ノコギリヤシの育毛効果について|サプリ摂取による副作用の危険は?

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前立腺肥大の治療薬として海外ではその名を知られる「ノコギリヤシ」。 男性ホルモンの働きに大きな影響を持つことから、AGA改善効果についても期待されています。そのため、ノコギリヤシのエキスを含むサプリメントの服用を考えている方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ノコギリヤシの育毛効果とサプリ摂取による副作用リスクについてご紹介します。

ノコギリヤシとは

ノコギリヤシとは ノコギリヤシとは、1m前後のヤシ科の植物で、米国東部が原産地です。葉のかたちが扇状で、ノコギリのように細かくとがっている形状を持つことからその名がつけられました。 冬になると実る2~3㎝ほどの果実には、古くから健康効果があると言い伝えられ、健康や治療目的で利用されています。欧州では前立腺肥大による排尿障害を改善する目的で、ノコギリヤシのエキスを用いた医薬品が開発された経緯があります。

ノコギリヤシの効果

5αリダクターゼの抑制

男性ホルモンの1つであるテストステロンは、前立腺細胞に取り込むと、5αリダクターゼと結びつきます。テストステロンと5αリダクターゼが結びつくことでジヒドロテストステロン(DHT)へと変換。この5αリダクターゼが多いほどDHTの増殖を招き、前立腺肥大症が発症しやすくなります。また、DHTはAGAに影響するといわれています。
ノコギリヤシには、DHT を作りだす、5αリダクターゼを抑える作用があると考えられています。そのため、前立腺肥大症やAGAの予防に期待できるのです。
現に、イタリアの研究グループが行った実験では、ノコギリヤシエキスを服用した患者はそうでない患者と比べDHTの減少が確認されているそうです。

亜鉛について

亜鉛はミネラルの1種で、体の健康をキープする上で重要な栄養素です。その亜鉛は、髪の毛の生成に欠かせないアミノ酸を再合成する作用があります。
髪の毛の成分は、90%以上がケラチンとよばれるタンパク質で成り立ちます。ケラチンは、体内で一度分解されたタンパク質が再び合成されることによって生成されるタンパク質です。 タンパク質が再び合成されるプロセスにおいて、亜鉛が重要な働きをします。つまり、亜鉛がなければ髪の毛の成長もままなりません。その亜鉛には、ノコギリヤシと同じく5αリダクターゼの生成を抑える力も持っているといわれています。 亜鉛とノコギリヤシが同時に配合された育毛サプリの服用によって、その効果が高まるかもしれません。

ノコギリヤシと亜鉛の併用について

ノコギリヤシと亜鉛は、ともに5αリダクターゼの生成を抑える効果に期待できることから、この2つを組み合わせた育毛系サプリが販売されています。亜鉛は、先述のとおり髪の生成に欠かせないミネラルの一種です。タンパク質の再合成を助けることから、亜鉛配合のサプリメントは頭皮の健全化に良い影響をもたらすかもしれません。
しかし、ノコギリヤシと亜鉛の併用がもたらす効果について、医学的な根拠があると断言できるわけではありません。今の段階ではエビデンスが足りない部分もあるため、ノコギリヤシ・亜鉛ダブルのサプリメントを使用する際はその点を理解しておきましょう。

摂取する際の注意点

国内販売のノコギリヤシサプリメントは、配合エキス量340mg前後のものがほとんどです。健康食品であるため、摂取の制限や配合基準などはなく、基本的に決められた用法・用量を守って利用することになります。 一方で、亜鉛には1日の摂取量に制限が定められています。成人男性であれば、制限量は1日40~45mgです。用法・用量を守って飲むことで、制限量を超えることはないでしょう。
どんな健康食品でもいえることですが、過剰摂取は体に影響を与える恐れがあります。摂取の制限や配合基準などがなくても、決められた用法・用量を守るように心掛けてください。

副作用について

副作用について
サプリメントのノコギリヤシに関しては、基本的に副作用の恐れはないでしょう。ただし、欧州で販売されている医薬品としてのノコギリヤシには、アレルギー症状や消化器系統のトラブル、めまい、頭痛、高血圧などの副作用があるといわれています。
また、ノコギリヤシはホルモンバランスに影響を与える可能性があるため、妊娠中や授乳中の方はサプリメントであっても摂取を控えた方が良いでしょう。

おわりに

ノコギリヤシは、5αリダクターゼの生成を抑える働きがあり、育毛効果への期待も大きいとされています。サプリメントであれば、副作用の心配もほとんどいらないでしょう。亜鉛との組み合わせで相乗効果に期待できますが、決定的なエビデンスは存在しません。前立腺治療と比べ、育毛効果については研究が不十分な面は否めず、今後の研究成果が待たれます。