識を持つことでストレスをためない生活を心がけ、うまく付き合っていくことが大切です。

花粉症の人は「花粉を持ち込まない」

春は花粉の季節です。もともと花粉症があるならば、頭皮なども花粉の影響により少なからずダメージを受けているかもしれません。
そこで意識したいのは、花粉症の人は「できるだけ花粉を持ち込まない・家に帰ったら早く落とす」というのを意識すること。
お家に帰ったら花粉を落とすために速やかにシャワーを浴びましょう。 髪の毛や頭皮に付着しないように帽子をかぶるのも対策のひとつとしておすすめです。

「夏」の抜け毛対策は「紫外線予防」

髪の毛の健やかな成長を考えたときに紫外線予防はとても大切。 一番太陽の日差しを浴びて紫外線を受ける場所は頭頂部です。
また汗や皮脂で頭皮が汚れやすいのもこの季節。 夏の抜け毛対策は紫外線予防や頭皮環境を整えることが重要になってきます。

帽子やスプレータイプの日焼け止めで紫外線予防を

夏は1年の中で最も紫外線量が多い季節。 日本中どこにいてもこの傾向は変わりません。
夏は髪の毛も紫外線予防が大切です。 紫外線を長時間浴びるということは、頭皮へのダメージが過大にかかっていることが想定されます。
外出の際は、頭に直接日光が当たらないように帽子をかぶるのがベスト。 仕事などで帽子をかぶれないのであれば、スプレータイプのUVカット商品などで頭からしっかりとUV対策をしましょう。

頭皮を清潔に保つ

夏は他のシーズンに比べて汗や皮脂による汚れが生じやすい季節。 日本は高温多湿の環境なので、汗をかくとそのまま雑菌が繁殖しやすい環境でもあります。
また、暑いシーズンだからという理由で湯船にゆっくりと入らずシャワーをさっと浴びて終わってしまう人も多いのではないでしょうか。
このような理由から、夏場はいつもよりも頭皮が汚れやすい環境なのに、いつもよりも汚れがしっかりと落とされないという特徴があります。
頭皮の環境を健やかに保つためにもしっかりとシャンプーして、お風呂上がりも適切なヘアケアが大切。
雑菌が繫殖しやすい環境をつくる自然乾燥なんてもってのほか。しっかりとドライヤーでブローするようにしましょう。

「秋」の抜け毛対策は「ダメージケア」

秋は夏に蓄積した紫外線ダメージの影響が出やすい季節。 蓄積したダメージをできるだけ早くリカバリーして、抜け毛につながらないような生活習慣・ダメージケアをすることが大切です。

髪の毛のことを考えた生活習慣を意識する

夏の蓄積されたダメージを少しでも早くリカバリーするためには規則正しい生活リズムを意識して、髪の毛が健やかに生育できるよう体の状態を整えます。
また、髪に良いとされる栄養素「タンパク質・ビタミンC・ビタミンB群・亜鉛」を積極的に摂取しましょう。

普段のヘアケアを少しレベルアップ

秋は髪の毛のことを考え、いつもよりもスペシャルなヘアケアで抜け毛予防をしたいところ。
髪に負担をかけない洗浄成分が強すぎないシャンプーを使い、頭皮をやさしくマッサージするように洗います。 シャンプー後はいつもよりも上質なトリートメントを使ってスペシャルケアを。
汚れが落ちて水分をたっぷりと含んだ状態の髪の毛は、栄養補給にベストなタイミングです。
お風呂から出た後のヘアケアも忘れずに。
とくにドライヤーの熱は、髪へのダメージが心配です。 ブローする前には髪の毛を守るためのヘアオイル(アウトバストリートメント)などを使って、髪へのダメージを少しでも減らしましょう。

環境要因で抜けやすい「冬」の抜け毛対策は「保湿」

冬はとくに乾燥が大敵。頭皮の乾燥は髪の健やかな生育に影響を及ぼします。
もともと肌が乾燥しやすい人は、頭皮も乾燥しやすいはず。 「冬はとくにフケが増える」という人は要注意。
それは、あなたの頭皮が乾燥しているサインのひとつです。

ヘアオイルやローションで「頭皮の保湿」を心がける

顔や体と一緒で頭皮も肌の一部。もともと乾燥肌であれば頭皮も一層乾燥しやすいのが冬。 そのため、手・足・顔だけではなく頭皮もローションやオイルなどで保湿ケアをしましょう。
べたつきや匂いが気になる人は、スプレータイプの保湿剤で頭皮に直接スプレーするのもおすすめです。

シャンプーしながら「頭皮マッサージ」を

冬は寒さの影響から頭皮に対する血流も滞りやすくなります。また、乾燥や寒さにより頭皮が硬くなりやすい季節でもあるのです。
じっくりと湯船に浸かって体が温まっているときや、シャンプーをしながら頭皮マッサージをするのもおすすめ。
髪の毛をゴシゴシとこすると髪の負担になるのでNGですが、指の腹でやさしく頭皮をマッサージするだけでも頭皮の血行改善につながります。

まとめ

季節によりさまざまな抜け毛の要因があります。
結果として「自分がどの影響を受けやすいか」で抜け毛が起きやすい季節が変わります。
自分の抜け毛が生じやすい季節を見定め、その季節にあった対策を取り入れることで少しでも抜け毛を減らせることにつなげられるはず。
自分の体質や生活習慣を見極めたうえで自分にあったヘアケア対策を適切に取り入れていきたいですね。
悩んでいるだけではあなたの抜け毛は減りません。
できることからはじめ、「抜け毛が増えた」と悩まされないツヤツヤ・ふさふさの髪の毛を手に入れましょう。


監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。 同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。