ストレスが毛髪にもたらす影響を徹底解剖!ストレスの正体を知って適切に対処しよう

〈 約 10分32秒 で読めます 〉

かねてから「ストレスを溜めるのは健康に良くない」と言われてきました。
そのため、心身ともに健康的な生活を心がけてなるべくストレスが溜まらないように努めるわけですが、実際の効果は今ひとつよく分からない方も多いでしょう。
いつストレスを感じるのかには個人差がありますし、どこにストレスが溜まっているのかは目に見えないので分からないわけですから、当然のこととも思えます。
ストレスというのはなかなかに捉えどころがないものなのです。
仮に「髪が抜け落ちる」といった症状がはっきりと表れて、医師からも「ストレスが原因」と診断されれば、医師の指示に従って適切な対処をすることは可能でしょう。
しかし、自己判断では「恐らくストレスが原因だろう」と想像の域を出ず、あまり効果の期待できない対処法に労力を費やしてしまっているかもしれません。
そこで今回は、まず「ストレスの正体」を知り、適切な対処ができるようにしていきましょう。
ストレスが毛髪にもたらす影響については特に詳しくご紹介していきます。

ストレスの原因と反応

ストレスとは「外的刺激(ストレッサー)によって体の内部に生じる反応のこと」です。
「ストレス反応」ということもあります。
またストレスの原因となるストレッサーには3種類、ストレッサーによって引き起こされるストレス反応にも3種類、それぞれあるので確認していきましょう。
まずはストレッサーとなる3種類から。

ストレッサー① 物理的ストレッサー

暑さや寒さ、気圧の変化による天候面から、騒音や混雑などの身体的不快感までが物理的ストレッサーに含まれます。
花粉症の方にとっては花粉の飛散量も物理的ストレッサーになるでしょう。
また現在では花粉症や風邪でなくてもマスクの着用が欠かせません。
寒い日ではメガネが曇りやすくなったり、かといって暑い日では汗でマスクが顔にまとわりついたりするので大変ですよね。
マスク着用で起こる、このような不快感も物理的ストレッサーによるものと考えていいでしょう。

ストレッサー② 化学的ストレッサー

次に、化学的ストレッサーが要因となってストレスを引き起こすこともあります。
例えば公害物質や薬物によって、あるいは酸素欠乏・過剰、一酸化炭素などの科学的刺激がストレッサーになり得るのです。

ストレッサー③ 心理・社会的ストレッサー

仕事の問題や家庭の問題、人間関係による様々な不安や悩みが、この心理・社会的ストレッサーにあたります。
ストレス要因を思い浮かべるとき、恐らく多くの方が最初に思うのがこの心理・社会的ストレッサーではないでしょうか。
特に現在のコロナ禍においては、失業する方が増えたり、対人との距離間を意識しなければならなかったりで、心理・社会的ストレッサーは新たな局面を迎えています。
また付け加えると、一見ストレスとは無関係にみえる嬉しい出来事であっても、ストレッサーとして作用することがあります。
例えば結婚や出産、進学や就職のようなおめでたいことも、「外的刺激」であることに変わりはありません。
嬉しくも大きな環境の変化が、実は心理・社会的ストレッサーになっていることもあるのです。
続いて、ストレッサーによって引き起こされる3種類のストレス反応を確認していきましょう。

ストレス反応① 心理面

不安、イライラ、抑うつ、活気の低下などが心理面のストレス反応にあたります。
つまりこれらの症状を自覚できたならそれはストレスサインである可能性があるので、早めに対処するのがいいでしょう。

ストレス反応② 身体面

身体面のストレス反応は多岐に渡ります。
代表的な症状として、胃痛、食欲低下、不眠、頭痛などがありますが、その他にも肩こりや腰痛を伴ったり、体の節節に痛みを感じたりすることがあります。
また動悸や息切れ、便秘や下痢、目の疲れなどがストレス反応として表れることもあるでしょう。
さらに人によっては、疲れると歯痛がしたり、耳鳴りを感じたりする人もいるようです。
このように個人に特有のストレスサインもあるため、症状だけをみてストレス起因のものか自己判断するのは正直困難といえます。
でも自分の体調をチェックする習慣をつければストレスサインに気づける割合は増えると思うので、日々のセルフチェックを怠らないようにしていきましょう。

ストレス反応③ 行動面

そして最後。
行動面のストレス反応でいうと、以前より仕事上でのミスや事故が増えたり、以前より飲酒量や喫煙量が増加していたりすると、ストレスサインの可能性が考えられます。
以上、3種類のストレス反応をご紹介しました。
ストレスには様々な反応があることがお分かりいただけたかと思います。
ただ換言すれば、これらの反応を確認できた場合にはストレスが原因であることが考えられるということです。
是非セルフチェックする際の参考にしてみてください。

日本を取り巻くストレスの現状

もっと視野を広げて、日本人全体としてはどの程度ストレスを感じているものなのかを確認してみましょう。
厚生労働省が実施している「労働者健康状況調査」によると、「仕事や職業生活でストレスを感じている」労働者の割合は増加傾向にあります。
1982年には50.6%と半数だったのに対して、30年後の2012年には60.9%に増えています。
労働者限定の調査ではありますが、現代では働く人の約6割は仕事面だけでもストレスを自覚しているのです。
引き続き2012年のデータの内訳を見ると、年代別では30~40代の方々が最も仕事上でのストレスを感じていることが見て取れます。
また同じデータからストレスの内容に関する調査結果を見ると、男女ともに「人間関係」という回答が最も多く、4割を超える結果となっています。
少し古いデータをご紹介しましたが、現在においても説得力のあるデータかと思います。
実際30~40代の方々を筆頭に、仕事面でストレスを感じている方は多いのではないでしょうか。
またその具体的な理由が「人間関係」だと自覚している方も少なくないと思います。

ストレスが毛髪にもたらす影響

だんだんとストレスの正体が分かってきましたね。
いよいよここからが本題です。果たしてストレスは毛髪にも影響があるのでしょうか?
先ほどご紹介した「ストレス反応②」として「身体面」に起こる反応を一度そこまでスクロールして再確認いただけると幸いなのですが、 その項に列挙した様々なストレス反応の中に「毛髪」や「頭髪」に関する事例はありませんでした。
それはなぜかというと、未だストレスが髪に影響を及ぼすという明確なエビデンスがないからです。
そうなんです。
ストレスのせいで「髪が抜け落ちた」、ストレスのせいで「白髪が増えた」。
これらは真実かもしれませんが、そのダイレクトな影響は、実は科学的にはまだ立証されていないのです。
だから「ストレスが髪に良くない」と端的に言い放つことは当コラムにはできません。
しかし、根拠は「ほぼ」揃っています。あとは立証待ちです。
お手数をおかけしますが、今一度「ストレス反応② 身体面」の項を再確認してください。
そこには身体面に起こるストレス反応として、例えば「胃痛」や「食欲低下」、「便秘や下痢」がありました。あるいは「頭痛」がありました。
ではなぜこのような症状が「ストレス反応」として認められているのかというと、そのためにはもっと前段階のメカニズムを確認しておかなければなりません。
立証されていることとしては、ストレッサーが体の内部に生じさせる反応として、血行の悪化や、自律神経のバランスが乱れることなどが確認されています。
でも「血行の悪化」や「自律神経のバランスの乱れ」それ自体は私たちにはなかなか自覚できないので、現段階で私たちは「胃痛」などの分かりやすいストレスサインによってストレス反応を察知するしかないのです。
とはいえ「毛髪」や「頭髪」を軸に考えれば、「血行の悪化」や「自律神経のバランスの乱れ」はかなり悪影響がありそうですよね。
例えば血行が悪化すれば、頭皮や髪に充分な血液や栄養が行き渡らなくなるので、抜け毛や薄毛、白髪を促進させてもおかしくはないでしょう。
あるいは自律神経のバランスが乱れても、頭皮の血管や細胞が弱るなどの悪影響が報告されています。
つまり、ストレスが毛髪にもたらすダイレクトな影響は未だエビデンスがないかもしれませんが、外堀はほぼ埋まっているといっていい。
ストレスを溜めることは髪に悪影響を与えるといって、ほぼ間違いないのです。

おわりに

今本屋には「ストレスマネジメント」に関する書籍がたくさん並んでいます。
その状況はきっと、私たちが日々「ストレス」を感じ、「ストレス」による良くない影響に苦しんでいるからではないでしょうか。
食習慣の見直しに適度な運動、充分な睡眠にストレスフリーなマインドの確保など、なるべくストレスを溜めないと考えられている突破口はたくさんあります。
髪の健康においてもストレスが悪影響を与えることはほぼ確実ですので、ご自身に合った突破口を見出せるよう願っています。