昔の人もヘアスタイルを楽しんでいた!?武士と貴族のヘアスタイルはこうして生まれた

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お金さえ払えば、現代人の髪に関する悩みはほとんど解決してしまいます。 髪の毛をバッサリ切りたい、クセ毛を矯正したい、と思ったら美容室に行くことができますし、髪のダメ―ジが気になったら、さまざまなヘアケア商品を試すことができます。
では、昔の人はどのようなヘアスタイルをしていたのでしょう。自分の願う髪型をできていたのでしょうか。仮にできたとしても、維持することができたのでしょうか。
今回はこのような疑問を解決するために、昔の髪型のなかでもとりわけ特徴的な二つの髪型をご紹介します。日本史の教科書で一度は見たことがあるのではないでしょうか。時代はそれぞれ戦国時代・江戸時代、平安時代の話です。早速、ご紹介していきましょう。

戦国時代・江戸時代のヘアスタイル

まず、戦国時代・江戸時代の男性がしていた代表的なヘアスタイルといえば「ちょんまげ」でしょう。時代劇や大河ドラマでもたびたび登場するヘアスタイルです。特に戦国武将は今なお人気があるので、ちょんまげといえばすぐさま武士を連想する人が多いかもしれません。 では実際にはどうだったのかというと、やはり武士たちがちょんまげブームの火付け役だったようです。とはいえその背景には戦国時代ならではの、やむにやまれぬ理由がありました。頭にかぶる兜が、重く、しかも蒸れるわけです。これでは戦いに支障をきたします。そこでこの「まげ」が活躍したのです。実はこの「まげ」によって通気性やクッション性が高まり、兜のかぶり心地が飛躍的に向上したと言われているのです。そう、当時はこれが機能性を重視した髪型だったのです。
高い身分階級の人たちのあいだで流行したことが、やがて町民のような一般階級の人たちに浸透していくのはどの時代も一緒で、その後ちょんまげヘアは時代のスタンダードになっていきます。 江戸の町にはちょんまげを結える「髪結い屋」という店がたくさんあったというのですから、当時の男性たちが髪型にかなり敏感だったということがわかります。

平安時代のヘアスタイル

次は、時代をさらにさかのぼって平安時代です。平安時代といえば雅びやかな貴族のイメージですよね。まりを蹴ったり和歌を詠んだりして気を紛らわしつつも、頭の中はいつも意中の相手のことばかり。そんな恋のイメージが強い時代です。というのはきっと、紫式部の書いた「源氏物語」の影響が色濃く残っているからでしょう。 物語を絵巻にまとめた「源氏物語絵巻」を見てもわかるように、平安時代の女性たちはとにかく髪が長いのが特徴です。今風にいえば、黒髪のスーパーロングヘアです。しかも艶めかしく美しい髪をしています。
一度でもロングヘアにしたことがある人はわかるかと思いますが、ロングヘアを美しく維持するのは簡単ではありません。ましてや平安時代には美容室もなければ気の利いたヘアケア商品なんてあるはずもありません。 では、どのように維持していたのかというと、植物から採取した液体や米のとぎ汁を使っていたと考えられています。当時すでに櫛はあったので、これらの液体を髪になじませてから櫛を入れることで、ツヤのあるスーパーロングヘアを維持できたのだと考えられます。 とはいっても維持するための忍耐力には驚かされます。平安時代の女性は黒髪のスーパーロングヘアがモテ要件だったようですから、まさしく恋の力が原動力となったのでしょう。

まとめ

今回は、戦国時代・江戸時代の男性たちにとって定番だった「ちょんまげ」と、平安時代の女性貴族たちにとって欠かすことのできなかった「黒髪のスーパーロングヘア」についてご紹介しました。 オシャレな美容室もなければ気の利いたヘアケア商品もない時代に、さまざまな理由こそあれ、したい髪型をして、しかも維持していたというのは驚きです。ヘアスタイルに対する強いこだわりは、もしかしたら現代の私たちよりも昔の人たちのほうが強かったかもしれませんね。