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毛・抜け毛研究所

2024.06.28

  • 豆知識

    【監修あり】家にあるもので髪の毛は脱色できる?効果とリスクを解説

    髪の色を脱色できると言われている家にあるさまざまなもの。
    「本当に効果があるの?」と一度は思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
    この記事では家にあるもので髪の毛を脱色することは可能なのかという俗説について、化学的根拠を参照にしながら解説します。
    リスクも解説するので家で手軽に髪の色を変えたい方は参考にしてみてください。

    髪のpHとヘアカラー剤の性質

    手軽に髪の色を変えられるという逸話を持つ物は昔から存在しています。
    上の図のように髪の毛は一般的に弱酸性で、pHで言うと4.5〜5.5程度に相当します。
    髪のpHより大きくずれ込む性質があるものが「髪の色を変える」と言われるようになった所以でしょう。
    それでは家にあるものや手軽に入手できるもので「髪の毛を脱色できる」とよく言われるようになったものについて紹介します。

    飲料・液体系

    家にある飲料系のもので髪の色を脱色する効果とリスクについて解説していきます。
    効果があるものもありますが、髪の毛の健康を考えるとあまりおすすめしません。

    レモン汁

    レモン汁に含まれているクエン酸は、日光に反応して髪の色を明るくする効果が期待できます。
    【なぜ髪の色が明るくなると言われたのか?】
    日光にあたるとクエン酸が髪の内部にあるメラニン色素を破壊すると考えられるからです。
    また、レモン汁はヘアマニキュアよりもやや酸性の性質を持ちます。
    このことから髪の色を変える性質があると考えられるようになったのではないでしょうか。
    具体的な手順
    1.純粋なレモン汁を髪全体に塗布
    2.1〜2時間、日光にあたる
    3.しっかり洗い流す
    一度で劇的に変化はしませんが使用した部分をわずかに明るくできます。
    しかし、レモン汁によって髪がパサついて乾燥し、ダメージにつながる可能性があります。
    強酸性のレモン汁は髪や頭皮に刺激を与えることがあるので肌が弱い方は注意が必要です。

    お酢・リンゴ酢

    お酢やリンゴ酢は髪の色を明るくする効果はありませんが、髪のキューティクルを引き締める効果があります。
    【なぜ髪の色が明るくなると言われたのか?】
    髪のキューティクルが引き締まることで、髪の輝きが増し明るくなった印象を与えるのではないかと考えられます。
    お酢やリンゴ酢を髪に塗布すると、パサついたり臭いが残ったりするので注意しましょう。

    カモミールティー

    カモミールティーには髪の色を自然に明るくする効果やツヤを与えて柔らかくする効果があると言われています。
    【なぜ髪の色が明るくなると言われたのか?】
    カモミールティーには抗酸化作用があり、飲用することにより体内をアルカリ性に導くと言われています。
    ヘアカラー剤もアルカリ性なので、このことから髪を脱色できると言われるようになったのでしょう。
    具体的な手順
    1.濃いめのカモミールティーを淹れて、冷ます
    2.カモミールティーを髪に塗布
    3.30分以上放置
    4.しっかり洗い流す
    カモミールティーを使うリスクは何度も使うと、髪が乾燥する可能性があることです。

    また効果がはっきりとせず、効果が出たとしても穏やかで暗い髪の色の方は効果があまり感じられないこともあります。

    ビール

    ビールに含まれている炭酸には日光に反応して髪の色を自然に明るくする効果があると言われています。
    【なぜ髪の色が明るくなると言われたのか?】
    レモン汁と同様に日光にあたると、炭酸が髪の内部にあるメラニン色素を破壊すると考えられるからです。
    ビールはレモン汁同様、酸性です。ヘアマニキュアに近いpHなので髪の色が脱色できると言われたのではないでしょうか。
    具体的な手順
    1.シャンプー後の髪にビールを塗布
    2.15分以上、日光にあたる
    3.ビールをよく洗い流す
    ビールを使って髪の色を明るくする効果はあったとしても微力で、効果が感じられないこともあるでしょう。
    ビールの匂いやベタつきが残る場合があるため、しっかりと洗い流す必要があります。
    さらにビールには炭酸以外にアルコールやさまざまな添加物が含まれており、髪を傷める可能性が高いです。

    食品系

    家にある食品系のものは、髪や頭皮に負担をかけずにやや効果があるものが多い印象です。
    しかし、本来髪の毛のための成分ではないのでおすすめできません。

    はちみつ

    はちみつに含まれている微量の過酸化水素は、髪の色素を分解して髪の色を明るくする効果が期待できます。
    はちみつには保湿効果も期待でき、髪に潤いを与え柔らかくしてくれます。
    【なぜ髪の色が明るくなると言われたのか?】
    過酸化水素自体は弱酸性ですが、含有濃度によりpHが変わると言われています。
    はちみつに含まれている濃度は不明瞭なため、確実な脱色効果は期待できないでしょう。
    具体的な手順
    1.純粋なはちみつを用意
    2.はちみつと水を混ぜた混合液を作る
    3.髪に均等に塗布
    4.シャワーキャップで覆う
    5.1時間以上放置
    6.しっかり洗い流す
    はちみつを使うリスクはベタつきが残ることと、アレルギーがおこる可能性があることです。

    オリーブオイル

    オリーブオイル自体には、髪の色を明るくする効果はほとんどありません。
    オリーブオイルには髪の内部に浸透してダメージを修復する作用があり、トリートメントにも使用されています。
    【なぜ髪の色が明るくなると言われたのか?】
    オリーブオイルには髪の内部を補修し水分を保持することで髪の表面が滑らかになり、明るさが強調されるため効果があると言われるのではないでしょうか。

    シナモン

    シナモンに含まれる褐色色素が髪の色を染める効果が期待できるかもしれません。

    さらにシナモンには血行促進作用があり、頭皮に塗布すると抜け毛防止や育毛にも効果をもたらすと言われています。
    【なぜ髪の色が明るくなると言われたのか?】
    シナモンに褐色色素があるためだと考えられます。
    しかし、色素を定着させるための成分は含まれていないため、これもまた確実な変化が期待できるわけではなさそうです。
    具体的な手順
    1.シナモンパウダーとキャリアオイルを混ぜる
    2.髪に塗布
    3.シャワーキャップで覆う
    4.1時間以上放置(一晩でもOK)
    5.しっかり洗い流す
    しかしシナモンを使うと、色素沈着が起こる可能性があり注意が必要です。

    化学剤系

    家にある化学剤系のもので髪の色を脱色する効果とリスクについて解説していきます。効果があるものもありますが、髪の健康や頭皮への影響を考えるとリスクが大きいとも言えるでしょう。

    オキシドール

    オキシドールの中には髪を染める薬剤と同じ過酸化水素が含まれているため、髪の色を明るくする効果があります。
    【なぜ髪の色が明るくなると言われたのか?】
    市販されているオキシドールはpHは約6.5 と言われています。
    つまり、弱酸性ヘアカラーとほぼ同程度。そのため、髪の毛を脱色できると考えられたようです。
    数十年前に「手軽に髪の毛を脱色できる方法」として流行したこともあり、実際に脱色に成功した人もいるようで、いまだに「家にあるもので…」と考えたときに選ばれるようです。
    具体的な手順
    1.オキシドールと水を混ぜる
    2.スプレー容器に入れ、髪に吹きかける
    3.30分ほど放置
    4.しっかり洗い流す
    オキシドールは強烈な匂いに加え、髪の乾燥や切毛ができて痛みます。
    オキシドールはリスクも高いため、同じ原理で髪の色を明るくできるヘアカラー剤を使うのがおすすめです。

    マキロン

    マキロンには髪の色を明るくする効果はありません。
    マキロンを髪につけると髪がゴワゴワに傷みます。
    【なぜ髪の色が明るくなると言われたのか?】
    髪が傷んだことで髪が明るくなったように感じるため、髪の色が明るくなると言われているのではないでしょうか。
    マキロン自体、現在は75mlで715円という価格帯で販売されています。ごく少量で髪の脱色はほぼ期待できません。
    このお値段なら市販のヘアカラー剤を購入する方が、はるかに確実に髪の毛の脱色ができるでしょう。

    重曹

    重曹にはスタイリング製品などの残留物を落とす効果があります。
    【なぜ髪の色が明るくなると言われたのか?】
    残留物が落ちて髪の色が鮮やかに見えることがあるため、わずかに髪の色が明るくなったように感じるのだと思います。
    具体的な手順
    1.重曹と水を混ぜて、ペーストにする
    2.髪に塗布
    3.10〜15分放置
    4.しっかり洗い流す
    重曹はアルカリ性が強く、髪の乾燥や切れ毛、ダメージが増える可能性があります。

    塩素

    塩素には髪の色素を分解し、髪の色を明るくする効果があります。
    塩素でわかりやすいのはプールです。
    【なぜ髪の色が明るくなると言われたのか?】

    厚生労働省によると、プールの水質管理をする際の基準となるpHは5.8〜8.6とされています。
    髪の毛よりもアルカリ性の性質が保たれるように調整されているため、塩素による脱色効果があると考えられたのかもしれません。
    定期的にプールを利用して髪の色が明るくなっている方も確かに多くいらっしゃいます。
    しかし塩素は刺激が強く、髪が乾燥や切れ毛を引き起こす原因にもなります。

    日光にあてる

    日光から放出される紫外線は髪の内部のメラニン色素を破壊し、髪の色が明るくなることがあります。
    しかし紫外線による髪のダメージが増え、乾燥や切れ毛、枝毛のリスクも高まります。
    頭皮にもダメージがあり、乾燥や日焼け、炎症のリスクもあります。
    日光にあたると髪の色は明るくなるかもしれませんが、リスクが大きすぎるためおすすめできません。

    髪は間違いなく傷む

    家にあるもので髪の色を脱色すると、髪は間違いなく傷みます。
    家にあるものの中には髪の色を明るくする効果があるものもありますが、同時に髪の乾燥やダメージを伴います。

    髪は一度ダメージを受けると元に戻らないので、傷んだ部分をカットするかトリートメントなどで栄養を補わなくてはいけません。
    髪が傷むため、家にあるもので髪の色を明るくすることはおすすめできません。
    また実際にどのくらい髪の色が明るくなるのかも、試してみないとわかりません。
    ハイリスクなのにも関わらず、髪の脱色効果というリターンが不確実な方法です。

    髪の色の抜け方がムラに

    家にあるもので少なからず脱色できるものもありますが、髪の色がムラになる可能性が高くなります。
    髪に均等に塗布することが難しい場合や、自分の意図したように髪の色が明るくならないからです。
    おしゃれを楽しむために髪の色を変えたのに、ムラになってしまっては本末転倒ですよね。
    ムラにならずに髪の色を明るくするには、やはり美容室でカラーの施術をうけるのがいいでしょう。

    せめて市販のヘアカラー剤を

    美容室に行くことが難しい方は、せめて市販のカラー剤を使用してほしいです。

    ヘアカラー剤を使うメリット

    市販のヘアカラー剤を使うと、即効性があり短時間で思い通りの色に染められます。
    家にあるものでは時間がかかり、効果がほとんど現れないものも多いです。
    市販のヘアカラー剤は薬局などで手軽に購入でき、説明書をみれば簡単に染められます。
    種類も豊富で好みの色を見つけることもできるでしょう。
    短時間で確実な効果が現れるのはヘアカラー剤を使うメリットです。

    ヘアカラー剤を使うデメリット

    市販のヘアカラー剤には化学成分が含まれているため、少なくとも髪へのダメージはあります。
    市販のヘアカラー剤を購入するのに一定のコストもかかります。高品質なものほど高価な傾向です。
    市販のヘアカラー剤を使うと髪へのダメージやコストがかかることが、デメリットと言えます。
    しかし家にあるもので髪の色を明るくするより、はるかに効果が明確でリスクも少ないです。
    美容室でカラーの施術を受けるのがおすすめですが、髪の健康や頭皮への影響を考えると、せめて市販のヘアカラー剤の使用を検討したいところです。

    まとめ

    髪の色を脱色できると言われている家にあるさまざまなものには、多少明るくなる効果があるものもあります。
    しかし、個人差や効果がでるまでにかかる時間が異なり、家にあるもので黒髪をブリーチ剤を使ったような金髪にすることはできません。
    髪や頭皮のことやリスクを考えると、美容室で染めることがおすすめです。
    予算やスケジュールの都合で美容室に行かずに染めたい方は、せめて市販のカラー剤を使用しましょう。
    おしゃれを楽しみたいのに髪の毛がバサバサになったり、色ムラのある仕上がりになってしまえば、かえって見窄らしい印象を与えてしまうことになりかねません。
    また、一度受けた髪のダメージは元には戻りません。
    見た目的にも、今後きれいな髪をキープするためにも美容室や専用のカラー剤で髪色のファッションを楽しみましょう。
    監修者:繁和泉
    看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。
    同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。
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