抜け毛の本数が気になる…。髪が生え変わる「毛周期」とは?

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髪の毛には毛周期というものがあります。ヘアサイクルとも呼ばれ、生える時期や抜け落ちる時期など髪の毛には成長の周期が決まっているため、生活していれば自然と髪の毛は生え、そして抜けていくのです。
抜け毛の本数が最近気になるという方も、実はただ抜け落ちる毛周期に入っているだけかもしれません。そこで今回は、髪が生え変わる毛周期についてご紹介します。1日に抜け落ちる本数や、毛周期が乱れるとどうなるのかなどについて詳しく見ていきましょう。

髪が生える仕組み

髪の毛は毛周期で生まれ変わる

自然な毛周期(ヘアサイクル)では、髪の毛が生えて抜け落ちるまで男性は3~5年、女性は4~6年かかるといわれています。この毛周期の中には、成長期・退行期・休止期という3つの期間があり、それぞれ特徴が異なります。
成長期はその名の通り髪の毛が成長する時期、退行期は髪の成長が止まる時期、休止期は毛根が小さくなり髪の毛が抜け落ちる時期です。毛髪のおよそ90%が成長期、1%が退行期、10%が休止期にあるとされ、休止期の10%はいつ抜け落ちてもおかしくはありません。

髪の毛が1日に抜ける本数は?

平均的な髪の毛の数はおよそ10万本といわれています。その10%である1万本が休止期にあるとすると、その内50本~100本ほどは毎日抜け落ちることが自然です。抜け毛が多いと感じている方も、実は休止期入った髪の毛が抜けているだけかもしれませんので、本数が100本程度であれば気にする必要はないでしょう。

髪は1日にどれくらい伸びるのか

成長期の髪の毛は伸び続けますが、いったいどのくらいのペースで伸びるのでしょうか。
髪の毛は、平均して1日に0.3mm~0.4mm伸びるといわれています。3日で1mmだとすると、1カ月でおよそ1cm伸びる計算です。
ただし、人によって成長のスピードにはバラつきがあるため、必ずしも上記の長さが伸びるわけではありません。髪の毛は基本的に、成長ホルモンが分泌される睡眠中に成長します。
つまり、不規則な生活リズムで睡眠時間が安定していない場合や、睡眠不足、栄養不足などの場合は成長が遅くなる可能性も十分にあるのです。
また、頭皮には他の肌と同じくターンオーバー(新陳代謝による肌の入れ替わり)があります。頭皮のターンオーバーが乱れていれば、栄養が髪の毛に行き届かずうまく成長できないこともあるでしょう。 このように1カ月に1cmほど伸びることが一般的ですが、1年では10cm~15cmほど伸びるとされています。生活習慣や栄養状態によって細かい成長スピードは違うため、あくまで参考程度に捉えておいてください。

抜け毛や白髪はなぜ起こるのか

抜け毛が起こる仕組み

正常な抜け毛

ヘアサイクルの休止期に入ると、髪の毛は自然と抜け落ちます。このような抜け毛は正常な抜け毛で、きちんと役割を持って抜けていることが特徴です。
抜け毛には、気温変化などの外的ダメージを受けて抜けるものがあり、それらは頭皮に代わってダメージを受けた結果抜け落ちています。また、老廃物を排出する目的で抜ける毛もあり、鉛や水銀などの体内に不要な成分を外に出す役割を持っています。このように、正常な毛周期によって抜け落ちる毛には体を守る機能があるため、抜け毛があるからこそ頭皮や体の健康が保たれているといえるのです。
しかし、中には正常な毛周期によるものではない抜け毛もあります。

異常な抜け毛の場合

ホルモンバランスの乱れなどが原因で毛周期がうまく循環しない場合、成長期をまっとうできないまま抜け落ちる毛が出てきます。このような休止期に関係ない抜け毛が増えると、抜け毛が100本を超え、200本程度になることもあります。
毛周期の乱れの他にも、血行の悪化が抜け毛を引き起こしていることもあります。血行不良になると、成長に必要な栄養を髪が吸収できず成長途中で抜けてしまうのです。

白髪が生える仕組み

白髪とは、黒の色素であるメラニン色素が減少した状態の髪の毛のことです。髪の毛にはもともとメラニン色素が含まれていますが、基本的には加齢とともにメラニン色素が減少してくるので白髪が増えます。年齢を重ねるとメラニン色素をつくるメラノサイト細胞の働きが弱まるためです。

毛周期が乱れると薄毛の原因に

毛周期は年齢によって多少変動する可能性もありますが、あまりに乱れると髪の毛がうまく成長できないこともあります。成長期・退行期・休止期の髪の毛がそれぞれバランスよく存在していることで毛量は正常な状態が保たれますが、毛周期が乱れて成長期の髪の毛が減ると全体的に毛量が減ってしまいます。つまり、薄毛になるのです。
毛周期が乱れる原因としては、悪性の男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)や血行不良などが考えられます。ジヒドロテストステロンは過剰に分泌されてしまうと皮脂が多くなり、毛穴の詰まりなどの原因にもなるため、毛周期の乱れとともにダブルで薄毛の要因となってしまいます。またジヒドロテストステロンはAGAの主要な原因としても知られている成分です。このように、男性ホルモンはさまざまな方面からの薄毛につながっているためバランスを乱さないように意識することをおすすめします。
毛周期は日々の生活習慣によって大きな影響を受けます。不規則な生活リズムであったり、バランスが悪い食生活を送っていたり、寝不足が続いているような状況だと毛周期も乱れやすくなるのです。特別何かの脱毛症にならないとしても、毛周期が乱れるだけで十分薄毛につながる可能性はあるため、生活習慣にも気をつけましょう。

薄くなった場所に植毛は可能?

もし一部が薄毛になってしまった場合、植毛をすれば薄毛を隠すこともできます。最も一般的な植毛法は、人工毛や自分の体毛を植毛する方法です。自然な雰囲気に仕上がり、ボリューム感も十分出せるという点でメリットは大きいでしょう。痛みが気になる方もいるかもしれませんが、実際に施術する場合は麻酔を打つので痛みなどの心配はいりません。 薄毛になった部分をどうしても隠したいという場合は、植毛を検討しても良いかもしれません。ただし、植毛は高額になりがちな点がデメリットです。経済的に余裕があるときや、先々のことを考えて植毛にお金をかけられる場合は良いでしょうが、なかなか踏み切れないという方も多くいます。
また、植毛はあくまでも「手術」であり、頭皮に傷をつけることになります。傷口から感染症が発症したり、体自体が拒絶反応を示したりする可能性もゼロではありません。あまり心配はいらないものの、このようなトラブルの可能性をどう捉えるかで植毛に対する見方も変わるでしょう。
植毛を考えている方は一度専門の医師を受診し、具体的な費用や流れ、注意点などを聞いてから慎重に検討してみてください。植毛以外にも、増毛や育毛など薄毛に対する治療法や対策はあるため、さまざまな選択肢も含めて相談するとベストな選択ができるかもしれません。

おわりに

髪の毛には毛周期があるため、抜け毛は毎日起こるものです。1日50本~100本抜け落ちることは自然なことなので、抜け毛がそこまで多くない場合は気にする必要はありません。 ただし、生活習慣の乱れやホルモンバランスの悪化などが原因で毛周期がくるってしまうと、抜け毛の本数も一気に増える可能性があります。抜け毛の本数や薄毛の状態がどうしても気になるという場合は、一度専門クリニックを受診してみるのも手です。